第22回京阪沿線眼科勉強会 その3 (1168)

ブログの記事番号が何となく西暦っぽいので、チョットWikipediaでチェックしてみると、

1168は、『仁安3年(1168年)清盛は病に倒れ、出家する。原因は「寸白(すびゃく)」だったとされる。清盛の病状が政情不安をもたらすことを危惧した後白河上皇は、当初の予定を早めて六条天皇から憲仁親王に譲位させることで体制の安定を図った。』年のようです。清盛の全盛期の後半ぐらい?


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怪しげな香りを放つ奈良県笠地区の蕎麦畑にて^^;


特別講演

アドヒアランス維持のソリューション

グレース眼科クリニック 内藤知子

※非常に多数の緑内障手術をされているようで、チョット驚き。そんなに濾過手術して怖くないのかな・・

治療継続率というのは、意外と低くて、1年で60。最初の3ヶ月で30%ドロップアウト。来なくなった患者さんのことは忘れがちだが、ドロップアウトはかなり多い。アバウトな言い方だが、低アドヒアランスは失明リスクを1.8倍に。日本は高齢化していて、多治見スタデイ当時よりも、(顕性化した?)緑内障多い筈?低アドヒアランスの原因は?

①点眼を忘れる ②治療の有効感のなさ ③副作用

β遮断剤点眼に警告を鳴らす時にしばしば登場する話だが、高齢者COPDの有病率かなり多いらしい。40歳以上の8.6%、70歳以上だと17.4も。緑内障より多いし、喫煙者では更に高まる。問題は、緑内障に似ていて、COPDの患者さんの多くは、気づいていないこと(患者26万、推定560万)。つまり、問診してもわからないことが多い。従って、β遮断剤使っている高齢の患者さんが息苦しさを訴えたら、COPDを疑ってみる必要ある。怪しければβ遮断剤中止を。また循環器系への影響も(+)。徐脈・房室ブロックにも禁忌。処方後、めまい・ふらつきが出たら中止へ。加齢に伴う生理機能は低下していて、30歳を100とすると、70歳で心係数70%、肺活量60%と低下していることを配慮すべき。

 緑内障点眼で幻視の報告(先日の緑内障学会で紹介されていた論文らしい)。⇒『4例報告で、黄色い波・花飾りが見えたり、色鮮やかな模様が家の壁に、実在しないフラッシュ、家の家具の色の変化・・・・全てβ遮断剤点眼で生じていたらしい。』 高齢の緑内障患者さんの幻視のような話もスルーしないで、耳を傾けましょう。チモロールが原因かもしれないし・・・。

Ophthalmic Timolol Hallucinations: A Case Series and Review ofthe Literature. Nanda T, Rasool N, Callahan AB, Stamper RL, Odel JG. J Glaucoma. 2017 Sep;26(9):e214-e216.

※β遮断剤の副作用について添付文書を見てみると、精神神経系症状に注意と書いてある。まあ、どんな点眼でも山程書いてあるけど・・。高齢者の場合、症状を認知症のせいにしがちだが、これも要注意。

局所の副作用がアドヒアランス与える影響 その1

l SPK(+)だと使用点眼数多い。回数も多い。結膜上皮障害少ない。

l アレルギー性眼瞼炎:グラナテック(これは経験があるが、最初ピンと来なかったなあ・・・)

l DUESが不満な患者さんは予想以上に多い。患者さんは主治医に言えない事もあるので・・・。発生率はビマトで60%、トラボ53%と多くて、タフル14%、ラタノ6%と少ない。ビマトとトラボは多い。 

Tight orbit syndrome : Applでは眼圧測れない(iCareならOK)、手術成功しない・・・(コメント:まあ、長い間緑内障診療していると、そんな事百も承知でも、PG点眼は避けて通れない。1020年経過すると、当然強烈なProstaglandin Associated Periorbitopathy PAP)にも遭遇する。だからと言って、簡単にPG中止する訳にもゆかないし、全員レクトミーする訳にもいかないんですよね。)

局所の副作用がアドヒアランス与える影響 その2

PAPはレクトミーしてもブレブできにくい。

Effects of pre-surgical administration of prostaglandin analogson the outcome of trabeculectomy.

Miki T, Naito T, Fujiwara M, Araki R, Kiyoi R, Shiode Y,Fujiwara A, Morizane Y, Shiraga F.

PLoS One. 2017 Jul 20;12(7):e0181550. doi:10.1371/journal.pone.0181550. eCollection 2017.

初回レクトミーで、濾過胞の生存率は、DUES(-) 74.3DUES(+) 34.7%。つまり、PG製剤していて、DUESがあると、濾過胞できにくい。硬い眼瞼の圧迫+結膜の慢性炎症がその原因と推定。眼瞼圧センサーを用いて調べた報告(愛媛大)があり、35.1mmHg以上だとレクトミー成功率低い。これはDUESの眼瞼圧に近い?(緑内障学会2018)。また古い論文で、眼の動きと眼圧を調べた報告があり、瞬きで上昇、ギューッと閉じると80に?(⇒Pressure increments of the order of 90mm Hg for squeezing of lids

Direct-recorded intraocular pressure variations in a humansubject. Coleman DJ, Trokel S. 

Arch Ophthalmol. 1969 Nov;82(5):637-40.

DUESの眼がギューッと閉じると、いったいいくらになるのだろう・・。

またPG点眼が、眼窩脂肪が減少して、眼球が陥凹して、PDが狭くなるという報告もあるらしい。ビマトなら2.2mmも狭くなる?チョット顔がキュートに?

そんなこんなでエイベリス登場。ラタノに非劣勢。勝ってないけど負けてない。5.96 vs 6.45。問題は、黄斑浮腫。結膜充血多いけどあまり問題にならない。色素沈着・DUES(-)。長期点眼でもでないなら朗報!実際に、使ってみると、16.412.6へ。切り替えでも14.312.2。(PGからの切り替えだとほぼ変化ないだろうが・・)。

※エイベリス使い始めましたが、若干だがPG製剤より眼圧下降効果に劣るものの、PG製剤の副作用を考えたら、許容範囲内。IOL眼に使えないのが問題なのだがが、CME出たらNSAIDで治療しつつ、使っていいことにしてくれないかなあ・・

※ファーストラインSLTの話。

Selective laser trabeculoplasty versus eye drops for first-linetreatment of ocular hypertension and glaucoma (LiGHT): a multicentre randomisedcontrolled trial.

Lancet. 2019 Apr 13;393(10180):1505-1516.

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)32213-X/fulltext 

ファーストラインのSLTの評価をLancetに。

まず点眼から始める通常の緑内障治療vs いきなりSLTとの比較。3350例を見た。結論は、SLTがいい。目標眼圧達成率、進行程度、手術になった比率(18 vs 0例)と全てSLTの方が良かった。最終的に、点眼(-)SLT群は78%も(追加SLT25%ほどあり)。そう言えば、昔いきなりレクトミーって報告もあったような・・・日本とは事情が異なる?


by takeuchi-ganka | 2019-10-03 10:33 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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