第124回日本眼科学会 予習 その1(1200)
2020年 04月 06日

このところ、武漢ウイルスに興味の大半を持って行かれてしまい、ブログ更新が滞っている(眼科の勉強がおろそか^^;)。大阪も東京についで感染者数が多く、眼科関連の勉強会も全て中止となりました。ただ、今月の日本眼科学会は、Web開催なので、久しぶりに勉強できる機会ではあるのですが、日眼はもともと結構マニアックなお勉強の発表の場なので、我々開業医には、それほど興味深い演題は多くなく、出席することも稀ですが、今年は武漢ウイルスの影響でWeb開催となったので、全ての発表を聴講しようと思えばできる訳です。気兼ねなく途中退席可能で、全てを1分だけ聴くことも、繰り返し聴くことも・・・つまり何でもありなので、興味深い演題を探そうと思ってます。お昼ごはん食べるのにも並ばなくていいし・・・
今年は、当家においては、我が家のバカ息子が初期研修を経て、無事眼科へ入局を果たして、4代目とあいなりました。きっと草葉の陰で、祖父も曾祖父も、それなりに喜んでいることと思います。まだ入ったばかりなので、かわいいもんですが、これが1-2年経つと、クソ生意気な感じになるんやろなあ・・・
日眼の抄録(緑内障関連)をパラパラじゃなくて、クリックしながら、眺めているが、(個人的に)興味深い演題が多くないが・・・その中でから
1,新規ブリモニジン/ブリンゾラミド配合点眼剤の第III 相比較試験 東大
要するにアイファガンとエイゾプトの配合剤。単剤よりも、しっかり眼圧下降していて、安全性も問題ないと。ベータ遮断剤に依存しない治療を考える時に、PG製剤の次の選択肢として、何か単剤では、眼圧下降効果が弱いと感じる事が多くて、そんな場合CAI+β遮断剤ではなく、こちらを選択できるのは、メリットがあると考えています。千寿から出るようで、ちょっと待ち遠しいです。
2,マイクロパルス波経強膜毛様体光凝固術後の6ヶ月間成績 東北大
まあ、器械があれば、簡単にできる治療手段なので、多数行われるような気がする。昔から経強膜の毛様体冷凍凝固とか光凝固はあったが、これらは眼圧コントロールというよりは、もう殆ど視機能がないけど、眼圧が50も60もあって、痛みが出ている眼に対して、房水産生をほぼ止めてしまうという・・若干乱暴な手技でしたが、マイクロパルス波で行うと、軽くダメージを与えて、房水産生を少し抑える・・って事が可能?まあ6ヶ月という短期間では効果あったようですが、これがPOAGに使える為には、できれば数年効いてほしいし、その後、線維柱帯切開や濾過手術をした時に、悪影響を残さないでほしいものです。非緑内障専門医がこれをバンバンやって、適切な手術時期を逃してしまうことがないことを祈ります。
3,MicroShunt を用いた日本人緑内障に対する濾過手術MIGS の長期経過 東大
長さ8.5mm直径0.35mm(内径0.07mm)のMicroShuntという緑内障デバイスを眼内の隅角の線維柱帯から挿入して結膜下へ出して、濾過手術を行う術式のようです。結果は、術前眼圧17.9±3.5 mmHg ⇒ 術後36、48ヶ月後の眼圧は12.0±3.5、13.2±2.8 mmHg。まだNは少ないが、長期成績も良好。勝手な憶測だが、隅角側からデバイスを挿入して結膜下に房水を流すだけなので、サージカルに結膜下を触らないのがいいのでは。限りなく小侵襲の濾過手術では。濾過量が少ないなら、デバイス複数挿入もあり?
4,トラベクトーム手術既往眼に対する追加μフックトラベクロトミーの成績 北里大
トラベクトームやって眼圧上昇してきた眼に、追加でμLOTを行った成績。追加でトラベクトームはやらないのは何故だろう?PASがあれば剥がして、前回の線維柱帯切開部位に上下とも90度追加。これで、術前32.2±9.8、術後1ヶ月18.6±7.0、3ヶ月16.0±5.2、6ヶ月14.0±3.3。侵襲の少ないμフックでこれだけ下がれば、有効な追加術式と言えそう。