アデノウイルス迅速診断キット (1188)

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京橋の素敵なお店

 アデノウイルス迅速診断キットは徐々に優秀になっているのだと思う。EKCを見逃すと流行の拡大に繋がるので、迅速診断キットの役割は重要だと言われる。臨床現場において、EKCが疑われる患者さんに迅速診断キットを行うのが一般的な使い方なのだが、迅速診断キットで陰性に出ても、EKCではないと断定することはできず、結膜・角膜所見や眼脂の性状からEKCが強く疑われた場合は、どうしてもEKCとして対応することになる。勿論陽性にでたら、より強い説得力をもって対応できるのだが、陰性に出た時に、EKCが否定できない迅速診断キットにどれほどの意味があるのだろう。どれほど迅速診断キットが高感度になったとしても、臨床所見がEKCであれば、診断キットが陰性だからといって、通学・通園OKとは言いにくいのです。
 迅速診断キット陰性の症例は、どのようなケースだろうか。しっかり擦過しないから・・という考え方もあるだろうが、実際は擦過しなくても涙液で十分らしい。すると、陰性のケースとは、真の陰性つまりアデノウイルス以外のウイルス性結膜炎かウイルス以外が原因の結膜炎のときと、偽陰性つまりアデノウイルス結膜炎だが陰性でた場合とがある。
 迅速診断キットが高感度になれば、臨床的に怪しいけど陰性となる患者さんは、アデノウイルス以外のウイルス性結膜炎かウイルス以外が原因の結膜炎が多いのだろう。アデノウイルス以外のウイルス性結膜炎として有名なのはヘルペス。それ以外のウイルスはEKC類似の所見を呈さないのだろうか。EKCの感染症発生動向調査において、EKC316件中アデノウイルスが検出されたのが239件でその他が77件らしいが、つまり臨床的EKCにおいて77件は迅速キットで陰性となるのだろうか。私には、臨床的にEKCだと判断する結膜炎を迅速キットで陰性となったからといって、児童に通学許可を与える勇気はまだない。

by takeuchi-ganka | 2019-12-25 19:35 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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