第426回大阪眼科集談会 特別講演 (1104)

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砥峰高原のススキ

開業医としては、非常に気になるテーマです。この為にこの日参加したようなもの。

特別講演

眼表面疾患のリスクマネジメント 外園千恵 京都府立医大教授

86年府立医大卒

Ocular surface disease(眼表面疾患)の観察は、いきなり強拡はダメ。まずはdiffuser使用し弱拡で全体を見る。皮膚・眼瞼縁・結膜上皮・角膜上皮・・・、全体を見ることが重要。角膜の幹細胞Stem cellは、輪部に存在している。(※多層で基底部が入り組んでいる。) アルカリバーンでも、これが残存していればいいが、なければ幹細胞疲弊症 ⇒例:軽症から順に、先天無虹彩・腫瘍性疾患・薬剤毒性・化学・熱・SJS・眼類天疱瘡(難治性)

1,腫瘍性疾患

悪性だが、ゆっくり進行するので、慢性結膜炎として治療されていることも。眼表面に変な光沢に要注意。幅を広く上下を狭くして、強膜にあてて・・角膜をみる(Scleral scattering)。フルオレセイン染色:時間が経過してみると、透過性亢進の有無がはっきりする。

Dysplasia・上皮内癌は、上皮基底膜正常だが、結膜扁平上皮癌は上皮基底膜破壊(スリット鑑別困難。生検で・・。) Ocular surface squamousneoplasia と一括して呼ばれている。輪部(39時)多い。瞳孔領に及んで視力低下。再発はするが、転移は稀・ほとんどない。

https://bit.ly/2D3kzqz 

結膜扁平上皮癌:栄養血管(+)、花火様微小血管(強拡)(血流豊富)、フルオで境界がわかりやすい(リサミングリーンでも・・)。眼瞼結膜にもあるが非常に稀。扁平上皮癌は、転移しないので、生検すればいい。治療:5FU点眼だけでは無理。腫瘍切除が基本。すると幹細胞なくなるので、上皮移植。※眼表面再建のテクニック:上皮・羊膜移植。その後5FU点眼(海外はMMCが多いが・・)

※鑑別診断 ①結膜乳頭腫:下眼瞼・涙丘・多発・有茎・1030歳代 ②扁平上皮癌:単発・水平に拡大・輪部60歳以上

2,重症熱傷・化学火傷

遅延性上皮欠損を来す。時に半年ほど経過してからのこともある。結膜侵入・・・をさせないような初期治療が重要。急性期の重症度分類(アルカリバーンなど):木下分類(シンプルかつ実用的)

  • 1  結膜充血、角膜上皮欠損(-)
  • 2  結膜充血、部分的角膜上皮欠損(+)
  • a 全角膜上皮欠損、輪部上皮(+)
  • b 全角膜上皮欠損、輪部上皮完全消失
  • 4  半周以上輪部壊死、全角膜上皮欠損、輪部上皮完全消失

グレード4は治せない・・

府立医大では24時間救急しているらしい。アルカリバーンの患者は、まず洗眼15分以上洗ってから受診を)。輪部上皮の有無が予後を決める。非常に重要。抗菌剤とステロイド。グレード3以上なら、特にステロイドが重要で、ソルメドロール125mg点滴(2-3日)、内服・ベタメタゾン点眼も。

※前房内サイトカイン↑↑(IL-8↑) (だからステロイド有用)

※初期の消炎の重要性。徹底した消炎が必要。ソルメド点滴・プレドニン内服・リンデロン点そして感染予防

症例提示:アルカリバーン。ステロイドが入っていて、消炎された後紹介された。1週間経過しても、右眼は全上皮欠損、左眼はわずかに輪部上皮残っている。この時点では、患者さんはまだ見えているので重篤感がない。右眼は難しいが、左眼は何とかなる? 

ソルメドロール125mg2、プレドニン10mg/日、ベタメタゾン点5回/日⇒これで上皮再生・・。

2年後、右眼は上皮混濁⇒移植へ、左眼は角膜透明で、一部結膜侵入。

(※ステロイド入れると、消炎されて上皮が再生する。勿論眼圧上昇や感染に注意。)

3,スティーヴンス・ジョンソン症候群Stevens-JohnsonsyndromeSJS、皮膚粘膜眼症候群)と、その重症型の中毒性表皮壊死融解症Toxicepidermal necrolysis TEN

http://eye.sjs-ten.jp/doctor 

1年に400500人(全国)発症している。高熱後に重症薬疹。皮膚科で診断困難な事も。致死的なので、眼科に来るのは遅い。重症薬疹は薬疹と違って、発疹だけでなく、致死的な臓器障害が生じている。90%が薬物の既往あり。SJSTENは皮膚表皮剥離面積の程度の違い。10%未満がSJSで、それ以上がTEN。眼科としては差がないが、皮膚科では、致死率が異なるので区別している。眼科は慢性期に受診していて、83%が幹細胞消失。0.09以下が52%で、全例ドライアイ。

