2017年 09月 16日
第20回京阪沿線眼科勉強会 その2(1042)

特別講演
実臨床におけるOCT活用法:緑内障診断編 かなもり眼科クリニック 金森章泰
特殊な病院は別として、現実問題としては自分が持っているOCT(トプコン DRI OCT Triton) をどう活用して、緑内障診断に使うのか。そんな視点で、講演を聴かせていただきました。
まず、どんな時にOCTを行うのか。①緑内障が確定している場合 ②緑内障が疑わしい場合 ③なんとなく怪しいだけ ④全例に・・。どうでしょう? ①では、OCTを使う意味がない。②では、見落とし症例が多すぎる。演者は③だと。カリスマ医師Y先生の教えに従えば④なのだが、現実問題としては、④に近い③というところでしょうか。次にどんなプログラムを使うのか。①cpRNFL と、②GCC 通常この2つですが、
①cpRNFL解析
要するに視神経乳頭周囲の神経線維の厚みを計測するのだが、全体的な評価(アベレージ)だけ見ても、初期変化やPPGの検出感度は高くないので、局所の変化に注目すべき。また上下の比較は有効だし、NFLDをクラスター別に解析するのも有効。ただ、細かにやりすぎると偽陽性に・・。


②黄斑解析

この解析結果表示は、上から①厚みマップ ②Significance Map ③各層厚数値 ④シンメトリーマップですが、③の平均値では異常と判断されていない下方のGCL+においても、Significance Mapの赤い四角は神経線維走行に沿って連続して並び、緑内障の可能性濃厚と判断されます。
※ピットフォール
- どんな検査にも言えることだが、解析結果の判定だけ見てると誤ちをおかしやすく、生写真を見ておくことも重要。
- 乳頭周囲網膜分離症は結構多いので注意が必要(生写真で確認すればすぐわかる)。
- ピット、LC欠損(よく見ないと見逃しがちだし、全く緑内障と同じ所見を呈することもある)
- 微小虚血後のNFLD(視神経には異常がない筈)
※緑内障と間違いやすい疾患
- SSOHや部分低形成(時に緑内障を伴うこともあり、更に要注意)
- ION (時に緑内障を伴うこともあり、更に要注意)

- 軽度の視神経炎後の乳頭黄斑線維束の障害
- 下垂体腫瘍により視交叉圧迫し、交叉性線維である鼻側網膜からの線維が障害
- 視索症候群:右眼の視索の障害なら右眼の非交叉性線維(耳側網膜からの線維)と左眼の交叉性線維(鼻側網膜からの線維)が障害される。
- 逆行性シナプス変性:脳梗塞で後頭葉の障害があれば、逆行性シナプス変性が進行して、OCTで半盲側に対応するGCCの菲薄化が見られる。(☆下の図参照)