第2回大阪眼疾患セミナー その1(1191) 緑内障点眼
2020年 01月 21日

特別講演Ⅰ
緑内障配合剤の可能性と次世代の治療戦略 臼井審一(阪大講師)
※配合剤の話に入る前は、9種類の緑内障点眼について軽く解説。その後配合剤の話に。勿論話のポイントはアイベータなのだろうが・・・。
※講演を聞きながら、物思いに耽った内容をブログに・・・従って、講演内容のサマリーではありません。

現在配合剤としては、①PG+β(ザラカム・デュオトラバ・タプコム)と②CAI+β(コソプト・アゾルガ)があり、新しく主催会社が発売した③α2+β(アイベータ)の3種類がある。緑内障点眼は、単剤として9種類、配合剤が3種類。これを緑内障治療の中で、どのようなポジションとして使えばいいのだろうか。我々のような老医師は、エピスタやピロカルピンが基本の点眼で、チモプトールが発売された時代から知っているので、その後、発売された薬剤ひとつひとつについて、ある程度のイメージが出来あがっていて、新しい薬剤が出たとしても、治療方針はマイナーチェンジする程度で済むのだが、若い医者が、いきなりこれだけ多くの薬剤を目の前にしたら、どう思うのだろうか。
話のメインテーマのアイベータは、β遮断剤(チモロール)とアイファガンの配合剤。アイファガンは、その売れ行きが示しているように、使いやすいに加えて、気がつけば使ってしまっている薬なのだろう。
我々は何故この薬剤を使ってしまうのか。その一つは、神経保護作用。アレルギーで脱落する例が多いものの、臨床試験で神経保護が証明された初めての薬剤なのです。長い間緑内障治療をしていると、眼圧が十分下降しているのに、徐々に進行する症例は結構多くて、そんなときに、この神経保護を謳った薬剤は、追加するモチベーションになってしまう。もう一つの理由は、神経保護を謳い文句にしている薬剤にしては、意外と眼圧が下降すること。私は、全ての緑内障患者さんの眼圧はグラフ化して見ているのだが、このグラフが、ガクッと下がるのです。いちいち統計学的処理なんかしなくても、グラフをみれば一目瞭然。この2つの理由で、気がつけばアイファガンを処方していることが多い。β遮断剤に依存することなく、明確に眼圧下降できて神経保護が期待できるとなれば、当然だろう。
なるべくなら使いたくない緑内障点眼もある。一つはβ遮断剤。今まで様々な講演でこの点眼の副作用が語られてきた。中でも、隠れている閉塞性肺疾患を悪化させるリスクが怖い。ただ、CAI+βの配合剤が登場後、この薬剤の強力な眼圧下降効果の魅力に負けて、β遮断剤の使用頻度が高くなっていると反省しているが、できたら避けたい。もう一つは、CAIだ。夜間眼圧下降についての重要性が語られ、CAIの有効性が強調され、積極的に使いたいところだが、差し心地が悪い。この「沁みる・霞む」が、毎日2回永遠に続くとなると患者さんは憂鬱になるはず。今まで何度も、真面目に点眼している優秀な患者さんから、これだけは勘弁してくださいと言われた経験がある。
すると、ファーストがPG製剤とういのは揺るぎないが、その次にどうするのか。βを嫌うなら、セカンドがアイファガン、でもより高度の眼圧下降を願うならCAI+βということになる。CAI+βは眼圧下降が時にPGに匹敵するほどなので、どうしても頼ってしまう。ただ、患者さんにとって、「沁みる+霞む」に加えて、心肺機能に与えるマイナス影響があることを忘れてはいけないと思っている。
こんな場合、PG単独の次手段の次善策として、PG+カルテオロールがある。カルテオロールは、個人的印象としては、チモロールより若干眼圧下降効果が劣る感じがするものの、眼局所においてトラブルを発生することが非常に少なく、内因性交感神経刺激作用(ISA)がある為、加えて直接の血管拡張作用により、点眼による心拍数低下を来さない・・・利点をもつと言われていて、βの中では、罪悪感が少ない。もうすぐ、α2+CAI(アイファガン+エイゾプト)が出るらしいが、私の中での優先順位は、①PG ②カルテオロール ③α2 ④CAIだろうか。配合剤を利用するなら、ミケルナ+アイファガン(or +エイゾプトの配合剤)がフルメディケーション?