第2回大阪眼疾患セミナー その3 (1193) 涙道疾患
2020年 01月 26日

特別講演Ⅲ
涙道疾患のup-date 白石敦(愛媛大教授)
外来患者さんの主訴の20%も占める涙。涙が出るといっても、lacrimation(L)とepiphora(E)がある。つまり分泌が多くなる場合と、流出障害で溢れる場合。勿論その両方の場合(バランスの問題)も。診断においては、細隙灯顕微鏡が重要で、これでまずLとEの区別をする。勿論フルオも使って。涙道疾患以外の有無もしっかり調べる。
※結膜弛緩症、翼状片、そしてアレルギー性鼻炎でも涙嚢・涙道にも炎症が波及して流涙の原因になる。結膜炎症状が軽くても、涙道粘膜はアレルギーでも腫れている可能性あり。
シルマーの重要性:①85歳 総涙小管閉塞があり、チューブ入れて治療したら、ドライアイで上皮障害に。術前の評価をしっかりしないと・・・。②53歳 悪性リンパ腫で幹細胞移植。両眼の涙小管の閉塞あり。少し流涙あるが、GVHDによるドライアイが予想されたので、涙道治療せず。
通水検査
l 鼻涙管閉塞で、タイムラグがあって水や膿逆流
l 総涙小管閉塞は、すぐに水が反対側(下から入れたら上)から逆流
l 涙小管閉塞、水が入らない
l 血性なら腫瘍も疑う。
l 結石の場合は、通過するのに膿が逆流することあり
涙道内視鏡
直径9mmの非常に細い内視鏡。涙小管から涙嚢に入ると少し粘膜の血管が多くなる。ブジーの時のように立てて、鼻涙管に入り、鼻腔に近くなると、鼻から空気がポコポコと逆流してくる。鼻涙管閉塞部位は蜘蛛の巣のようなフィブリンの膜。そんなに硬いものではないらしい。ブジーの孔が残っていたりする。結石が涙嚢の膿の中にあったり、プラグが落ち込んでいたりする(ただ、このプラグは内視鏡で押し込めば鼻腔に簡単に落とせる)。
CT(歯科用コーンビームCT):3D Accuitomo
座って撮れるCT。低線量・小スペース・高解像度・・・
※内視鏡かDCRかの決定に有用。
治療: DCR鼻外法・鼻内法、
※涙道内視鏡下チューブ留置:内視鏡で、鼻涙管閉塞部位に到達したら、プラスチックのシースをゆっくり押し込めば簡単に閉塞を開放できて、その後シースを残して内視鏡を抜く。残したシースにチューブをつけて、鼻側に抜くとチューブ挿入ができる。これを上下で行う。
白内障術前検査としての通水検査の重要性
5%ぐらい閉塞しているらしい。この8割に細菌(+)。術後眼内炎の頻度は非常に低いが、その中に占める涙嚢炎の頻度は高率らしい。大学病院で0.045%。個人病院で0.01%ぐらいだが、この半分ぐらいが涙嚢炎(+)?ドイツの大規模スタデイでは0.078%。ポピドンヨード・眼内抗菌剤がリスク下げる。免疫不全、DM、皮膚疾患と涙道閉塞がリスクファクター。つまり、涙嚢炎があれば、術後眼内炎のリスク高くなる。
涙道閉塞があればどうすればいいのか?涙道洗浄しても、大丈夫でないかもしれない・・。ドイツの報告でも洗浄してもリスクを下げないと。(涙道閉塞眼には手を出さないほうが無難かも。)
※術後眼内炎と涙嚢炎の起炎菌はかなり重なっている。
症例1:72歳女性で、周辺部角膜潰瘍があり、メヤニ(++)。治療していたら穿孔。SCL+ステロイドして一旦改善。その後涙小管炎が判明。
※周辺部角膜浸潤と誤診したようだが、メヤニが多いことに注目
症例2:周辺部の角膜潰瘍で、治療していたがなかなか良くならない症例で、涙小管炎があったケース。
症例3:周辺部角膜潰瘍があって、涙小管炎(+)
※涙小管炎に伴う周辺部角膜潰瘍、結構多い?モーレン潰瘍や周辺部角膜浸潤との鑑別が必要だが、浸潤はあまりなく、結構深い潰瘍があり、メヤニが多い。涙道治療が必要。
鼻涙管閉塞を治療すると、涙・メヤニ・・だけでなく、視機能の改善する。逆にドライアイ患者さんにプラグ入れると、⊿上昇するが、高次収差が多くなる。涙道閉塞をチューブを入れて治療すると、シルマー低下して、実用視力向上した。
Thiel法固定遺体を用いたDCR手術教育
DCR習得は難しいが、遺体固定に生体に近いThiel固定を用いると、手技習得に有用。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/115/8/115_791/_pdf

