2018年 05月 27日
第47回関西医大眼科同窓会の春の勉強会 その1 (1063)
今回の第47回関西医大眼科同窓会の春の勉強会は、高橋寛二教授就任10周年を祝う会を兼ねた、いつもよりかなり豪華なセッティング行われました。場所も、かつて宇山教授就任○×周年で使った懐かしいロイヤルホテルの山楽の間で。この手の派手なお祝いは苦手な彼の事ですから、今回このような事になったのは、同窓会の先輩の意見に押し切られたのでしょう・・・・^^; ただ、いつもの同窓会と異なり、あまり普段見かけないような先生の顔を多数見かけることができて、それなりに良かったのかもしれません。
高橋寛二教授とは同期で、我々は昭和53年に13名もの大人数で入局しました。関西医大眼科には、何故か主席卒業金時計組の人が結構おられたのですが、その中でも彼はちょっと異次元で、私は大学が違うので、学生時代にその恩恵を受けていませんが、学生時代に彼がまとめた勉強資料は、『カンマト』(?)と呼ばれていて、同学年のみならず、後輩の連中も相当世話になったようです。入局後、夜遅くまで医局にいて、いったいいつ勉強しているのかわかりませんが、兎に角何でも知っていて、何をしても完璧にこなしている姿を見ていると、こんな人が教授になるんだろうなあ・・・と理解せざるを得ませんでした。彼の書くカルテは、そのまま教科書になるような出来栄えで、彼の書く眼底スケッチは、そのまま眼科図譜レベルだったような・・・。友田先生が紹介されていましたが、第1回の眼科専門医試験の結果が全国第2位らしく、それ自体が凄いことなのに、宇山先生は、彼より上がいることに驚いた・・・という話は、もはや伝説です。
井街賞受賞記念講演 美井メイ先生
Controllable UrokinaseGene Expression in Cultured Trabecular Meshwork Cells
緑内障患者においては、線維柱帯細胞は減少して、異常細胞外マトリックスは増加。この増加した細胞外マトリックスを線溶系酵素で分解すれば、眼圧下降可能?
- ブタ眼球から線維柱帯細胞を採取して培養して、そこにウロキナーゼ遺伝子を導入できることを確認。
- ブタ線維柱帯細胞にウロキナーゼ遺伝子導入(Tet-On® Advanced 発現誘導システム)して、ドキシサイクリン下で濃度依存性にウロキナーゼ発現がコントロール可能だった。でも、将来治療応用の可能性は??
特別講演
En Face OCTでみる黄斑疾患 五味文 兵庫医大教授
1,En FaceOCT
講演とは関係ないが、当院にあるトプコンの機種でもEn Face画像は撮影可能です。緑内障の検出の時にしばしば行っているのだが、まず、3Dワイドという方法でOCTを撮ります。ここでEnViewをクリックして、網膜神経線維層というか、NFLDを明瞭に見たいので、baseをILMにしてフラットニングします。
この画像が↓このように変形して表示される。
これで、網膜表層のEn Faceを表示させると、このように明瞭なNFLDが上方と下方に・・
ERMの場合も、
カラーでもその存在広がりはわかりますが、OCTだとERMは更に明瞭に見えます。これもEn Faceで見ると、更にその程度や範囲はさらに理解しやすくなる。
2、ERM
術者によってスタンスは様々で、これがあればなんでも手術しているような術者も見かけますが、本当の手術適応はどのあたりにあるのでしょうか。
①Mチャート:これによる歪視の定量 http://inami.co.jp/category04/detail/id=1147
②ニューアニセイコニアテスト:不等像視の定量
これにより、術前術後の自覚的評価が、少しは客観的に・・・?ERMで歪視が強くなると、コントラスト感度低下。EZとも関連。QOL低下。ILMの厚みと関連・・
En Face:表層でフラットニングして、ERMの広がり、foldの強さが把握できる。中心窩の歪や膜の架橋・皺壁・癒着がわかる。網膜色素上皮でフラットニングすると、OPL(外網状層)下あたりに白いさざ波様のシワ(同心円状)があり、視機能と関連?やがて、EZの抜けも・・・
※術後見られるDONFL(dissociated optic nerve fiber layer) ⇒inner retinal dimpling (小さな陥凹の集簇)。感度低下も見られるので、内境界膜は剥がさないように・・
3,RRD
胞状網膜剥離の復位後、En Faceで網膜外層(outer retinal slab)にみられるシワ
- 明瞭な皺壁:元々あったシワの名残。網膜外層の隆起。徐々に小さくなる。
- 不明瞭な皺壁:EZの抜け(外層が不連続)。これも徐々に小さくなる。
※剥離網膜の浮腫(+)なら必発。
4,脈絡膜
CC・Sattler・Haller
※血液の流れは、SPCAからSattler経由でCCへ。その後、Haller経由で渦静脈へ。つまり、Hallerは静脈系。
①CSCではHallerが厚く、血管が太い:pachychoroid, pachyvessel・・
再発CSCにおいて、時にCNVが見える?pachychoroidneovasculopathy(CNVがあってもCSC?) 60眼で調べて、23.3%でCNVがあったと。他眼においても、3眼で(+)。SRDはないが・・ ※既にAMD?、CSCからAMDになる過程?PCVのネットワークからポリープが?
②PCVの診断にはICGが必要だが、OCTAでも可能?En Faceのouter retinaでポリープが、CCレベルでネットワークが検出可能。トリトンのAngio(デフォルト)でPCV検出率は84%
※流入速度の速いもの(検出しやすい)と遅いもの(検出されにくい)がある。SPCAに近いと速い?