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乳幼児の虐待による頭部外傷に関する共同合意声明 その1(?) (1187)

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近所のカワセミくん


Consensus statement on abusive head traumain infants and young children

乳幼児の虐待による頭部外傷に関する共同合意声明

以前SBSと呼ばれ、最近はAHTと呼ばれる乳幼児の虐待による頭部外傷だが、誤診に基づく冤罪があってはいけないのはもちろんだが、虐待の事実があるのに、屁理屈こねて罪を逃れてもいけないはず。ちょっとした偶然から、この問題『乳幼児の虐待に関連した眼所見』について、考える機会があり、この長い論文を読んでみることにした。論文の抄録は、日本小児眼科学会が翻訳しているので、完璧なのだが、それ以外は、私が適当に訳したので、随分いい加減です。それを少しまとめながら、一人英文抄録を。

※医学的な判断と法定論争的切り口は相容れないのかもしれないが、この声明は『日本小児科学会による、乳幼児の虐待による頭部外傷(AHTAbusive Head Trauma)で死亡・不可逆的な後遺障害を負った子どもの権利擁護のための、米国小児放射線学会(SPR)、欧州小児放射線学会(ESPR)、米国小児神経放射線学会(ASPNR)、米国小児科学会(AAP)、欧州神経放射線学会(ESNR)、米国子ども虐待専門家協会(APSAC)との共同合意声明』です。また加えて『さらに6団体(米国放射線学会、ラテンアメリカ小児放射線学会、フランス小児周産期画像医学会、米国小児眼科斜視学会、アジアオセアニア小児放射線学会、オーストラリア・ニュージーランド小児放射線学会)から合意声明を支持したいとの意思が示された』もので、学術的にはほぼ世界中から承認されたといっていい声明で、おそらく世界中で同様の問題が生じていることの証左では・・



Abstract

日本小児科学会が翻訳(抄録のみ)

小児眼科学会の訳した抄録は以下のサイトにあります。

http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=102

http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=107

Executive summary

SPRESPRASPNRAAPESNRAPSACSPCNPAJPSに支持されているこの合意声明は乳幼児や子供のAHTの診断についての重大な誤解に対処している。これは、AHT診断の妥当性を確かなものにする、15の主要な国立・国際専門医学会・組織の合意声明から構築されている。声明は、診断過程を(法的議論で、医学的有効な用語でない)3つの所見に単純化する誤謬も明らかにしている。

AHT2歳以下の子供の致死的頭部外傷の第一の原因で、重大な或いは致死的脳外傷の53%の原因である。外傷の要因は多因子があり(揺さぶり・揺さぶりと打撃、打撃・・・)で、そのため現在の最も包含的で最適な用語がAHTである。

 ひとつの外傷でAHTの診断になることはない。むしろ、所見の重大性や年齢と同様に、外傷のメカニズムと一致しない、脳内や脊髄の障害、複雑な網膜出血、肋骨や他の部位の骨折を含む所見の多様性が診断の手がかりを提供する。硬膜下出血は最も頻度の高い明らかになっている脳内損傷だが、脳実質の損傷は、この場合の死亡率の最も重大な原因である。外傷犠牲者において、頸部靭帯損傷は高頻度である。しかし、靭帯損傷がないことで、AHTを除外しないことも重要。AHTが疑われたケースでは鑑別診断も考慮されるべきで、必要に応じて検査されるべき。全ての所見を説明できる他の医学的原因があるか、或いは子供は外傷を受けたのか・・・

弁護士や医師側の証人による法廷論争にも関わらず、以下の過程(脳静脈洞血栓、低酸素―虚血性外傷、腰椎穿刺、或いは絞扼?・・)が、AHTと同じ所見を呈するという医学的証拠はない。生まれた時から、出産に関連した硬膜下出血が突然の失神・昏睡・或いは死亡を引き起こす(急性の再出血後、以前の無症候性慢性水腫)という提案の証拠もない。加えて、くも膜下腔の良性拡張で硬膜下血腫は珍しいし、硬膜下血腫がある時は、AHTを考えるべき。

AHTの診断は、多くの学問領域チームの小児科医や小児専門医、ソーシャルワーカー、そして、全ての事実や証拠の考慮に基づくその他の専門家達によってなされる医学的な診断である。AHTは、世界中で広く認められ管理されている科学的な議論の余地のない診断である。診断されることは、偶然の疾患プロセスでは、乳幼児・子供の外傷の原因をうまく説明できないことを意味する。AHTの診断は、医学的な結論であって、加害者の意図の法的な決定ではない。或いは法廷や三流メディアの偽の誇張における『殺人の診断』でもない。目撃者のない虐待の疑惑を含む民事や刑事の裁判における問題点は、医学的な証拠の質や、医療証言の整合性と専門性にある。過去10年、法廷は、幼児/小児頭部外傷の病因に関する医学的意見の論争の場となっていて、それは多くの学問領域にわたる医学チームの十分に根拠のある証拠に基づく医学的な結論から、関連した医学学会において一般的に受け入れられている医学的なエビデンスと相容れない怪しげな理論に至るまでの全てにわたっている。重要な医学的証言が矛盾する時、幼児の外傷や安全な介護に関する法廷・メディア・一般の人々へのメッセージは、しばしば混乱して不確かである。

専門的な医学会が、一般の医師に特定のトピックについて受け入れる事を伝える為にコンセンサス声明を使う。これらの声明は、メンバーシップによって吟味されて、医師やメディアや一般の人々が、正確な医学情報とエビデンスのない或いは法廷でのみ通じる因果関係理論を区別するのに役立つように作られている。コンセンサス声明によるこの情報の正式な普及の目的は、重要な公衆衛生問題についての法廷の決定が、より科学的に正確なること。コンセンサス声明は、関連した医学会のエビデンスのある意見と、臨床所見・医学的証拠・エビデンスのある文献などに基づかない法的な議論或いは病因の推論を区別するのに必要なツールを、判事や陪審員に勧めることで混乱を軽減する。

続く??


by takeuchi-ganka | 2019-12-17 19:08 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka