第434回大阪眼科集談会 その2 (1196) 特別講演
2020年 02月 09日

特別講演
加齢黄斑変性の最新知見 本田茂 大阪市大
※短期間に2度目の聴講だから、少しは理解しやすいか・・・と思いきや難解理解困難・・^^; それでも2回目なので、若干洗脳されてきた気がする。①典型的加齢黄斑変性と②CSC・PNVの疾患発生の分子生物学メカニズムが大きくことなる2つの潮流がある?①の流れは従来のドルーゼンを経由するパターンで、②の流れはパキコロイドを経由するパターン。①+②もあり?
症例:46歳女性。ドルーゼン(-)、SRD(+)、Pachychoroid + PED⇒OCT-AでCNV(+)。抗VEGF数回したが無効、PDT併用してSRD(-)に。PEDも小さくなり、Pachychoroidも減少。たった1回PDTしただけで・・
3種類のドルーゼン
1. soft drusen ⇒通常の加齢黄斑変性
2.
3. pachydrusen ⇒Pachychorod spectrum disease?

この病態は、ドルーゼン・慢性炎症・酸化ストレス・ブルフ膜障害・脈絡膜虚血・網膜色素上皮萎縮・CNVへと進むのだが、何故そうなるのか?
1. 加齢黄斑変性の検体の解析
2. 実験動物モデル(レーザー誘導脈絡膜新生血管)
3. 加齢黄斑変性患者さんの遺伝子解析(リスクアレルを探してくる)

ARMS2 / HTRA1
10番遺伝子の近い位置にあり、異常は両方同時に起こりやすい。リスクアレルは、白人は20%、アジア人は40%以上。ヘテロで6-7倍、ホモで10倍以上の加齢黄斑変性発症リスクあり。アジア人の加齢黄斑変性に深く関わっている。

l
l HTRA1⇒プロテアーゼで、TSP1抑制(CNVに関与)。HTRA1トランスジェニックマウス⇒CNV発生、ブルフ膜破壊、ドルーゼン(-) = 脈絡膜血管壁が薄い、ブルフ膜破壊。エラスチン層を破壊。バリア破綻・・・これってポリープ病巣の発生。つまりHTRA1が過剰だとポリープが発生。(ただHTRA1阻害薬を使えば、ポリープ発生を減少できるが、ポリープの治療には使えなかった。)
※加齢黄斑変性(722人の調査):CFH異常があるヒトは、早期加齢黄斑変性(ドルーゼン多数)多いが、(後期)加齢黄斑変性にならない。ARMS2異常は、早期加齢黄斑変性(ドルーゼン)増加しないが、(後期)加齢黄斑変性になりやすい。(※ARMS2異常のあるヒトは必ずHTRA1異常あり・・と考えていい。) ⇒ARMS2は、ドルーゼン作らず、CNV作る。ドルーゼン経由しないCNVを作る。

脈絡膜血管制御 ①脈絡膜肥厚(pachychoroid) ②脈絡膜血管拡張・透過性亢進 ③通常のドルーゼン(-)、パキドルーゼン(+) ④アジア人多い。
脈絡膜肥厚・血管拡張
⇒メカニカルな障害 ⇒ 網膜色素上皮障害 ⇒SRD(CSC) ⇒CNV(PNV)、ポリープ(PCV)
※脈絡膜血管に関与する因子:CO2、ノルアドレナリン、NO、PG、エンドセリン・・・・
GWAS(ゲノムワイド関連解析)で脈絡膜厚⇒CFH、VIPR2
(※CFHは本来炎症にブレーキをかける役割)

機械的ストレスで何故CNVが発生するのか。そこでYAP/TAZ 分子転写共役因子の話に。(※これは臓器の大きさが決めたり、何故腫瘍の大きさは際限がないのか・・・に関わる因子らしい) 血管内乱流や外からの圧迫があると 脱リン酸化が起こり、YAP/TAZ 核内へ移動、転写を促し、CNV発生へ。これはVEGFを介さないCNVで、抗VEGF無効。またYAP/TAZ活性化すると血管内皮増加・平滑筋増加し、血管は成熟してくる(これも抗VEGFの効かない状況)。

症例提示54歳のCSC。pachychoroid(+)。1回の半量PDTで pachychoroidも1年以上減少。これはベルテポルフィンの薬理作用でYAP/TAZ抑制して血管内皮退縮。 早期にYAP/TAZ不活性化するとNV再発抑制
※PCVにIVA+PDTが効く場合と効かない場合があるが、これはARMS2遺伝子多型が関連。GG/GT/TTの中でGGが脈絡膜厚い・視力いい・治療回数少ない・・(YAP/TAZ不活性化維持しやすい、つまり再発しにくい)。PDTのいい適応
Mol Vis. 2017 Jul 26;23:514-519
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5534487/figure/f1/
まとめ
①tAMDは、CFHとHTRA1の誤作動が原因で発症。
②PSDとtAMDは分子生物学メカニズム異なる。同時発症の可能性もある。
③個別治療の可能性
質疑から
※PDTの作用には実は①ベルテポルフィンの薬理作用(YAP/TAZを抑える作用)と②PDTの意図したメカニズムの2つがあるようだ。
※脈絡膜厚の見方:pachyvesselがCCを圧迫しているかどうか。そこに小さなPEDがあるかどうか。あれば⇒CNV(これは機械的ストレスが原因だろう)。それとは別に存在するCNV with ドルーゼンは炎症のカスケードが動いている。
※エキサイトブログの投稿が不安定なので、今後ブログの掲載先を変更するかもしれません。
当面の間、もうひとつのサイトへ二重投稿します。