第19回 近畿眼科オープンフォーラム その2(1160)

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盗人だけどハギ

第二部 症例から学ぶ緑内障手術の適応-実践編-

オーガーナイザー3名による症例提示

眼圧編 植木麻里(大阪医大)

症例:50歳女性。角膜薄い(460)。中等度近視。ベース眼圧16で、点眼で1012。視野比較的急速に進行。濃厚な緑内障の家族歴。隅角は広いがCB band狭くて、iris process多め。なぜ進行?十分に眼圧下降は得られているのに・・・。⇒日内変動すると、夜間眼圧上昇(20前後)確認。このように通常診察時間外に最高眼圧を記録している緑内障は結構多い。右眼にμLOT。左眼にSLTしたが有効でなかったので、後にμLOT予定・・

※それほど若い先生ではないのに、自分の当直にあわせて、日内変動が必要な患者さんを入院してもらって日内変動計測をされているようで、本当に頭が下がります。

※目標眼圧は10以下の症例のようで、原則的にはレクトミーが必要なのだろうが、なかなか納得が得られないのでこの術式で・・

隅角編 大鳥安正(大阪医療センター)

症例:61歳男性。左眼は何度も霧視があった。近医で38。初診時眼圧も右13、左34。前房深度は、1.96/1.51と左右差あり。隅角も左眼はPASが広範囲?ただ、OCTでは視神経異常なし。GCC左眼上方にダメージ(+)?慢性のPACで時々軽い発作。この症例は、PEA+IOL単独手術だったらしい。

PASの術前評価がよくわからないけど、左眼PASは結構広範囲にあったようだが、術後PASは殆ど(-)らしい。だったらPEA+IOL単独でも良かったのかもしれないが、術中隅角鏡入れて、PEA+IOL終了後広範囲に閉塞があれば、GSL追加ってのがベストかも。OCTUBMで見る限り、瞳孔ブロック要素があまり強く感じられなかったので、レーザー虹彩切開術は意味がない?所謂PACには、①瞳孔ブロック ②プラトー虹彩 ③水晶体 ④水晶体後方因子(悪性メカニズム?)の4要素があり、この症例は、③②がメイン?

※よくPACSPACにレーザー虹彩切開術が有効・無効って話があるが、①②③④のどの要素が強いかどうか、その程度PASが出来ているのかで判断すべきで、適応を見極めれば有効なケースは存在するはずでは。勿論①が強くて、②③④の要因が少ないってことでしょうが・・

症例:47歳女性。左眼眼瞼腫脹あり眼圧30、その後19から50mmHgとなり、レーザー虹彩切開術して15。その後再び48になり、水晶体摘出予定した段階で、セカンドオピニオン目的受診。前房深度2.27/2.30、眼軸22.38/22.72。点眼+ダイアモックスで眼圧19。前眼部OCTUBM所見、あまり左右差なし。後ろから押されている感じ・・。あまり多いケースではないと思うけど、①瞳孔ブロック ②プラトー虹彩 ③水晶体 ④水晶体後方因子の中の②(③④)の要素が強そう。(レーザー虹彩切開術しているので①は(-)。ピロ入れると眼圧がストンと下がった。ただeffusionが見られたので、ピロの回数を減らして、経過観察中。

※ピロ入れて、隅角が開放して、線維柱帯も開くと?眼圧がストンと下がるので、当面これで様子をみて、手術するならPEA+IOL単独で十分。

※しばしば問題になるPACの治療だが、PEA+IOLなのかレーザー虹彩切開術でいいのか。勿論、PACのメカニズムをよく検討する医師であれば、その要因が①瞳孔ブロック ②プラトー虹彩 ③水晶体 ④水晶体後方因子のどれが強いのか、あとは患者さんの年齢・白内障・キャラクター・・・などを考慮して治療法を選択するだろうが、何でもPEA+IOLってのは芸がないじゃない・・・?

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)30956-4/fulltext

PACSの何割がPACになるのか、レーザー虹彩切開術すれば大丈夫なのか?スタデイでは、PACになる割合は、レーザー虹彩切開術しても2.1%、しなくても4.0%PACに進行する頻度がこんなに低いのなら、心配しなくていい・・・・とも言えるが、前房深度、眼軸・前房深度・水晶体厚・前眼部OCTUBM所見などを詳細に検討して、その上で危ない眼と感じた眼なら、4.0%じゃなくて、40%かもしれないが、神のみぞ知る??

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 最近非常によく似た症例を経験した。40台女性で、眼軸 22.13/22.07、前房深度 2.20/2.18、水晶体厚 4.64/4.42、角膜厚491/491。両眼PACの診断。左眼はPAS40%ほどあって、レーザー虹彩切開術したが、左眼PASがじわじわ広がり、徐々に眼圧上昇するようになり、枚方方面カリスマ眼科医に相談。ラタノとピロが入って、眼圧はストンと下がった。その後1年ほど経過を見ていたが、PAS60%ほどになり、じわっと眼圧も上昇してきたので、再度カリスマ眼科医に相談。要因①②③④のうち、①はレーザー虹彩切開術しているので、(-)。②も隅角形態から考えにくい。③④が問題なのだが、まだ患者さんが若いということで、④の存在を強く疑い、GSL+コアビトレクトミーが行われ、眼圧下降と隅角開放が得られた。患者さんが、60歳以上だったら、迷わずPEA+IOLGSLを選択されただろうが、比較的40歳台半ばの若い患者さんで、透明な水晶体で、要素③がそれほど強いとは思えないので、要素④が強いと判断の上、手術されたようです。私は、このように、何でもかんでも水晶体を取ってしまったりせず、メカニズムを推定して、術式をチョイスされる姿勢を強く強く支持します。

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眼底編 赤木忠道(京都大学)

治療強化のタイミングは?①目標眼圧が達成できない ②達成できてるが悪化(視野・OCT)した場合だが、この緑内障悪化を推定(予測)できるのか?視野の悪化判定には時間がかかるし、OCTの判定時間がかかる。何とかならないか・・・

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1)PPA :かつてβPPAと呼ばれたものは、その後ブルフ膜(+)のβとブルフ膜(-)のγ。γは近視と関係して、βが緑内障と関係。またPPAの循環障害と乳頭内の循環障害は、相関(血流支配が同じSPCA)。ただ、これらが治療強化の判断には使えそうにない・・

2)LC :篩状板厚は、正常>POAGNTG、初期>末期。薄いとリスク大。OCTで何とか見れる。部分欠損や断裂は非近視眼では、緑内障のリスクファクターだが、強度近視眼ではよくあることで緑内障とは関係ない。またLC形状(深さ:LCD、湾曲度:LCCI)なども、緑内障が進行すると大きく変化して、眼圧が下がると戻ることもある。眼圧の視神経へのストレスが見える感じだが、これらも治療強化判断には使えそうにない。

3)DH ;小さいと見逃しやすいかもしれないが、DHがあると、その後緑内障悪化する(DHがないケースと比較して)。レクトミーで眼圧下げるとDH頻度減少。治療強化して、眼圧下げると悪化を抑制可能。

DHにしてもNFL減少の結果だとすれば予測している訳じゃなく、よくできたOCTのように、鋭敏なNFL厚の減少センサーのようなもの。これが見られたら、基本的に治療強化へ。

※詳細に検討している訳じゃないですが、患者さんが受診される度に、DHの有無を記載していますが、片眼のみに、DH頻発していて、それを見て治療強化することは、普通にしています。DHを見かける頻度が多ければ、緑内障進行速度が速いのだ・・・と信じて。


by takeuchi-ganka | 2019-09-05 12:09 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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