第11回Osaka Opthalmology Forum その2 (1109)

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一度は見ておきたかったので、混雑覚悟で東福寺へ行ってきました。


網膜レジストリー研究について:眼科診療へのAIの可能性

鹿児島大学教授 坂本泰二

最近、かなり年配の雰囲気の演者が、経歴紹介で年下であると分かって、改めて自分の老いに愕然としつつ講演を聴くことが多いのだが、この先生も少し下なんだろうなあ・・。ただ、結構個性の強い演者の話は面白く拝聴できました。まずは、最近日本のAJOの掲載率が韓国に劣っている事の嘆きから。サイエンスは国力の基盤で、医療は国家戦略物資だと。自分の過去を振り返ってもそうだが、我々が医師になった1980年代、EBMなんて言葉はなく、直感・経験だけで医療を行っていたかどうかは不明だが、あれから30年以上経過して、EBM以外は許されない時代に?

エビデンスレベル分類

l 1aランダム化比較試験のメタアナリシス

l 1b少なくとも一つのランダム化比較試験(RCT)

l 2aランダム割付を伴わない同時コントロールを伴うコホート研究

(前向き研究、prospectivestudy, concurrent cohort studyなど

l 2bランダム割付を伴わない過去のコントロールを伴うコホート研究

historicalcohort study, retrospective cohort studyなど)

l 3症例対照研究(ケースコントロール,後ろ向き研究)

l 4処置前後の比較などの前後比較、対照群を伴わない研究

l 5症例報告、ケースシリーズ

l 6専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)

EBMを実行するためには、RCTが必要。演者は以前、硝子体手術にトリアムシノロンを併用することの有用性を確認するためのRCTを行ったが、試験デザインの決定、症例収集など結構大変だったようで、最終的に合併症の1つの裂孔形成を減少させることができるとの結果を得たようです。下記論文。

Reduced incidence ofintraoperative complications in a multicenter controlled clinical trial oftriamcinolone in vitrectomy. Ophthalmology.2007 Feb;114(2):289-96.

 苦労して行った日本初のRCTだが、大して注目されなかったと^^; その後、糖尿病網膜症への硝子体手術のRCTも企画したが、症例が集まらなかったらしい。RCTは基準が厳しくて、症例集めが難しい。非効率で不経済・・・これからは、Real World DataRWD)の重要性が高まっている。RCTは厳しい条件を満たした症例のみが対象になるが、現実は様々な症例が対象になるわけで、有用性はReal World Dataが遥かに上。

 米国眼科学会は、IRISIntelligent Research in Sight)レジストリーを開始して、既に膨大なデータの蓄積がある(3500万件)。アメリカでは、様々な問題から今でもアバスチンが一番多く使われているが、眼内炎の発症が危惧されていた。この問題はIRISレジストリーデータによって、他の抗VEGF製剤と差がないことが明らかに・・・。

日本でもやっとレジストリーが始まった。とりあえず、どんな治療をしていても全ての症例を登録。例えば裂孔原性網膜剥離の発症は萎縮性円孔が原因の若い群とPVD後の弁状裂孔が原因の中高年2つのピークがあると言われていたが、リアルワールドでは若者の人口が少ないためか、ピークは5060代のみ。都道府県別の治療における硝子体手術の割合は55%~100%とバラツキあり。今後はカルテを登録しやすい形にするとか、電子カルテにして自動的に収集するシステムが必要になる。

眼底写真1枚から様々なデータを自動的に検出するシステムができつつある。眼科医の役割は?スクリーニング機器が増えて、OCTの自動診断システムも普及すると患者は増加する。将来、医師の人件費よりもAIのコストの方が安くなってくれば、仕事が奪われる?AIによる眼底写真の自動診断は完成の域に達していて、これがビッグデータと結びつくと何かが生まれる?今後はデータの重要性が益々増加する。


by takeuchi-ganka | 2018-11-22 16:56 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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