第30回 日本緑内障学会 その7(1170) シンポジウム6

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もうすぐ落ちてくるかな・・


To cut or not to cut in elder glaucoma patients

高齢者における緑内障手術の選択  森和彦(京都府医大)

症例 77歳男性 右眼失明、左眼視力(0.15)。しかもこの患者さんは、聾唖者で、コミュニケーションは手話のみ。何故か前房IOLが入っていて、水疱性角膜症。既に全層角膜移植を5回されていて、眼圧が53。でも乳頭所見はそんなに悪くない。全麻下の手術が必要だが、絶対拒否すると言われ、局麻下で手術を強行。PPV+アーメド。眼圧15で視力0.15(n.c.)に。・・・・・・・これは極めて特殊すぎるケース・・

高齢化に伴う問題(緑内障手術を行うに際して・・・)

  1. (当然)全身疾患(が増えてくる・・・)
  2. 加齢性随伴疾患(白内障、眼瞼下垂、角膜上皮・内皮・網膜血管閉塞性疾患・・なども増えてくる)
  3. 認知症が出てくると、点眼アドヒアランス低下・視野検査信頼性低下(つまり目薬がきちん出来ない可能性があり、視機能の評価も正確でない可能性がでてくる) ※開業して21年以上経過した老医師としては、本当に実感しています。60歳で治療開始した患者さんは80歳を過ぎ、70歳で治療開始した患者さんは、90歳を過ぎて、徐々に様々な問題が発生してくる。大きな病院に10年ぐらい診療にあたっていたぐらいでは、理解できないだろうなあ・・
  4. 難症例の増加:チン小帯、核硬化、deep set eye、瞼裂狭小、結膜薄い・・・。複数機序の緑内障(PEPAC・・)
  5. 余命との関連を考えながら、どこまで治療するのか判断が必要になってくる。

※余命を推し量るなんて何だか不遜だし、やろうとしても難しいと思う。超元気な90歳もいれば、ボロボロの60歳台もいる。眼しか診てない眼科医には不可能?

薬物の問題と高齢者特有の問題点・・・

  • 89歳 長年点眼していた薬剤性偽眼類天疱瘡の眼に苦労してレクトミーを。
  • 74歳 以前レクトミーして濾過胞(+)。ザイデルが出てきた、感染のリスクも。
  • 87歳 ゾンマーリングがあって、悪性緑内障、眼圧30以上、ヤグでは解決せずビトへ。

過去20年間に5454例も緑内障手術しているが、患者さんの年齢は徐々に高くなり、PEが増えてきた。レクトミーが多い。sLOTも増えてきた。高齢者は、トリプル手術多い(手術はなるべく1回で)。

質疑:

  1. ドライビングシミュレーター解析(アイトラッカー(+)):運転中の眼球運動に関して・・:年齢に関係ない?視野狭窄よりも、そちらのほうが問題?
  2. β遮断剤点眼の副作用は多岐にわたり、幻視もあり。でも気をつけながら使うと・・
  3. PEがあると、加齢によって水晶体が重くなれば、更にチン小帯脆弱になるので、早めの手術が望ましい?
  4. 高齢者の視野評価をどうする?徐々に正確な視野が無理になってきたら、現実問題としては、①プログラムのマイナーチェンジ ②ゴールドマン視野を・・ ③OCTで代用(にならないだろうが・・・)
  5. 自己管理ができないので、メンテナンスフリーの手術がいい?レクトミーより、インプラント。MIGSの濾過手術(かなり後方に流すタイプ)。


 ※若い時に、緑内障がまだ初期の段階にベースラインを設定して、眼圧管理を始めたとして、607080・・・と高齢になってきた時に、同じ治療方針でいいのか、高齢者・超高齢者用に方針をシフトしていくのか・・・まだ答えはなさそう。超高齢になった時、眼圧の評価はそのままでいいのか、視野の正確性が徐々に低下してくるけど、どうすればいいのか・・。手術の難易度が上がってくるなら、早めの手術がいいのか。手術目的・治療目的は、40歳と80歳は同じでいいのか・・。非常に様々な問題が複合的に存在している。


by takeuchi-ganka | 2019-10-09 15:30 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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