2017年 05月 29日
第46回 関西医科大学眼科同窓会 春の勉強会 その2 (1019)
セッション3 緑内障
10,緑内障点眼が視機能に及ぼす影響 湖崎淳(湖崎眼科)
緑内障治療が非常に長期にわたるので、点眼による角膜上皮障害は避けられない。湖崎眼科調べでは、緑内障点眼を行っている患者の47%にSPK(+)。10秒間開瞼していると、SPK(+)の患者さんの高次収差が増加することが確認された。今回コーワの実用視力計を用いたスタデイ。緑内障点眼していて、SPK(+)の患者さんは、スタート視力>平均視力。
※まあ当然の結果だと思われるが、我々は視野障害に加えて、実用視力も低下していることに配慮すべきなのでしょう。大変でしょうが、SPKを見ている以上、ドライアイの有無は避けて通れない気もするし、SPKがなくてもブレイクアップパターンによって、実用視力も変わってきそうなので、そのへんの分析も加味されたらいかがでしょうか・・・・と言うのは簡単やね。
11,開放隅角緑内障に対するナイロン糸による線維柱帯切開術ab interno法の治療成績 城信雄
糸ロトミーの話だが、ab internoだったのか。何となくab externoだと勘違いしていました。スワン・ヤコブで見ながら線維柱帯を切開して、先を少し焼いた5-0ナイロンをシュレム管に挿入していくのだが、止まったら、モリ・ゴニオトミーレンズで見ながらセッシで引き抜く?次に反対側へも挿入して同様に。随分窮屈な操作だと思うのだが、前房側からシュレム管にナイロン糸を入れて、なるべく全周近く切開。結構成績よくて、ロトミー単独、ロトシノよりも若干低い。単独で13.8、白内障手術併用で12.8mmHg。前房出血はあまり出ないのだが、出る時は多い。1週間以上の前房出血が32眼中3眼。30以上の眼圧上昇が9眼。流出路手術の中では、最も眼圧が下がる術式のようです?
セッション4 その他
12,身体障害者手帳のメリットと最近の動向 藤田京子
- 医療費の軽減
- 自立支援事業:補装具の交付・日用生活用具・点字図書の給付など
- 年金
- 交通:交通機関の割引
- 税金の軽減
13,軽度~中度円錐角膜に対するミニRK手術後長期成績 藤本可芳子(フジモト眼科)
一般的な治療としては、ハードコンタクトレンズ、クロスリンキング、角膜リングなどだが、報告はミニRK。RKと違って角膜厚の90%の深さで、中心3~8mmまでの切開を8本。多分軽症例なのだろうが、結果として良好な成績だと。
14,マイルドモノビジョンの立体視差と満足度 山岸和矢(ひらかた山岸眼科)
そう言えば、あの年齢で、メガネもかけずに、診療からゴルフまで不自由なく過ごしておられるのは、偶発的マイルドモノビジョンの為のようで、その経験に基づいた、白内障術後の屈折をエンメと-1.5Dにするというマイルドモノビジョンについて。左右差が2.0D以上になると、立体視も悪くなる。ただ、満足度は必ずしも計算通りにはならない?患者さんの満足度に術前の見えにくさが大きな影響を与えてしまうから?
井街賞受賞記念講演
小胞体ストレス下での網膜色素上皮細胞におけるtight junctionの変化 吉川匡宣(奈良県立医大)
難しい実験研究の発表なのでスルー。
※小胞体ストレス:変性タンパクが小胞体に取り込まれて、蓄積し細胞に与えるストレス。そのストレスを回避する反応が、小胞体ストレス応答 (unfold protein response: UPR)。限度を超えるとアポトーシスに・・・。変性タンパクは、遺伝子変異、ウイルス感染、炎症、有害化学物質などにより生じる。