第12回くすのき眼科臨床懇話会 その2 (993)

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寒い朝はダウンジャケット

特別講演 ぶどう膜炎の診断と治療 ー基本から最新知見までー

淀川キリスト教病院 眼科部長 中井慶先生

平成10年卒の若い先生・・・と思ったら、もう平成10年から18年以上経っている事と自分の年齢に驚きつつ、拝聴しました。流れは、1)眼炎症性疾患 2)診断 3)治療 4)免疫抑制剤

1)眼炎症性疾患

サルコイドーシス・原田・ベーチェットが、かつてトップ3だったが、何故かベーチェットが減少し、順番はサルコイドーシス・原田・AAU・強膜炎・ヘルペス性虹彩炎そしてベーチェットに。また原因別に分類するなら、感染性・非感染性・腫瘍性に別れる。

  1. 非感染性というのは、全身の免疫異常に伴うもので、サルコイドーシス・原田・ベーチェットはその中に入る。
  2. 感染性は、細菌・真菌・ウイルス・梅毒・結核・寄生虫によるもの。
  3. 腫瘍性とは、悪性リンパ腫・メラノーマ・転移性腫瘍など。

2)診断 どうやって診断にたどり着くのか。例えば前房蓄膿があったとしても、ベーチェット・AAUNKリンパ腫どれなのか?①全身疾患の一部のことも多く、眼科だけでは無理なことも多い ②全身検査・生検・画像診断から鑑別診断を ③薬物がメインだが、外科的治療も必要

 採血:所謂『ぶどう膜炎セット』を行っているが、それほど特別なものではない。末血・肝腎機能・血糖・CRP・抗核抗体・リウマチ因子・IgE・梅毒・トキソ・HTLAACE・βDグルカン・尿(β2MG)・ツ反・・そして、BHL検索は胸部X線は行わずに造影胸部CTだと。

日眼会誌1164号(p412)から

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※あたりをつけるための手段として、ぶどう膜炎を見た時に、『片眼VS両眼性+前眼部炎症VS汎ぶどう膜炎』、『肉芽腫性VS非肉芽腫性 + 前眼部炎症VS汎ぶどう膜炎』 この情報である程度絞れる。次にサルコイドーシスが疑わしいのか、そうでないのか(ぶどう膜炎を見たら下方の雪玉状硝子体混濁や網膜静脈周囲炎所見に注意を払う・・・)。すぐに治療が必要なのか少し待てるのか・・・という観点も有用。

 硝子体混濁に対する対応は?積極的に診断・治療を兼ねてビトをして、網羅的PCRを行って原因検索を行う。10年ほど前の大黒先生の講演のメモを見ると(http://takeganka.exblog.jp/11873314/)、ほぼ同様の流れかな。当時先進的な検査だったmultiplex PCRが、一般的な検査レベルになった?QuantitativePCR

3)治療

  1. 症例58歳男性の虹彩炎。色素を伴ったcells。色素散布がポイントでヘルペスを疑って治療開始(PCRVZVと確認)。ゾビラックス眼軟膏とリンデロン点のみで治療。
  2. 眼痛と充血⇒強膜炎:STTAを多用していると・・
  3. 63歳男性。眼圧上昇を伴うぶどう膜炎。リンデロン点のみでは、改善・増悪繰り返し。リウマチ性多発筋炎がありプレドニン5mg内服中。眼底よく見ると、雪玉状硝子体混濁や結節性血管炎(+)。サルコイドーシス疑い。最終的に確定に至らなかったが、肉芽腫性非感染性ぶどう膜炎として、ステロイド局所療法しっかり・・・。定期的な全身検索は必要(サ疑いなので)。 ※注目すべき所見:隅角所見のテント状PAS。皮膚病変(頻度高いので、部屋を明るくして観察しましょう!)。下方の網膜硝子体をしっかり見ましょう(網膜血管炎・瘢痕・混濁)。勿論サなら眼圧上昇に注意。
  4. 35歳男性。主訴:両眼充血だが・・・全身を見ると足が腫れている・・⇒腎内・皮膚科(体幹・背部に紅斑、手掌・下腿に皮膚鱗屑)⇒梅毒だったと。※ぶどう膜炎では眼外の観察が有用な事が多い。なお、最近梅毒やクラミジアといった性感染症が増加傾向!
  5. 34歳女性 原田病:多房性SRDがあって診断容易。OCTが有効(CSCと異なり多房性:フィブリンによる隔壁や外節が仕切りに?)。脈絡膜は厚くて、800μmぐらいになることも。治療すれば薄くなるし、再燃すればまた厚くなる。夕焼け状になってからでも、再燃すると厚くなる。乳頭型は少し診断が難しいが、脈絡膜皺襞が特徴?また、顔に白斑ができたり、白髪ができたりするのは、炎症が遷延している証拠。
  6. 56歳女性。ステロイド抵抗性ぶどう膜炎。硝子体生検して、悪性リンパ腫。MTX硝注。前眼部:びまん性の棘状KP、後極部:網膜下浸潤病巣・ベール状硝子体混濁。診断はビトして病理・サイトカイン分析・遺伝子構成検索。治療はMTX硝注。

4)免疫抑制剤

  1. 30歳男性。繰り返すぶどう膜炎・SRD・硝子体混濁・・・・・FAで樹枝状・シダ状病変(毛細血管主体の病変)陰部潰瘍・ひげ剃りまけ・・・⇒ベーチェット。若者の繰り返すぶどう膜炎は、眼外症状に注意。かつてコルヒチン、シクロスポリンだったのが、今はレミケード?
  2. 45歳男性。遷延するVKHにステロイド長期投与で経験した両足の大腿骨頭壊死。

  • 2007年ベーチェットの難治性ぶどう膜炎にレミケード(インフリキシマブ)(TNF阻害薬)承認
  • 2013年ネオーラル(シクロスポリン)(免疫抑制剤)承認。サルコイドーシス,原田病,強膜炎といった難治性ぶどう膜炎にも適応。
  • 2016年非感染性ぶどう膜炎にヒュミラ(アダリムマブ)承認

※日本は承認が遅れている・・

難治性ぶどう膜炎に対して、ステロイドを減らす為にもネオーラルを併用する。ヒュミラやレミケードも全身感染症の問題もあり、眼科単独では治療困難。免疫アレルギー科と併診していると。


by takeuchi-ganka | 2017-01-30 17:06 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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