2017年 05月 23日
第15回 Symposiium of Ocular Surface and Infection その4 (1015)
領域横断セッション
『術後眼内炎ZERO』を目指したパーフェクトマネージメント 日本大学 中静裕之
術後眼内炎は、白内障手術で0.052%。硝子体手術でもほぼ同様。濾過手術は、0.19%と一桁多い。ポピドンヨード洗眼後でも、結膜から細菌の検出率は10-13%、眼表面灌流液で5-7%、前房内でさえ5%ほど。術後眼内炎は、術中感染が多くて、病原菌は術野から持ち込まれる。蛍光ビーズを用いたコンタミネーション迷入実験では、眼内レンズ挿入時が一番危険。ビトでは、ポートから。30Gの硝子体注射でも持ち込まれている。
対策としては、ヨードが一番。抗菌剤の効果は限定的。ポピドンヨードには耐性がなく、全ての微生物に有効。また遊離ヨウ素濃度が高いと殺菌効果が強く、100倍希釈で遊離ヨウ素濃度は最高となり、殺菌効果も最高。ただ、希釈すれば、作用時間が短いので、繰り返し投与が必要となる。10%の原液なら殺菌に要する時間は2-3分で、0.25%(40倍希釈)で15-30秒。0.01%(100倍)なら数秒?※0.25%ポピドンヨード(40倍希釈)はPAヨードなら8倍希釈に相当。この0.25%ポピドンヨードを20秒に1回術中かけても、角膜上皮障害はなく安全。なお、上皮障害が心配なら、400倍希釈の0.025%PIでも、有効らしいが、かけ続ける必要がある。
このポピドンヨードが治療に使えないか。バンコマイシン耐性菌、セフタジジム耐性菌、真菌などの治療にPIが使えるか?角膜に対しては0.05%以下、網膜なら0.027%以下なら大丈夫(安全)?眼内炎には0.013~0.027%で有効。つまり0.025%PI(400倍希釈)が治療に使える。10%原液1.25ccをBSSプラス500mlの中に入れて、前房洗浄に1本、硝子体手術にもう1本作って行う。
※眼内炎初期治療としてのポピドンヨード。1.25%(8倍希釈:0.1ml原液+0.7ml生食)を0.1ml硝子体にワンショット。これで推定硝子体濃度が0.025%?その後0.025%PI-BSSプラスでビトをすればいい?