第425回大阪眼科集談会 その3 (1089)

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三瓶山 西の原のクロスカントリーコースにて


特別講演

弱視の病態と治療 三木淳司 川崎医大

92年新潟大卒、2010年から川崎医大教授に・・

あの大雨で、1ヶ月前の日本弱視斜視学会(学会長)の2日目のプログラム中止に・・

社会的・教育的弱視は、ロービジョンだが、医学的弱視はambryopia, lazey eye。今回はこのambryopiaの話で、眼の検査では異常がなくて、治療効果はある。fMRIで研究で、一次視覚野・外側膝状体には異常あり。で、網膜には異常なし?古い研究では、神経節細胞レベルで異常ありだったり、なしだったり。

網脈絡膜厚は?TD-OCTのスタデイでは、乳頭周囲神経線維層厚は異常なし。網膜神経線維層厚も異常なし。一般的に弱視眼は遠視気味だが、それを加味しても異常なし。OCTが進化してSD-OCTを用いても、網膜神経線維厚もGCCも差がない。ただ、多数の報告のメタ解析では、cpRNFL・黄斑部内層厚⇒弱視眼は厚い、脈絡膜厚(中心窩)⇒弱視が厚い。

今回、SS-OCTで調べたが、不同視弱視では網膜厚では差がないが、脈絡膜厚は、弱視厚い(眼軸長補正後)。屈折異常を伴う場合に差がある。ただ、斜視弱視は、全て差がなかった。治療すると、視力は改善するが、脈絡膜厚は変化ない。

f-MRI: http://www.sart.jp/wp/wp-content/uploads/2016/11/6.Gakujututokushu.pdf#search='functional+magnetic+resonance+imaging++機能'

弱視治療のEBM

http://pedig.jaeb.org/ViewPage.aspx?PageName=Home 

アメリカの小児眼科医を中心とした小児眼科研究者グループPediatric Eye Disease Investigator GroupPEDIG)によるエビデンスレベルの高い多施設臨床研究が数多くある。経験則だけではない、EBMに基づいた弱視治療とは・・

  1. 屈折矯正のみで
  2. アイパッチとアトロピン
  3. アイパッチは何時間?
  4. アトロピン遮蔽は何時間?
  5. 近見作業は?

1,眼鏡装用

眼鏡装用のみ vs 健眼遮蔽併用

眼鏡装用のみで改善する人は結構多い。斜視があっても・・。視力がプラトーになるのは、最長30週間。プラトーになるまでは、眼鏡のみでいい。プラトーになれば、健眼遮蔽併用。

2,アイパッチ時間

中等度(0.20.5)や重度(0.2以下)では? 中等度弱視では、「2時間 vs 6時間」⇒差がない。重度弱視でも「6時間 vs 終日」⇒差がない。

※初期治療のみ

3,アトロピン

※アトロピンを第一選択にする人は殆どいないらしいが・・。アイパッチのコンプライアンス不良例ではこちらがいいかも・・。

アトロピン1/vs アイパッチ6時間⇒立ち上がりはアイパッチがいいが、6ヶ月経過するとほぼ同じ。これは長期成績でも。7歳未満の子供に治療開始して、15歳での視力は、アイパッチとアトロピン差がない。

5歳以下で治療開始群は、5歳以降治療開始群より成績がいい。早期治療すべき。

※メタ解析:7歳以降治療開始は、視力改善悪い。

4,アイパッチ時間

アイパッチを行って、視力が頭打ちしたら、遮蔽時間を長くすればいいのか? 2時間/日☓12週間 ⇒ 2時間のまま vs 6時間に増やす ⇒6時間群の方が改善する。 2時間と6時間は差がなかったが、視力改善頭打ちしたら、6時間に。

5,弱視治療

アイパッチ・アトロピンに加えて、両眼開放でコンピューターゲームの利用。赤緑メガネで左右眼分離して行う。これなら、アイパッチより短時間でいい。

※テトリス 弱視眼には高コントラスト、健眼には低コントラスト(ハンデ)のメガネでゲームを。徐々にハンデを少なくする。このテトリスでの臨床試験。1時間テトリス vs 2時間アイパッチ。アイパッチが少しいい。テトリス群が勝てなかったのは、毎日1時間テトリスしろと言われても、飽きて苦痛だと。アドヒアランスに問題。新しいゲームDigRushが開発中。

  1. 眼鏡装用のみ
  2. アイパッチとアトロピンともに有効。
  3. 若い頃から開始すべき。
  4. 初期治療は2時間でもOK。視力改善頭打ちになれば増やす。
  5. 10歳台でも弱視治療可能
  6. ゲームも将来有用なツールに・・

日本での全国アンケート(181施設)

国内の弱視治療の状況とPEDIGとの違いは?

中等度の不同視弱視

3歳で0.3。斜視(-)、屈折異常は+1.5D/+4.5D。この場合屈折矯正のみ(65%)、3ヶ月ぐらい様子みる。これはPEDIGとほぼ一致。追加治療は?アイパッチが75%ぐらいで、3時間が多い(PEDIG 2時間)。アトロピンは20%ぐらいで、毎日が多い(PEDIGは週2回、土日点眼)。

※他の国は、アトロピン毎日多い。

※アイパッチに加える近見作業について。近見作業の効果は?PEDIGではエビデンス(-)?最近はゲームが注目。

斜視がある弱視

最初から「眼鏡+アイパッチ」が多い(48.8%)が、PEDIGはまずは眼鏡のみと言っているが・・・。重度の弱視なら遮蔽時間は3時間が最も多い(ついで6時間)。PEDIG6時間。中等度なら2時間、重度6時間が多い。

10台の弱視の治療

今では、90%が治療する。2/3眼鏡+アイパッチ(26時間)PEDIGと同じ。効果(+)

質疑

1,不同視弱視 片眼の抑制について。弱視治療して視力が出ても、両眼開放下では、抑制がかかっているケースをどうするか。テトリス治療はどうか?⇒中心窩抑制が残る症例の抑制を取り除く事は、本当に必要なのか?テトリスはもともと抑制を外す目的もあるらしいのだが、抑制を取り除くと、複視に困る可能性(+)。テトリス訓練後に複視出ているらしい。抑制の扱いは問題・・。両眼視機能が悪い人はそのままでいい?

2,EBMを得るために・・:無治療をコントロールにしたスタデイはなかなか組めない。妥協点として、治療の程度に差をつけた比較試験。

3,アイパッチによる遮閉弱視のリスクは?片眼弱視の診断が確定していれば、健眼を6時間遮閉しても大丈夫。アトロピンの方が健眼弱視のリスクあり。

4、斜視弱視は、一般論として、まず弱視治療を優先して、中心窩で見れるようになってから、斜視の手術を・・。

5,弱視は何歳までチャレンジ可能か?18歳?初回治療に限るが、15歳ぐらいまで治療可能かも。


by takeuchi-ganka | 2018-08-19 09:34 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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