第23回大阪緑内障研究会 その3 (1032)

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特別講演 流出路を介した眼圧制御と眼圧下降治療 東大教授 相原一

この日のメインゲスト。相原先生の話は、いつも本当に勉強になる。ただ、情報量が多くて、私レベルでは、処理しきれない事が多いのが難点^^; 果たして・・・。今回は、主経路の話。ターゲットを絞ってくれたお陰で、少し理解できるかかも。主経路とは・・房水の、線維柱帯(ぶどう膜線維柱帯・角強膜線維柱帯・JCT)⇒シュレム管⇒集合管⇒上強膜静脈へと流れるルート。

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あくまで理論上だが、流出抵抗の80%が主経路で、20%が副経路?何故眼圧は上がるのだろうか。主経路の抵抗が上がるから?副経路はどうなのかは不明。房水産生が増加している可能性もあるが、これも不明。ただ、眼圧が低い時は、線維柱帯が厚くて、眼圧が高い時は、線維柱帯は薄いし、シュレム管の断面積も小さい。POAGの線維柱帯組織で重要なのは細胞外マトリックスが増加していて、そこでTGF-β2濃度が高い事。

ROCK阻害薬について

この薬はシュレム管内皮(巨大空胞増加・内皮細胞接着への作用)・線維柱帯細胞(細胞骨格・収縮変化、細胞間隙への作用)・細胞外マトリックス(ECM産生抑制・細胞-ECM間関係の変化)の全てに作用して、主経路の抵抗を下げて眼圧を下げる。ただ、薬物が有効である為には、標的細胞の機能が正常であることが条件となる。上強膜強膜への作用は不明。わかっていることは・・・

  • 有効濾過領域が増加
  • 傍シュレム管結合組織を厚くして、流れを増やす。
  • シュレム管拡張(マウスで)
  • 上強膜静脈拡張(原因か結果か不明?)

※このROCK阻害薬にサンピロを追加しても全く相加効果ないが、ブリモニジン(アイファガン)の追加は相加効果あり。

主経路への新しいアプローチ

https://www.cstj.co.jp/reference/pathway/TGF_beta.php 

Rho kinaseが動くと、最終的にアクチミオシン活性化・平滑筋収縮・線維柱帯緊張が維持されるが、ROCK阻害薬は、ここを逆転させている。TGF-β2Rhoの上流にあり、主経路抵抗増加に関わっている?

LPA(リゾフォスファチジン酸):強力なRho活性因子。当然LPA増加すると房水流出抵抗も増加する。レーザーやぶどう膜炎・・・様々な状態で、LPA増加する。NTGPOAGSOAGPEなどの病型を見ると、眼圧の高い病型ほど総LPA多い。LPAも眼圧が上がる原因の1つに違いないらしい。緑内障においては、ATX-LPAのバランスは重要。NTGでこのシグナルが高いケースは、実は別の病型である可能性がある。

※リゾフォスファチジン酸:微量で特殊な生理活性を発揮してメディエーターとして機能するリゾリン脂質1つ。一般眼科医としては、初耳。少し前までは、リン脂質の中間代謝物のひとつに過ぎなかったのだが、その生理活性に注目されている。その産生経路・受容体、そして生理機能・病態機能も徐々に解明されつつあるらしい。ここに様々な創薬研究が行われていて、緑内障治療薬もその片隅に?

NTGと簡単に言うなかれ?その緑内障は、本当にNTG?先日の中澤先生の話でも、『中々日内変動は困難なので、①座位眼圧 ②仰臥位眼圧 ③うつむき1時間後眼圧の3点セットをして、いずれも低い場にNTGと断定。』と話されていたが、相原先生も、房水産生・流出抵抗は変動するし、組織?眼圧は?色々混ざっている。眼圧が一見低いからと、様々な緑内障が一括りにされている?NTG症候群?

主経路の手術

最近、線維柱帯を全周切開する手技が行われているが、全て(360°)切開しても、主経路流出抵抗の50%低下にしかならないらしい。120°切開ならその85%で、30°なら60%ぐらいだと。作用と副作用のバランスを考慮すれば、線維柱帯切開術としては、360°もしなくていいだろうが、120°ぐらいはやった方がいい?

※流出抵抗全体の80%が主経路で、副経路は20%(本当?)。

※達成眼圧は通常のロトミーやトラベクトームなら15mmHg程度で、iStent1本なら16ぐらい?(2本の方がベターだと)、ビスコは16以上・・

MIGS

  1. iStent:この程度ではあまり期待できない?少なくとも2本は必要。
  2. iStent Inject:この程度ではあまり期待できない?
  3. Tanito’sMicrohook:個人的には一番安上がりでかつ有効な気がする。25.914.7に。
  4. Kahook
  5. Trabecutome:櫛状靭帯(虹彩突起?)も切開してUV flowも増加?ただ、本体が500万でプローブが8万と高価な手術。メディケーションそのままという特殊事情下だが、22.615.6(日本)、23.216.5(欧米)
  6. iTrac(ABiC):シュレム管だけ広げても・・期待薄? http://www.ellex.com/us/physicians/product-portfolio/abic/overview/
  7. 360スーチャーロトミー:理論的には120°切開でも85%も効果があるのなら、出血の多い360°は不要?

※房水の流れをトレーサーで見ると、その効果がよく分かる。

※トラベクトームのハンドピースの先には潅流ポートもついていて、潅流オンにして眼圧上げると房水静脈に水が流れ、充血が消える。この場合、シュレム管後方の抵抗はあまりないということだが、潅流オンにしても充血が変化ない場合は、房水静脈への流れが悪いことになり、流出路再建は効きにくい?ただ、この時点でわかってもやめられない??房水流出抵抗の主座が何処にあるのか、術前には、なかなか把握しにくい。ただ、小さな切開では効かない事もあるだろうし、360°はやり過ぎのような。120°ぐらいが適当。

眼外強膜弁

  1. iTrac
  2. VCT
  3. wire LOT

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以上より、有望なのは、MicrohookKahook、そしてTrabecutome

房水流出抵抗は、全周均一ではない。また抵抗部位も様々。シュレム管までの抵抗が50%。ROKC阻害薬が効くには標的細胞が元気でないと。アイファガンとは相加効果あり。将来は、LPA-ATX経路での創薬に期待?


by takeuchi-ganka | 2018-02-04 21:00 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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