第423回大阪眼科集談会 その3(1045) 特別講演

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桜が散ったあと、若葉が萌えるこの時期が一年で一番爽やかかな・・


特別講演

臨床医が探る 網膜ジストロフィのgenotype 

国吉一樹 近畿大

長らくはっきりしないまま経過観察を続けていた患者さんの遺伝子型が判明すると感動的・・・?かなりマニアックな話で、ついていけない・・・・^^; ただ長らく臨床型だけに興味があって、追求してこられて、遺伝子検索方法が画期的進化を遂げている今、感動の連続なのだろう。

夜盲性疾患

  • ①コロイデレミア ※キャリアの母親も軽度の眼底異常あり。
  • ②白点状眼底(RDH5遺伝子の異常) 暗順応(長時間(3時間ぐらい?)の暗順応で閾値が回復する)
  • ③先天性停在性夜盲の中で、眼底に異常があるものが、小口病や白点状眼底で、眼底に異常のないものが先天性停止性夜盲(完全型と不全型がある)。

※視覚情報は双極細胞でON型経路とOFF型経路に分解され、ON型双極細胞は光がついたという情報を,OFF型双極細胞は光が消えたという情報を伝達する。ON型が障害されるものが完全型で、ON/OFFともに障害されるのが不全型。

  1. TRPM1 (AR) ON型双極細胞 視覚伝達チャネル
  2. GRM6 (AR) ON型双極細胞 グルタミン酸受容体 mGluR
  3. GPR179 (AR) ON型双極細胞 RGS7,11のアンカー
  4. SLC24A1 (AR) 視細胞 K+依存性Na+/Ca2+交換輸送体
  5. NYXX (XR) ON 型双極細胞 不明
  6. CACNA1FX (XR) 視細胞 電位依存性カルシウムチャネル

  • ④網膜色素変性症と聾があり、Usher Type1であることが判明した(原因遺伝子はUSH1C)。※現在までに10個の遺伝子(MYO7A,USH1C,CDH23,PCDH15,USH1G,CIB2,USH2A,GPR98,DFNB31,CLRN1)の変異が分かっているが・・・。
  • ⑤ごく普通の網膜色素変性症の姉妹。両親共にキャリア。PDE6Bの異常がホモなら網膜色素変性症で、ヘテロなら先天性停止性夜盲?

2012年にブログに書いていたが、バイアグラが陰茎海綿体 PDE5に対する阻害作用の約 1/10の効力で、PDE6 の活性を阻害する為、網膜色素変性症患者さんには禁忌となっているらしい。また彩視症・光視症がでるのもPDE6が阻害されるため?(https://takeganka.exblog.jp/18262872/ )

昼盲性疾患

※杆体が正常で、錐体が障害を受けていると、暗いところより明るいところで見にくい・・。

  • 後天性(進行性):錐体ジストロフィ、オカルト黄斑ジストロフィ
  • 先天性(停在性・進行遅い):先天色覚異常(杆体1色覚・S錐体1色覚)やLeber先天盲の一部?

8歳女児 低視力、羞明、眼振がある杆体1色型色覚。常染色体劣性でCNGA3遺伝子変異。
※オリバー・サックスの『色のない島へ』の紹介。この本によると・・・・・・
『ミクロネシア連邦のピンゲラップ島は、12人に1人を1色覚者(錐体を持たない)が占める島である。これは、1775年頃に島を襲ったレンキエキ台風によって人口が20数人にまで減ってしまい、その生き残りに1色覚者がいたため、孤立した環境で近親婚を繰り返した結果、1色覚者の割合が高くなったものである。1色覚者は暗い場所で微妙な明かりを見分けることができるとされている。このため、ピンゲラップ島において1色覚者の人々は、月明かりの下でトビウオを捕まえる極めて優れた漁師であるといわれている。』 らしいが、この1色覚者つまり、杆体1色型色覚はCNGB3遺伝子変異だと。
②6歳男児。両眼矯正視力0.1。黄色がわかる?ERGconeもフリッカーも×だが、S錐体ERGが○

  • 赤錐体(L)(50-70%)・緑錐体(M)(20-40%)・青錐体(S4-10%):600-700
  • 杆体:12000

※赤・緑・青錐体(-)、杆体(+)⇒杆体1色覚、これと赤・緑錐体(-)、青錐体(+)、杆体(+)⇒青(S)錐体1色覚は似ていて鑑別困難。低視力・眼振・羞明、強い色覚異常。ただ色が全くわからないのに黄色だけがわかるのがポイント?S錐体(+)

遺伝子検索による診断

  1. 35歳女性 3歳から低視力。RV=(0.02×S-16D)LV=(0.03×S-15D)OCT異常(-)?、視神経蒼白?・・・PDE6C異常⇒杆体1色覚
  2. 54歳男性 先天性脳性麻痺 両眼視力不良。AHI1異常⇒ジュベール症候群MRIで小脳虫部欠損(+)
  3. 31歳男性。幼少時から夜盲、血族結婚(+)

  • 両眼アーケード付近の網膜色素上皮萎縮⇒やがて網脈絡膜萎縮(pigmentosa様)。
  • フリッカー×、フラッシュ○⇒錐体ジストロフィ?
  • NR2E3異常⇒青錐体強調症候群

※視細胞分化に働く転写因子の異常で、杆体になる前駆細胞がS錐体になる。本来4-10%S錐体が92%に?(日本で9人見つかっていて、うち4人が近大で・・)


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by takeuchi-ganka | 2018-04-15 09:33 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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