大阪眼疾患セミナー その2 (1117)

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2,食べて治る眼アレルギー、食べさせて治す眼感染症 高知大 福田憲

久しぶりに面白い話だった。タイトルは不思議なタイトルだが・・・

アレルギー性結膜疾患(allergic conjunctival diseases : ACD

  1. アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis: AC)
  2. アトピー性角結膜炎(atopickeratoconjunctivits : AKC)
  3. 春季カタル(vernalkeratoconjunctivitis : VKC)
  4. 巨大乳頭結膜炎(giant papillaryconjunctivits : GPC)

ACの患者さんは圧倒的に多いが、重症なのは、AKCVKC。免疫抑制剤出現前までは、強いステロイド点眼を使っても、結膜の増殖性変化や角膜病変の治療には難渋したし、その後ステロイドによる眼圧上昇にも困った事が多かったが、パピロックミニや特にタリムス(強力!)の登場で、治療は一変した。ほぼステロイドは不用となり(治療開始時80%、1ヶ月で40%、1年後0%)、大学病院への紹介そのものが減ってきたと。ただ、それでもタリムスに抵抗するVKCも存在する(9.5%ほど)。その場合は、ステロイド併用。

VKCがタリムスで寛解状態になった後、治療はどうするのか。①少量継続 ②リアクティブ プロアクティブ

②は、寛解したらステロイド、ついで免疫抑制剤も中止して、抗アレルギー剤のみを継続。再発すればすべて再開。③は、免疫抑制剤を漸減しながらも継続する(1/1~3日)。思春期過ぎの自然寛解時期まで・・。

タリムス登場で、VKCはよく治る疾患となり、むしろACの方が問題にで、現在でも増加しているし、低年齢化している。ただ、治療手段は、マスク・ゴーグルなどのセルフケアとメディカルケア。後者も限定的で対症療法の抗アレルギー剤とステロイドの点眼のみ。蜂のアナフィラキシーで死亡する人は多いが、養蜂業者は何回も刺されていても大丈夫。これは免疫寛容が働いているから? 昔から、減感作療法というのはあり、最近は舌下減感作療法が登場したが、治療が3年以上かかることもあり、根治率は3割ほどで、継続率は低いらしい。理想の治療としては、短期間で、副作用がなく、続けやすいものだが、そこで話は遺伝子組み換え米へ。

※セルフケア

花粉症治療米

米の中に抗原を発現させる。患者さんには炊飯した米をパックして渡して、患者さんはレンジでチンして一日1回食べるだけ?腸管関連リンパ組織(GALT)では、病原体にはIgA産生生体防御。食べ物には反応しなくて、免疫寛容となるが、これを利用するらしい。スギ花粉抗原タンパク質の中でマウスが認識するT細胞エピトープペプチド(花粉が持っている抗原決定基)の主要なものをコメに発現させた組換え米をマウスに食べさせると、スギ花粉抗原に対して特異性を持つT細胞の反応性が低下。B細胞で産生される抗原特異的IgEの量が低下して、花粉症症状が抑制される。メカニズムの詳細は理解不十分だが、この米を食べさせることで、花粉症予防にも治療になるのだと。『スギ花粉米には、「Cry j 1」と「Cry j 2」それぞれの抗原の、T細胞によって認識される部分(抗原決定基;エピトープ)のうち、主要な7つを連結させた「7Crpペプチド」という“疑似抗原”が含まれています。T細胞には花粉が入ってきたと錯覚させますが、ショック症状の引き金となるスギ花粉に特異的なIgE抗体には結合しないようになっています。』 

スギ花粉だけじゃなく、シラカバ、ブタクサ、ダニ・・・など抗原を変えることで、多くのアレルギーに対応可能かも。将来のアレルギー外来では、米を売っているかも・・。

花粉症発症メカニズムの図


眼感染症の話

抗生剤・抗菌剤にはすぐに耐性菌が出現し、徐々に深刻となり、将来感染症が不治の病になる可能性。すぐに耐性菌が出てきて、使い物にならなくなるので抗菌剤はあまり開発されなくなった。GAIN法により少しましになったが・・・。

http://amr.ncgm.go.jp/medics/2-2-2.html

そこでファージ療法の話へ。バクテリオファージは細菌を宿主とするウイルス。地球中のどこにでもいる。1915年に発見されて、抗菌薬利用が考えられたが、1929年にペニシリンが発見されて、以後忘れ去られた存在に。ファージは細菌の敵。特異性が高く、緑膿菌ファージは緑膿菌のみに感染する。多剤耐性であってもファージには関係ない。

ファージは細菌に感染すると、DNAを注入して増殖し、溶菌酵素を作って溶菌。爆発的に増加して、宿主がいなくなるまで増殖を続ける。即効性があり、ターゲットをピンポイントでやっつける。ターゲットがなくなるまで増え続け、その後消える。動物の細胞には感染しない。アメリカでは、食中毒の原因となるリステリア菌に対して、食品添加物(スプレー?)として認められている。

  • 緑膿菌角膜炎の1回点眼療法(完全除菌可能)
  • 腸球菌の眼内炎に硝子体注射(バンコマイシン耐性菌でも関係なく著効)

東欧・ロシアでは臨床試験レベル(数千例)、西欧でも医薬品として開発中で、臨床治験が11件。日本ではまだない・・・。


by takeuchi-ganka | 2019-01-24 14:30 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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