眼科スタッフ教育講座 カラーコンタクトレンズ その1(1112)

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大阪府眼科医会のコメディカル部では、湖崎理事の指導の元で、様々な事業が行われていますが、その一つに眼科スタッフ教育講座があります。彼が知恵を絞り、その時代のトピックと定番のテーマを一つずつ選んで、講師を招待して開催されていますが、今年はカラーコンタクトレンズ近視進行抑制について。印象記を依頼されていたので、いつもより若干念入りに聴いてきました。

眼科スタッフ教育講座

テーマ1 

あなたの知らない『怖いコンタクトレンズの世界』

―ネット購入のカラコンを装用して受診した患者さんに対して、あなたはどうする?―

渡邉潔 ワタナベ眼科院長(日本コンタクトレンズ学会 医療対策担当常任理事)

大阪駅前の地下街にある超有名クリニックと、老人人口比率の高いエリアの下町にある名もないクリニックでは、コンタクトレンズ関連の顧客層が全く異なることもあり、『私の知らない怖いコンタクトレンズの世界』を教えていただきました。非常に多数のカラコンユーザーを目にしている演者は、コンタクトレンズ学会の重鎮でもあり、厚労省との折衝も行っていて、各方面に対して不満が充満していることが垣間見える講演でした。

問題の2017926日 厚労省局長通知は以下のサイトにあります。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0926.pdf#search='2017%E5%B9%B49%E6%9C%8826%E6%97%A5+%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81%E5%B1%80%E9%95%B7%E9%80%9A%E7%9F%A5' 

※この通知内容は、期待したものより通販業者よりの通知内容となっていて、『購入者が医療機関を受診していない場合は、以下の事項について十分な説明を行い、医療機関を受診するよう勧奨を行うこと。その後、購入者が医療機関を受診している場合は、医師の指示に基づき販売すること。また、医療機関を受診していない場合は、医療機関を受診するよう再度勧奨を行うこと。』 ・・いつものようにわかりにくい官僚用語ですが、「医者にかかったほうがいいよ・・」と言うだけでなので、実際には「別に医者にかからなくてもいいよ・・・」と言っているようなもの?また、一度承認されたコンタクトレンズで、取り消されたものはない(自分たちが承認したものを取り消すことは、無謬主義の官僚には抵抗あり?)。だから、50年前に承認を受けたレンズでも販売可能なのが現実。性能の悪い、承認年度の古いコンタクトレンズを淘汰する為にも、処方箋に従った販売の義務化が必要?演者の基準によれば、安全なカラコンは10種類程度(厳密には5種類ぐらい)しかなく、危険なカラコンは、400種類以上(増加中)もある。何が安全で何が危険なのか・・。

※国民生活センターからのレポート『カラーコンタクトレンズの安全性』

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20140522_1.pdf#search='%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA'

http://www.jpncl.com/c26.htm 

装用者にとっての理想のカラーコンタクトレンズとは? ⇒ http://www.jpncl.com/c26.htm 

オパークタイプ :虹彩の色を変えるレンズで、女子中高性・接客業に多い

エンハンスタイプ(サークルレンズ):黒目を大きく見せるレンズで、女子大生・OL中心

※校医をしている女子高の検診では、オパークは減少して、エンハンスが増加中。400人中90人がカラコンしたまま検診。普段している人の数は更に多いはず?

※接客業にアンケート(新地の女性):95%がカラコンしている。殆どオパーク。

カラーコンタクトレンズ眼障害(201216年) (あたらしい眼科31(11):1583-1589,2014

眼障害の原因となるカラコンは殆どHEMA。これはグループ1に属する60年前の素材。またオパーク294例に対してエンハンス108例と、圧倒的にオパークが多い。でも、せっかく眼障害で受診しても、喉元過ぎると、またHEMAのカラコンに戻ることが多い(62%)。何度指摘しても同じなのは、派手なカラコンは、他に選択肢がないかららしい。

カラーコンタクトレンズの性能

1)レンズ表面への色素の露出

カラコンの色素の位置は、①レンズ中にサンドイッチされていて露出していない。②レンズ後面(角膜側)③レンズ表面(瞼結膜側)の3パターン。色素は金属なので、その位置が問題となる。①は製造が難しく、殆ど欧米製。サンドイッチ構造と謳っていても、そうでもないケース多くて、薄いコーティングのみで、擦り洗いすると色素が露出するものある。②③は製造が簡単で、韓国・台湾製が多い。

平成26年、国民生活センターは、一応厚労省が承認しているレンズを含めて、20種類(個人輸入品が3種類)ほどをテストした。商品名も製造国も表示されている。その結果、『着色部分がレンズ最表面に確認されたものが 17 銘柄中 11 銘柄ありましたが、このうち 9 銘柄の製造販売元等のホームページには着色部分はレンズ内部に埋め込まれている旨の広告表示がありました』だと。

国民生活センターも、直接商品を批判することは避けている。酸素透過性の問題については触れていない。渡邉先生の詳細な解説は⇒ http://www.jpncl.com/c26.htm 

