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NRC-なにわレチナ倶楽部 2018 その1(1036)

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この縦に走る虹は?

NRC-なにわレチナ倶楽部

帝国ホテル大阪

情報提供:アイリーア硝子体内注射液40mg/mL 特定使用成績調査(PMS)の中間報告

一番気になったところだけ抜粋すると、治療中止理由だが、24ヶ月以内に治療中止した923眼中、治療目的達成は30.8%で、70%はそれ以外の理由⇒ ①来院なし②転院③患者希望④有効性不十分・・・など。良好な成績の影の部分。

一般講演 黄斑下血腫移動術 大阪日赤 中西正典

加齢黄斑変性や網膜細動脈瘤など様々な原因で発生する黄斑下血腫。速やかに取り除かないと良好な視力の維持は困難。数例症例提示されたが、まず抗VEGF注射しておいて、数日後ビトして、ICG染色後内境界膜剥離して、その部にtPAを吹きかけると網膜下へ入っていく。その後SF6ガス入れて、4時間仰臥位後うつむきへ・・。ただ、提示された症例は血腫が取り除かれても、良好な視力の維持にはまだ遠い・・。

tPAの毒性の問題は大丈夫?

特別講演Ⅰ 病態から考える加齢黄斑変性の最適治療 古泉英貴 琉球大教授

98年卒の琉球大の新任教授。琉球大は閉塞隅角緑内障のメッカと思っていたら、今後は網膜硝子体がメインになるようです。それにしても、最近網膜硝子体の教授がやたら多い気がする。

今回は、加齢黄斑変性の中でもPCVに的を絞ったお話。加齢黄斑変性は萎縮型と滲出型があり、後者は典型加齢黄斑変性・PCVRAPに分類されるが、日本においてはPCVが非常に多い。PCVは、IAで確認される異常血管網とポリープ。橙赤色隆起病変が特徴だが、カラー写真だけでは、検出(診断)は47-70%。つまり30%IAしないとわからない。OCTで特徴的所見から診断されることもあるけど、OCT angioでも検出率はまだ低いし、やはりIAが必要?

※このPCVは新生血管なのか、脈絡膜血管の形態異常なのか・・・議論があるが、やはり前者?

PCVマネージメントについて:①PDT ②抗VEGF ③両方

PDTTAPスタデイでは、治療しても視力は徐々に低下。JATスタデイでは、視力少し改善(日本は欧米よりも成績良好)。切れ味良く反応して改善するのだが、時に網膜下出血が生じるのが問題。抗VEGFで予防できるかもしれないが、視力のいい症例にはやりにくい。

②抗VEGF:視力良好例にもやりやすい。ルセンティスとPDTの比較スタデイでは、ルセンティスの方が視力改善効果大。PCVの治療において、勿論、視力は自然経過(4位)が一番悪いのだが、欧米でのPDT3位)も少し視力は下がるが、日本人(2位)では少し改善し、ルセンティス(1位)が一番成績良好。つまりPCVに抗VEGFは有効らしい!? 確かに滲出は減らすが、異常血管はそのまま?アジアでのEVERESTでは、視力には差がでないものの、PCV退縮にはルセンティスよりPDTがずっといい。

 http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/aging_macular_degeneration.pdf 

 厚生労働省の治療指針では、:『視力 0.5 以下の症例では,PDT を含む治療法(PDT 単独または PDT- VEGF 薬併用療法)が推奨される.視力 0.6 以上の症例では抗 VEGF 薬単独療法を考慮する.』 ※視力が悪いとPDT単独または併用で、視力いいと抗VEGFのみ。

 HikichiTらは、ルセンティスのみで治療して、結構良い成績だし、LAPTOPスタデイでも、PDTよりルセンティスの方が成績良好。PDTは必要なのか?

 PCVにおけるVEGFの関与は?房水中のVEGF濃度は低いが、組織における濃度は様々。一言でPCVといっても、様々な病態がある。抗VEGFに対する反応も様々。この反応の予測か可能か? KoizumiHらによると大きいポリープは効きにくく、小さいと注射のみでいけることも。

 CNVだけを見て脈絡膜を見ないのは、『木を見て森を見ず』って事?典型加齢黄斑変性よりPCVの方が明らかに脈絡膜厚い。300μm以上だとオッズ比5.6PCV。ただ、PCVの脈絡膜厚はバリエーションが広い。IAで見る脈絡膜血管透過性亢進はPCV35%に。透過性亢進(+)の脈絡膜厚は339、透過性亢進(-)だと225。つまり、大きいポリープで、脈絡膜透過性亢進(+)なら抗VEGF抵抗性あり?

 逆に脈絡膜透過性亢進(+)だと、PDTがよく効くPDTは直後に一過性脈絡膜肥厚があって、その後薄くなる(13.3%)。ルセンティスは徐々に少しだけ薄くなる(1.37.4%)。

脈絡膜血管透過性亢進(-)PCVでは、主にCNVに対応すればよくて、ルセンティスでコントロール可能だが、脈絡膜透過性亢進(+)の場合は、CNVだけじゃなく、脈絡膜にも対応する必要があり、ルセンティスだけでは無理でPDTが必要。

※アイリーアは、PCVに有効で、ポリープ閉塞もルセンティスよりいい(PDTほどではないが・・・)。脈絡膜厚の減少もPDTと同レベル。PCVで脈絡膜薄くできると視力改善して、再発も少ない。現時点では、まずアイリーアを行っている。


by takeuchi-ganka | 2018-02-21 18:57 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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