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第2回大阪眼疾患セミナー その2(1192) 加齢黄斑変性

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特別講演Ⅱ

加齢黄斑変性診療のパラダイムシフト  本田茂(市大教授)

※話が難しくて玉砕

1,OCT angiography

我々一般開業医がこの検査の恩恵に浴することはそれほど多くないのですが、加齢黄斑変性の専門家におかれては、非常に有用なツールというか、必要不可欠のようです。造影しなくてもいいので、リスクゼロで、何度も検査できて、FA/IAと違って層別解析もできて、保険点数(400点)も付いたし・・

※ただ、デモ機を使った印象では、相当ハードにお金をかけないと、余裕で撮影解析できる状況でなさそうだし、私にはまだ不要かな・・

層別解析できるからCNV検出しやすい(FAIAよりも)。Bスキャンでも血流(+/-)の確認が。PCVの検出も出来る(結構高率)。異常血管網も・・。出血が多いとブロックして見えないこともある。

治療効果判定も有用。非侵襲で繰り返し検査できるので・・潜在的に拡大するCNVも捉える事ができる。撮影時間も短くなり、画角も広がり(80°)、デノイズ処理で美しく・・・・進化していて、徐々に価額も下がってくる筈。

現在、CNVの評価はIAだが⇒将来はOCTAに。活動性の評価はFAだが⇒OCTに・・・。ただ、出血病変は直接見ないと・・

2,PachychoroidSpectrum Disease (PSD)

脈絡膜が厚くて、拡張し透過性が亢進している。通常のドルーゼンはなく、パキドルーゼンがある。アジア人に多い。網膜色素上皮が傷んで、CSCCNVに。※パキドルーゼン⇒

https://www.semanticscholar.org/paper/DISEASE-EXPRESSION-IN-NONEXUDATIVE-AGE-RELATED-WITH-Spaide/2c7ca4fe1db6a227516c0653558cd9ed237cdbac

PSDと典型AMDは病態が異なる。①通常のドルーゼン⇒慢性炎症⇒CC閉塞⇒VEGFCNV・・・典型AMD ②血管拡張による機械的ストレス⇒圧迫⇒脈絡膜血管障害⇒網膜色素上皮障害⇒パキドルーゼン⇒CSCPNVPCV・・・

1. 何故ドルーゼンが出来るのか。

2. 何故脈絡膜血管は拡張するのか。

3. 何故個人差があるのか・・

補体H因子(Compliment factor H : CFH

加齢黄斑変性感受性遺伝子の一つ。「炎症における補体代替経路に介在する液性補体調節因子であり,CFI を介した C3b の不活性化やC3b-Bb 複合体から Bb を引き離すことによって補体経路を抑制する働きがある・・・・」(よくわからないが・・・)。要するにCFHには炎症を抑制する働きがある。その一部が402H(リスク型)(白人:アジア:黒人=36:5:36%)⇒補体経路抑制能低い⇒慢性炎症亢進しやすい。ドルーゼン蓄積しやすい。また62V(リスク型)(白人:アジア:黒人=74:59:21%)も。402H62Vで初めてドルーゼン↑? 日本人黒人にドルーゼンが少ない理由のひとつ?

 また、CFHは、脈絡膜厚の制御に関連しているらしい。62番目のパーツとも関連あり。 PCVの成りやすさとも関連。Gというパーツが多いほど脈絡膜薄い。PCVなりやすいほど脈絡膜薄い?ちょっと矛盾・・。またPCVと異なり、CSCは脈絡膜が厚くなるパーツを持っているほどなりやすい。

「脈絡膜が厚く、CSCを発症しやすい型のCFH遺伝子を持っているとAMDを発症しにくくなり、逆にAMDを発症しやすい型のCFH遺伝子を持っていると、脈絡膜は薄くなり、CSCを発症しにくくなる」

https://www.pnas.org/content/115/24/6261

加齢黄斑変性とPSD

(ここから更に暗号のような話の連続たが・・・)

①何故機械的なストレスで血管新生?

PCVの異常血管網は退縮しにくいのか?

ここでYAP/TAZ(転写共役因子?) という聞いたことのないワードの登場(困るなあ・・・)。

http://leading.lifesciencedb.jp/5-e004 ⇒器官のサイズを制御するHippo-YAP/TAZシグナル伝達経路。VEGF関係なく、物理的圧迫(外圧)によってYAP/TAZ活性化VEGFなくても活性化して血管新生・血管成熟(抗VEGF効かない理由?)。YAP/TAZ不活性化で、新生血管退縮。YAP/TAZノックアウトマウス(生後にノックアウト)で、網膜血管成長停止に。

CFHはすべてに関わっているが、ドルーゼン・慢性炎症を経て血管新生する加齢黄斑変性と、Pachychoroid・機械的ストレス・脈絡膜血管閉塞を介した病態(PSD)があり、PCVは両方が関与?

※遺伝子SLCA5(タンパクLAT1):水の輸送に関与。

3,病態に基づく個別化治療

CSC ―――― PNV ―――― PCV ―――― tAMD

機械的障害                   炎症・血管新生

PDT                       ⇒抗VEGF

症例①CSCPNV? 抗VEGF・・・再発するので何回も。やめられない

症例②PNV 抗VEGF無効でPDT。再燃(-)

症例③CSC 半線量PDTして再燃(-)

PDTがよく効いたのは、ベルテポルフィンにYAP/TAZ抑制作用あるから?

症例④PCT IVAPDTで、Pachychroidも改善。

症例⑤PNV  IVAPDT併用。Pachychroidも改善。CNVも退縮。

PCVに抗VEGFPDT併用が効くのは、脈絡膜厚が関与。またARMSA69S多型(GGGTTT)と治療効果も関係あり。GGは治療後視力良好。治療回数少ない。


by takeuchi-ganka | 2020-01-25 18:00 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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