第353回大阪眼科集談会(その2)

第353回大阪眼科集談会(その2)

6、瞳孔ブロックを来たした Fibrous congenital iris membrane の乳児例(大阪大)

 この疾患は、知りませんが、先天性に瞳孔領に存在する白色の膜状物で、提示されたUBMを見る限り、iris bombe の状態でした。つまり、瞳孔領で、虹彩後癒着を全周に引き起こしたのでしょう。切除して治った、そんな発表でした。この画像は、ネット上で見つけたものです。

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7、著明な視力変動をきたした末期緑内障の1例(大阪医大)

  これは、末期緑内障というと語弊がありそうです。緑内障といっても、増殖性の糖尿病網膜症があり、血管新生緑内障を発症し、その末期状態です。一時的に、(0.3)から指数弁まで低下したが、カルナクリン内服、ハイパジール点眼による循環改善で(?)、再び(0.3)へ。透析開始後、血圧の変動で光覚弁まで低下し、血圧変動を抑えると、(0.3)に戻ったと・・。つまり、末期緑内障に虚血性視神経症が合わさったような病態でしょうが、循環状態によって大きく視力が変動したという報告でした。単なる末期緑内障でもそうかも知れませんが、循環障害的要因が非常に強い緑内障の末期には、このようなことは、さもありなんです。何度か経験し、結局、駄目でしたが・・・

8、完全な硝子体の郭清が必要であった悪性緑内障の2例(関西医大)

この緑内障は、かつて悪性と恐れられた時代があり、経験したのは、小さな眼に濾過手術をしたときです。通常、濾過手術後の浅前房は、過剰濾過が原因で、低眼圧なのですが、術後徐々に前房が浅くなるのに、逆に眼圧が上がってくることがある。どかんと、一気に上昇しないで、徐々に上昇してくる。通常の閉塞隅角緑内障の治療法が、無効なので、悪性と呼ばれたのでしょうか。原因として、房水が後房へ向かわずに、硝子体腔へ向かい、そこでトラップされる。きっと、そのきっかけを、術後の浅前房は、つくってしまうのでしょうが・・・。結果、(圧縮された状態の)前部硝子体・水晶体嚢(水晶体)・チン小体などが、ワンピースとなって、房水が後房へ行くのをブロックする(このブロックは、瞳孔ブロックに対して、毛様体ブロックと呼ばれるようになりました)。その後、徐々に後房がつぶれ、虹彩・レンズは一体となって前進し、前房をつぶしていく。この房水の間違った流れを止めれば、緩解へ向かうのですが、それがなかなか難しい。瞳孔ブロックは、虹彩に孔を開ければいいが、毛様体ブロックは、水晶体嚢(水晶体)+(コンデンスされた)前部硝子体という分厚いのものに、十分大きな孔をあけるのが難しいようです。ヤグレーザーで奏功する場合もあるでしょうが、このターゲットの分厚さ、或いは、房水がトラップされている位置にバリエーションが多いのか、レーザー虹彩切開術のように単純に孔をあけて終わりと言うわけにはゆきません。レーザーでなんとかならなければ、硝子体の切除ということになるのです。硝子体切除といっても、所謂前部硝子体切除では不確実で、無効であったり、再発することがあります。どうせ手術をするのなら、中途半端なことはせずに、毛様体ブロックに関わっている構造物を全て除去すべきで、だからこそ、郭清という言葉を選択されたのでしょうか。今回の発表は、そういう主旨だと理解しました。
 ただ、レーザー虹彩切開術後に、周辺虹彩前癒着が残存するように、毛様体ブロック解除後も、毛様溝は、潰れたままのようです。
 瞳孔ブロック   ⇒周辺虹彩前癒着(PAS)
 毛様体ブロック  ⇒毛様溝閉塞(Ciriary Sulcus is closed : CSC) こんな用語はないですが・・

この図は、全く別の症例ですが、硝子体手術後のUBMです。隅角は開いても、毛様溝は閉じたままです。
CSC(+)
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9、遊離結膜弁移植による濾過胞再建(関西医大)

 きれいに濾過胞が再建できていましたが、問題は、中・長期の結果でしょうね。もし、長期に良ければ、積極的にすればいいですが・・・。期待しています。

10、OCT c-scna を用いた網膜疾患の評価(住友病院)

 超音波のBモードのような断面をみるモードを、OCTのBモードとした時に、それと直交する断面を見ることができる器械です。多分、非常に高価な器械でしょうが、それに答えられるパフォーマンスかどうかは、まだ不明です。本当に役に立つのかなあ・・・

11、増殖糖尿病網膜症における網膜新生血管に対する bevacizumab ( Avastin)の硝子体投与の効果(大阪大)

  抗VEGF抗体のbevacizumab ( Avastin)の硝子体投与の成績だが、劇的に有効なようです。うまく使えば、増殖性糖尿病網膜症にこれをワンショットいれといて、血管新生を押さえておいて、PRPや硝子体手術へもっていけばいいのでしょうか。或いは、これだけで、治療できる可能性もあるのかもしれませんが、一応、新生血管は押さえられても、無血管野はそのままのようで、やはり、PRPは必要なようです。
  特に、虹彩の血管新生は、疫病神のような存在でしたが、これを薬で抑えておいて、次のステップに進めるなら、この分野において、格段の治療成績向上をもたらしてくれるかもしれません。
  とにかく、この血管新生を抑える薬物の臨床応用は、ラッシュで、今後の発展が非常に期待できます。ただ、まだ、阪大の独占状態が続いているようで、他の施設からの発表が全くありません。

この後、仲間内の緑内障勉強会があったので、退席しましたが、集談会も真面目に聞けば、結構勉強になります。できたら、メモがとりやすいように、テーブルがある会場がいいなあ・・・
by takeuchi-ganka | 2006-08-08 09:40 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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