2020年 03月 14日
眼瞼腫脹:眼科医が見ているものシリーズ その9 (1198)

徐々に眼瞼のネタも残り少なくなってきたが、気になっているのが眼瞼腫脹。眼科には、しばしば『眼が腫れました・・』という主訴で患者さんが来院されます。この時何を考えるのか。系統的に考えるのは教科書的でつまらないのだが、そうしないと見落としてしまうので、若干そんな感じで。まず、基本的に結膜炎がないことを前提で考えてみる。
①外傷があれば当然それによるものを考える。出血もあるでしょうし・・・。この場合、我々の関心は眼球にダメージがないかどうかに絞られる。
②全身疾患、特に腎疾患があって、特徴がなく、痛みもなく、慢性経過のびまん性の腫脹なら、それによるものを・・。この場合、初期には顔が腫れぼったい感じで、夕方になると足もむくんでくる。左右対称で、押しても凹みが戻らない。
③触ると痛いなら麦粒腫(涙嚢部が痛ければ涙嚢炎)を考えます。眼科では圧倒的に麦粒腫が多い。これにはマイボーム腺の感染の内麦粒腫と、睫毛の皮脂腺の感染の外麦粒腫がある。眼瞼全体が腫脹することもあるが、感染巣は発赤していたり、膿点が見えたりする。勿論痛みが強いのが特徴。原因となる感染巣が不明瞭で、眼瞼腫脹ばかりが目立つと、診断に苦慮することもある。涙嚢炎は、涙嚢部が発赤・腫脹するので、あまり鑑別に困ることはないかな・・

⑥突発性血管性浮腫(クインケ浮腫)が眼瞼に生じることもある。まあ眼瞼だけってことはないだろうが。この原因不明の一過性の浮腫をクインケ浮腫(血管性浮腫)と呼ぶが、ちょっと調べると様々な疾患が含まれているようです。C1-INH欠損による遺伝性(HAE)のものと、それ以外の血管性浮腫がある。後者はヒスタミンを介していて、アレルギー性(蕁麻疹を伴う)・ACE阻害薬による・物理的刺激・好酸球性・特発性など。数日で消失して、かゆみを伴わず、限局的、非対称、指で押しても跡が残らない。
⑦アレルギー性接触性皮膚炎:接触性皮膚炎には、刺激性とアレルギー性があるが、眼科においては、散瞳剤によるもの、治療に用いる点眼によるもの、化粧品によるものなどが多い。
まだありそうだがこのへんで・・・