第6回近畿眼科オープンフォーラムに出席して1

この勉強会は、ファイザーという非常に大きな製薬会社、眼科の世界では、緑内障治療薬(点眼)市場を現時点で、ぶっちぎり独走中の会社の主催の勉強会です。

先ず、恒例の事前アンケート結果の発表。
①主催者の笑顔あふれる圧倒的なキサラタンの処方率です。しかもまだ増えているのです。1stチョイスは、キサラタン。2年前の調査が80%弱で、今回は90%を越えです。
眼圧の低い方のNTGでさえ、60%強。原発閉塞隅角緑内障でも50%強です。現在の緑内障治療は、キサラタンを抜きにして語れないようです。小泉内閣誕生当時の内閣支持率並み。もうすぐ、終了する小泉内閣は、本当に評価に値する結果を残したか・・・そして、キサラタンの出現は、それ以前と時代の治療と比べて、緑内障の治療成績は格段に向上させたのでしょうか?それともこの結果は、幻想に基づいているのでしょうか。誰か、比較してくれないかなあ・・
②自動視野計を使っている施設は、90%強。その80%以上がハンフリー視野計です。従来のゴールドマン視野計は、必要だし、あれば非常に助かる局面を私はよーく知っていますが、それでも、やがて、消え行く特殊な検査という位置付けになりつつあるようです。湖崎先生の努力にも関わらず・・・
③プログラムは、最初から、閾値検査で、経過観察も閾値検査ってのが多いようで、まあ私もそうしています。検査間隔は少なくとも6ヵ月毎には行っているようです。


次に症例検討会
今回は、視野がテーマのようで、話の切り口は全て視野です。
①極早期の視野症例
近大の奥山先生の発表です。近大は、視野検査機器をいったいどれくらい保有しているのか不明ですが、とにかく、何でも揃っているようです。
極早期症例というのは、先ず、眼底所見(乳頭所見)で緑内障を疑って、通常の視野検査(明度識別視野)を行っても、異常が見られないようなケースで、そういった症例に FDT、Matrix 、フリッカー視野、ハンフリー(SWAP)などの早期発見用視野検査機器(プログラム)を用いると、数年早く見つかる?(事もある)らしい・・・。但し、再現性がある時はいいけど、変動は大きいので、確定診断には迷うことが多い。高齢者の早期緑内障は、どうでもいいけど、若い人(40歳代以下)の極早期の発見は大切だと言われていました。
私の偏見を言えば、緑内障の極早期というのは、明らかに視神経乳頭陥凹の形態、周囲網膜神経線維の欠損などが明らかに見られるものの、通常の視野検査(例えば、ハンフリーのSITA-FAST C30-2)で、異常がないような症例です。
視野がどんなに緑内障に似ていても、視神経乳頭に緑内障性変化がなければ、早期緑内障と言いませんが、視野が正常でも、視神経に明らかな緑内障性変化があると判断すれば、極早期緑内障です。緑内障は、極早期においては、当然どんな視野検査でも正常なのですから・・・
この眼が、早期発見用の視野検査機器(プログラム)で、再現性を持って異常所見が検出されるなら、緑内障と診断し、視野異常が検出されないなら、緑内障ではないのでしょうか。緑内障を専門としてやってきた者にとっては、早期の緑内障の診断そのものは、不安定な視野検査結果よりも、確実な視神経乳頭所見によるのではないでしょうか。どの地点で治療を開始するかは、議論が分かれると思いますが。
やがて、そのような極極早期緑内障も、徐々に進行するにつれ、極早期緑内障発見用視野検査機器(プログラム)によって、再現性をもって異常所見が認められるようになる。コンセンサスを得る為には、治療開始は、このあたりと言うところでしょうか。

緑内障を神経線維が徐々に減少する疾患と単純化してみます。
(以下の数値は私の推定ですが・・・)

神経線維120万本:この健康な子供の眼がやがて緑内障になるとして
1)100万本:どう見ても正常
2)90万本:緑内障の大家(厚生年金の桑山先生や枚方の山岸先生・・・)が心眼で見れば緑内障?
3)80万本:緑内障を長年専門としている人間が、普通の眼で見て疑わしいと感じる?
早期発見用機器で検出可能?
4)70万本:ハンフリーのような自動視野計で初期暗点検出可能
6)60万本:ゴールドマン視野計で初期暗点検出可能
7)50万本:早期~中期緑内障
8)40万本:中期緑内障
9)30万本:末期緑内障
10)20万本:失明手前
11)10万本:失明?
上記のような流れだと仮定すると、この近大の先生の議論は、緑内障の診断を4)ではなく、3)で数年早くできる?事がある。高価な早期発見用機器(プログラム)を用いて、検査をやりまくれば、少し診断を前倒しできるということでしょうか。

②早期~中期
 この提示は、大手前病院の木内先生。
 緑内障と診断され、早期の視野異常が検出されている眼が、徐々に進行して、中期へと進む過程。
 ハンフリーなら、MDでわけると、以下の如くでしょうか。
-6dBまで      :明らかに早期
-6 ~ -10dBまで:中期
-12dB以降    :後期

-12dB以降が、末期になるでしょうか。
この間の進行を把握し、悪化したと判断すれば、治療を変える(手術を含む)ということなのでしょうが、特に高齢者の場合は、当然白内障も進行してくるし、他の要素も加わって、視野は悪化したように見えることがあります。その変化の中から、緑内障そのものの悪化の有無を判断しなければいけない。時には、白内障手術を前倒ししてしまうことだってある・・・?
※非常に難しい問題で、だからこそ、皆が苦労しているのですが、不安定な視野検査の結果を解析し、緑内障性変化の変動を抽出して、判断すること。総合的な臨床判断です。それこそが、緑内障患者を診るということではないでしょうか。特別な方法はないと思います。

③中期以降
これについては、湖崎眼科の湖崎先生の発表です。
日本のGP発祥の地とも言える湖崎眼科の後継者として、GPの重要性を説得力のある話にまとめてくれました。
 この時期の緑内障の特徴として、
1)低視力
2)高齢者
3)白内障
そして大切なことは、
1)視野欠損に応じたアドバイス
2)ロービジョンケア
3)メンタルケア
が必要であると。
私は、緑内障の進行の程度を知るには、もっとハンフリーのプログラムを工夫して用いながらやればいいと思いますが、確かに、進行してしまった緑内障視野の評価は、GPの方がわかりやすいのは確かです。進行の程度の評価は難しいでしょうが、患者さんが実際どのような見え方をしていて、不自由さを強いられているのかを知るのにGPはハンフリーを大きく上回っていると思います。
例えば、
第6回近畿眼科オープンフォーラムに出席して1_f0088231_12185198.jpg

これよりも、
第6回近畿眼科オープンフォーラムに出席して1_f0088231_12181796.jpg

このほうが全体像が掴めるのは確かです。

ただ、以前、大学の緑内障外来で、末期緑内障を長年見ていて、ある患者さんの残存視野は、中心部分が5度以内で、あとは周辺視野が残存しているだけでした。他眼は比較的良かったと記憶しているのですが、その大切な5度以内の中心視野がある日無くなっていたのです。私は、少し驚いたのですが、患者さんは、もう、その視野には頼っていなくて、『特に変わりはないですよ。』と言われたのを思い出します。視野から推定する重症度と患者さんの自覚的重症度には、まだまだ隔たりがあるのかもしれませんね。

次は、教育講演ですが、長くなりましたので、後日報告します。
by takeuchi-ganka | 2006-06-25 12:16 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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