
今回の日眼出席の主目的は、この講演を聴くことにありました。当然、本ブログの投稿もこの講演の記録から・・
指名講演2
脈絡膜新生血管の生体イメージングと病理相関
髙橋 寛二(関西医大附属病院・眼科)
1,実験的脈絡膜新生血管におけるOCTA-病理相関
en faceOCTA画像と脈絡膜flatmount組織標本の免疫組織染色画像(CD31、PDGFRβ・・)の比較検討すると、pericyte-like scaffoldが大きい。ダークハローは線維化組織・・このようなデータが背景にOCTAを読影が洗練されていくのだろう。
2,PCVのOCTA-病理相関
PCVは、網膜色素上皮下の異常血管網とポリープ様病巣。このポリープの血管構造を解析すると、毛細血管型ポリープ(39.8%)とループ型ポリープ(60.2%)に。この2群で、抗VEGFによる治療効果に明らかな差は確認されなかったが、OCTAで退縮傾向が認められて、血管構造は大きく変化した?また、HighFlow病巣とLowFlow病巣がある。OCTAでの検出率が83%にとどまったのは、vascular poor病巣が捉えにくかったから?
3,滲出型加齢黄斑変性の2型CNVのOCTA-病理相関
滲出型加齢黄斑変性の2型CNVには2つの形態:①未熟な周皮細部・炎症細胞が伴うもの ②管腔が広い成熟血管。前者は欧米に見られるタイプで、完全退縮しにくい。後者はPCVに似ていて(PCVが起源?)、SHRMを伴い、視力改善が得られやすい。問題になる線維化は、毛細血管型に・・
4,Pachychoroidspectrum 疾患群における脈絡膜構造とその発症機序の解明
PCVの摘出標本⇒脈絡膜の血管拡張、Hallerの血管拡張が脈絡膜肥厚の原因。CD34で血管内皮を染めると、Haller層の拡張血管で増加、CCで減少(脱落)(Focal dropout/diffuse dropout)。 pachyvessel⇒CC閉塞⇒脱落・・。VEGFを染めると、脈絡膜間質に増加。melanocyte?マクロファージ?lymphocyte?・・脈絡膜血管拡張⇒CC閉塞⇒VEGF upregulation⇒Type1 CNV・・・(仮説)。
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彼は昔からそうなのだが、細隙灯顕微鏡や検眼鏡の検査所見から、FAやIA、そしてOCTAにおいても、その読影には、背景に広くて深い病理組織学的知識の裏付けがある。OCTが普及し、OCTAが普及し始めた今、教室の伝統でもある脈絡膜循環障害・脈絡膜新生血管に対する研究を背景に、その病理相関を明らかにし、Pachychoroid spectrum 疾患群の原因解明も、もうすぐ・・・? 私には、3つの評議員指名講演の中で、抜きん出て素晴らしい講演だと思えた。
※どのようなシステム(力学)で指名がなされているのかは知らないけど、我らがエースがやっとこの講演を行うことができました。今月4月27日は、宇山昌延先生の命日で、亡くなられてもう7年目になります。宇山先生が、福岡での第84回日本眼科学会で、宿題報告『脈絡膜循環の諸問題、脈絡膜循環障害の病態について』をされたのが、1980年。この時恩師は48歳です。まだ私が出会う前のかなり怖―い時代(^o^) この時から38年も経ってしまいました。宇山先生、こんなに遅くなりましたよ。聞いてます?
※この日の学会終了後、同期の連中を集めて料理屋さんで一献傾けました・・・と言っても、私が数十献で彼は数献?。そこでは、34年前同様、大人しくて、フレンドリーな寛ちゃんでした。かえって疲れさせたのならごめんね。