急性期の症状は画一的で、感冒様症状(80%)で、薬服用後、12日で高熱(3940℃)が出て発疹。充血・意識消失・・・・。急性期の眼所見は?①充血 ②偽膜 ③上皮欠損。②③があれば重症化、予後不良。※爪の根本が赤くて、段差できてくる。幹細胞があるから。

爪の変形94%)、結膜炎94%)、口腔・口唇びらん82%)があれば、重症化の恐れあって要注意。

症例:SNSの急患。充血軽い?EKC?球結膜上皮が広範囲に欠損(フルオ染色重要)。

重症例の急性期治療:ステロイドパルス ⇒ プレドニン内服(80mgから漸減)・ベタメタゾン点眼。(※血液のサイトカインも上昇していが、涙液中のサイトカインも正常の100倍以上に上昇。消炎が重要な根拠)

※急性期の治療と後遺症(レトロスペクティブに検討)⇒急性期のステロイドの有無が重要。ステロイド無だと予後不良。ステロイド有だと30%は視力良好。

SJSTEN 日本眼科学会にガイドライン

重症多形滲出性紅斑・スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン

http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/sjs_ten.pdf 

※感冒様症状(80%)、薬(風邪薬・解熱鎮痛剤)、高熱 40℃、充血・口唇びらん・爪囲炎⇒眼が重篤に。子供が多い。重篤化しやすい。

4,眼類天疱瘡 ocularcicatricial pemphigoid

自己免疫性疾患。高齢。最終的にSJSに似る。緩徐に発症。

例:白内障術後、全く問題のない白内障手術の後、SPKが出て難治。特に左眼。左眼は眼瞼腫脹、開瞼しにくい。上皮欠損、瞼球癒着、シルマー低下高度 ※乾燥感(-)

Ocular MMP:手術既往ありが9眼で、手術後急性増悪6眼(白内障5、内反症2)、手術既往なしは13眼 (2012日眼 福本)

※粘膜類天疱瘡(MMPMucous membrane pemphigoid

http://ivd.mbl.co.jp/autoimmune_bullous/pemphigoid.html 

『類天疱瘡群は,全身性の緊満性水疱を特徴とする疾患で,組織学的に表皮下水疱を認め,免疫学的には抗表皮基底膜抗体が検出されます.患者血清中に主にIgGクラスの自己抗体が認められ,表皮基底膜部にはIgGならびに補体成分C3の線状沈着が認められます.』

Foster分類

  • ステージⅠ 慢性結膜炎
  • ステージⅡ 円蓋部短縮
  • ※ステージⅡまでに免疫抑制行えたら、進行防げる。)
  • ステージⅢ 瞼球癒着・角膜血管侵入・睫毛乱生・涙液減少・角膜混濁
  • ステージⅣ 角結膜表面角化

※最近は、SJSよりも、高齢の方の眼類天疱瘡が多い。眼類天疱瘡は、粘膜類天疱瘡(Mucousmembrane pemphigoidMMP)の眼型。口腔・咽頭・喉頭・外陰部が問題。皮膚科と相談するが、発疹がないと、見てくれない皮膚科だと苦労する?通常は、口腔は歯科で、咽頭・喉頭は耳鼻科でチェック。眼類天疱瘡と口腔の合併が一番多い。Ocular MMPは若干高齢(難聴多い)で、multiple MMPは少し若い。

※気がつかないで白内障手術して、NSAIDを使ってしまうと悪化する。上方向いてもらって、円蓋部の瞼球癒着があれば、シルマーして、羊膜準備、ステロイド点滴・内服しつつ手術。(我々は手を出さないよう注意しなくては) 皮膚科で診断がついてる場合、眼が重症化することは少ない。治療しているから・・?眼だけの場合が問題。

5,治療

1,羊膜移植 1998年~

保険収載・薬事承認。年間500件ほど・・? 再発翼状片、結膜悪性腫瘍切除後の眼表面再建、羊膜が上皮増殖の足場となる。

※角膜学会でガイドライン http://cornea.gr.jp/amnion/ 

2,培養口腔粘膜上皮シート移植 1999年~

角膜上皮シート移植はベンチャーが失敗。培養口腔粘膜上皮シート移植(COMETcultivated oral mucosal epithelialtransplantation)を。羊膜の上に多層化した(培養口腔粘膜)上皮がのっているものを移植。すごくいい視力にはならないが、自力で歩けるほどにはなる。SJSは視力改善に。OCPは癒着解除。熱・化学火傷では、これを行って落ち着いた後PKP(二期的手術)

http://eye.sjs-ten.jp/advanced_treatment/comet 

3,輪部支持HCL 2010年から

http://eye.sjs-ten.jp/doctor/new_equipment 

あまり期待してなかったが(?)、意外と視力良好で喜ばれる。


by takeuchi-ganka | 2018-11-06 14:43 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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