色素のポジションを電顕で調べたデータの紹介。前眼部OCTでも、色素の位置はわかるので、チェックしてみましょう。表面からどれくらい深いところに色素がある?表面の凸凹は?露出していたり、僅かにコーティングしてある程度では、色素がある部位に凸凹ができる。HEMAレンズの着色部位はラフで、凸凹部位は、細菌の付着性も高くなる。

2)使用サイクルとタンパク除去

ユーザーは、コストは安い方がいい。ワンデイより2週間、2週間より1ヶ月、1年?もっともっと長く使える方がいい。09年までは、度なしカラコンは、厚労省的には「おもちゃ」の扱いで、認可なしで販売されていた。障害が多発していたので、09年に法律改正されたのだが、移行措置が問題。従来の粗悪品(60年前のHEMAも)が書類審査だけでスルーされてしまった。

カラーコンタクトレンズ

度あり

度なし

毎日

2週間交換

タンパク除去不要

1ヶ月交換

タンパク除去必要

従来型

1ヶ月交換は従来型と同じ製品なので、タンパク除去が必要。2週間交換はタンパク除去(-)の臨床試験をしている。カラコンは最長1ヶ月だが、09年までに承認とっていた製品が少しあるので(△)。

蛋白除去必要と表示すると、コンタクトレンズは売れないので、メーカーは、蛋白除去を忘れさそうとしている?あるメーカーが、従来型を1ヶ月交換として売出し、蛋白除去を説明書から消した為、GPC、角膜上皮障害・・・などトラブル頻発した過去があるらしい。mたMPSのタンパク除去効果は低い。

3)タイトフィッティング

1980年頃のグループ1のソフトコンタクトレンズのメニコンソフトMA。これはハードレンズのように、BC750-990)も直径も(12.0-14.0)多数あり、フィッティングを確認していた。カラコンは大きな直径のものが人気があるが、直径が0.5mm大きいとBC 0.3はスティープになる。大きな直径のカラコンは、表示よりスティープになっていることに注意が必要。また、カラコンは動くと虹彩の色が瞳孔にかかると見にくいので、直径を大きくして動きを止めているという事情もあるが、グループ1のHEMAのレンズは、酸素を通さないので、結構大きく動かないと涙液交換できない筈。グループ4の高含水は、あまり動かなくても酸素不足にならない。カラコンでもグループ4のデファインはあまり動かなくてもいいが、グループ1HEMAのカラコン(つまり殆どのカラコン)はDk/t10程度で、大きく動く必要があるのだが、現実にはタイトフィッティングされていることが多い。

4)レンズの酸素透過率

ハードコンタクトレンズは、1950年代から始まり、当時酸素を通さないPMMA素材だったが、1980年以降、内皮障害がわかり、1990年代には、RGP素材(高い酸素透過性)に。ハードコンタクトレンズはDk戦争時代に。

ソフトコンタクトレンズは、

1970年:HEMA素材のグループ1(現在メダリスト以外は消えたらしい)

1980年:高含水のグループ2(メニコンソフトS

1984年:非含水のソフィーナ(水道水保存、アメーバ感染の温床指摘(石橋氏)発売中止)

1991年:使い捨てのグループ4(アキュビュー)

2006年:シリコンハイドロゲルのグループ5

※グループ1は、薄いHEMAがメダリストプラスのみ生き残っている。

現在のカラコンは、高含水のグループ2やシリコンハイドロゲルは僅かで(10種類以下)、殆どがグループ1のHEMA素材(400種類以上)。カラコンは、1970年代の素材に逆戻り。コンタクトレンズ障害は殆どがHEMA素材(90%以上)。ソフトコンタクトレンズは、終日装用でもDK/t24.1以上が必要と言われるのに、HEMAは、8-10程度。グループ22426、グループ4は、2433、グループ5のシリコンは138

この24をクリアするために、数値操作疑い。会社の公表値:DK/t24、中心厚0.05DK12・・・?のレンズが、国民生活センター調べでは、DK/t8-10、中心厚0.10DK12だったり・・・。HEMADK12はありえない。改ざんの可能性あり?メーカーの公表値を信用して承認を出しているが、大きな問題を孕んでいる?

FDA分類 (日本の厚労省が使っている分類)

低含水

高含水

非イオン

1(HEMASHCL

イオン

※シリコンハイドロゲルレンズは、低含水なのでグループ1に分類されてしまう。

ISO分類 (学会で推奨している分類)

低含水

高含水

非イオン

イオン

シリコンハイドロゲル

このFDA分類を使っているのが問題で、非常に酸素透過性の高いSHCLと、最も酸素透過性の低いHEMAが同じグループ1に入るのが問題(意図的?)

カラーコンタクトレンズのDk/t

低含水

高含水

非イオン

10-17

(このグループが大部分を占める)

ナチューレ24

フレッシュルック 26

イオン

JILL STUART 24

ワンデーアキュビューディファイン 33

シリコンハイドロゲル

エア オプティクス カラーズ 138

エア オプティクス ブライト 138


長くなるので、続く・・

by takeuchi-ganka | 2019-01-07 17:47 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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