ドライアイ院内勉強会 (1119)

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近所に小さな梅園ですが、甘酸っぱい香りが漂ってます・・

ドライアイの院内勉強会

2016年に改定されたドライアイの診断基準はシンプルなもので、1,眼不快感,視機能異常などの自覚症状、2.涙液層破壊時間(BUT) 5 秒以下。この2つだけになったので、自覚症状と涙液膜の安定性(BUT)だけで診断が確定する。ドライアイと言いながら、診断に涙液量減少は関係なく、角膜・結膜上皮障害は必ずしも必要ではない。こうなると、ドライアイという名前そのものに違和感を感じてしまいますが。いいネーミングが思いついたら、ドライアイという名前は消えるかも。

ドライアイは、病初期(軽症)には、眼表面が過敏となり、自覚症状が強い割に、他覚的所見は軽微だったり、何も異常が見られなかったりするが、病期が進むにつれて、他覚所見は強くなってくるが、知覚は鈍麻していて、自覚症状はむしろ少なくなる。老人人口割合の多いエリアの町医者(私)が見る機会が多いのが後者で、都会のビルクリニックに多いのが前者でしょうか。この病初期の自覚症状(異物感・痛み)の改善にムコスタ点眼が他の点眼よりも有効だと。

スリットランプで見えないドライアイ所見

眼表面の上皮細胞(角膜・結膜)には微絨毛があり、微絨毛はグリコカリックス(糖衣)で覆われている(全ての粘膜が同様)。眼表面におけるグリコカリックスは糖を大量に含んだ糖タンパク(ムチン)とムチンを架橋するガレクチン3によって構成されている。

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※図はGuzman-Aranguez A1, Argüeso P. Ocul Surf. 2010 Jan;8(1):8-17. Structure and biological roles ofmucin-type O-glycans at the ocular surface.から


ドライアイで膜型ムチンの構造が破壊されると、ガレクチン3が涙液中に流れ出し、ガレクチン3濃度が上昇する。これによりバリアの破壊の程度を推定することが可能(とする報告あり)。膜型ムチンのMUC16低下でバリア機能が低下するが、ムコスタ点眼で回復する可能性あり。ムコスタは杯細胞を増やし、膜型ムチン増加させる(ジクアスは、杯細胞を刺激して分泌型ムチンを増やしている)。

※ムコスタ、ジクアスは作用機序が異なるので、ケースによっては併用可能?

※当院のブログから

涙液は、一応3層構造で、表層から油層・液層・ムチン層とされるが、液層は分泌型ムチン含むゲル状態で、ムチン層とは、上皮の微絨毛に上皮型ムチンが結合した状態?この上皮型ムチンの中でも特に重要なのがMUC16。大きくて長い。これが水濡れ性を維持して、バリアを形成(上皮のtightjunction2段階のバリア)⇒MUC16-Galectin3バリア。このバリアが破綻すると、ローズベンガルで細胞が染まる?MUC16に問題があれば、微絨毛、tightjunction、そして細胞骨格にも影響がある。

当院のブログから

膜型ムチンは、MUC1416の中のMUC16が最も重要で、角膜の水濡れ性に関与。ドライアイで見られるブレイクアップ(ダークスポット)は水濡れ性が低下した部位で、これが同じ部位に継続すると上皮障害に。

randombreak:これは正常のブレイク。開瞼に伴い上方まで完全に涙液が進展して、その後ブレイクする。⇒この場合のみが、ヒアルロン酸点眼意味あり。

spot break:これは水濡れ性低下があり、涙があっても、十分に進展できず、その途中でブレイクする。⇒この場合、ジクアス・ムコスタ点眼。

areabreak:水がない。すぐに広範囲にわたってブレイク。⇒涙液プラグ、人工涙液。

linebreak:油層の上方進展に伴って水が上方へ移動する途中で、角膜下方で筋状のブレイク。下方にSPKを伴う事も。⇒重症ならプラグ。軽症ならジクアス点、人工涙液。フルメトロン0.1×2

dimple break:油層が上方に進展する途中で、その尖端部分がブレイクする。瞳孔領あたりでブレイク。視機能に影響し乾燥感も強い。涙液メニスカス普通にあるので、下方ではブレイクしない。⇒この場合も、ジクアス・ムコスタ点眼。


by takeuchi-ganka | 2019-02-07 14:06 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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