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第10回 Osaka Ophthalmology Forum その2(1062)

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特別講演

症例で学ぶ網膜循環障害の病態と治療戦略 京都大学 眼科教授 辻川明孝

眼科の話になり少しほっとする。症例を提示しながら、BRVO、網膜細動脈瘤、そしてCRVOの話を。

症例1,BRVO

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72歳男性CME(+)FAで太い血管の過蛍光は何故?昔から動静脈交差部は1つの鞘で包まれていて、動脈硬化が強くなると、下敷きになった静脈が押しつぶされる?本当にそうなっているのか?AV sheathotomyをしても、すぐには治らず、治るとしても数ヶ月かかるのは何故。(図はhttp://www.geocities.ws/sgtahija/Results.htmlから拝借)

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OCTで血管を見て血流を解析するとどうなっている?血管の断層像を解析すると、流れが正常なら、団子が2つ縦に重なったように見える。論文(※)を見ると、こんな風に・・・(図)。また通常A/Vの構造なっていると思われるが、実は80%ぐらいで、20%は、V/Aになっている(OCTangioでもよくわかる)。実はAV交差部で、静脈は押しつぶされていない。血管閉塞症においては、水平方向への蛇行もあるが、垂直方向の蛇行も大きく、A/Vなら静脈はかなり深層へ蛇行している。大きく蛇行すると、血栓が形成され、血管壁が障害され、過蛍光になる?V/Aなら血管壁潰れやすい?CRVOでは、更に大きく血管が蛇行(水平方向垂直方向)。一度蛇行すると戻らない?硝子体側に飛び出すことも。http://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2190396 

症例2,網膜細動脈瘤

FAでは写らないことも。IA可能ならこの方が良く写る。OCTは有用。血液疾患でも見られるが、内境界膜下出血は、この疾患に特徴的な所見。また中心窩に網膜下出血があると要注意。遷延すれば視力低下する。従って、網膜下出血の量はOCTでブロックされる程度で判断して、急ぐ場合は、網膜下へtPA入れて、ガス注入が必要。(※なお内境界膜下出血が多い部位では、テンションが高くなるので、網膜下出血ないことが多い)

※網膜下出血が多い時の鑑別診断は、PEDがあれば、加齢黄斑変性、内境界膜下出血があれば動脈瘤。他眼にドルーゼンがあれば加齢黄斑変性の可能性高い。よく見えていて急性発症なら動脈瘤。変視症からの発症なら加齢黄斑変性・・・

※滲出が多いタイプの動脈瘤もある。外網状層(ヘンレ)は緩いのでそこを伝って浮腫が広がる。アーケード外BRVOでも同じように中心窩に浮腫が及ぶことも。その場合は光凝固が必要。

症例3 70asteroid hyalosisで眼底見えない。PCTPED(+)、中心窩はきれい。加齢黄斑変性という判断で、抗VEGF投与。

症例4 48歳男性 視力0.07。虚血性変化の強いCRVO。抗VEGFを何度か行って最終投与の3ヶ月後にNVG発症。PRPのタイミングは遅い。CRVOは必ずFAを行い虚血性変化の程度をチェック。虚血性変化が強ければNVGに備えないといけない。抗VEGFしていても、安心できない。ただ、NVG発症時期を遅らせているだけ。忘れない内にPRPしておくべき。演者は最初にすると。


by takeuchi-ganka | 2017-11-11 15:12 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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