ロービジョンケア講習会 その1 (1229)
2020年 09月 12日

確か昨年まで、低視覚者社会適応訓練講習会・・・なんて名前の講習会で、参加しずらい名前だったのですが、今年からロービジョンケア講習会という名前に。それとWebなので聴講することにしました。緑内障・網膜色素変性症・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症などで、高度の視力低下を来す患者さんは多いが、徐々に医師としてできることが少なくなってきますが、逆に、日常生活に不自由を感じる患者さんに対するサポートの重要性は高まってくる。具体的にどのようにすればいいのか、医師側(私のことだが)の体制は十分とは言えない・・・・ということで、お勉強です。
ロービジョン外来を担当して
戸成匡宏 大阪医大
大阪医大のロービジョン外来。病院側は、眼科医とORT。患者側は患者本人と家族で、通常患者一人に2時間設けている。これぐらい長時間が必要(一般外来では考えられない長時間)。一般外来で、ロービジョン対応が必要な場合に、小児なら療育相談(視覚支援学校教諭・ORT)、成人ならロービジョン外来(眼科医・ORT)へ紹介。
※視覚障害者とロッククライミング
https://www.monkeymagic.or.jp/
http://naniwamonkey.mystrikingly.com/
モンキーマジックのHPから『モンキーマジックは、法人設立当初より、クライミングなどのアウトドアスポーツの素晴らしさを、視覚障害者など様々な人に伝えてゆくだけではなく、当事者である視覚障害者や晴眼者(健常者)が一緒にスクールやイベントに参加する機会をつくり、視覚障害者や弱視者へのさらなる理解深耕に寄与することも目的として活動してまいりました。』
ロービジョン外来では、①じっくり話を聞く。②少しでも日常生活を改善する方法を探る。
まず、オーダー票・問診票:日常生活で困っている状況の詳細を把握。
⇒心理面のサポート・安全な歩行・福祉関連サービスの情報提供・補助具の紹介などを行っている。
※家族に中心暗点・白内障・視野狭窄などシュミレーション眼鏡の体験してもらい、理解を深めることが有用。手引の仕方の指導したり、身体障害者手帳交付・障害年金申請なども。
転職希望の網膜色素変性症2例の紹介。同程度の病状だが、初診時年齢、その後の通院状況が異なれば、難病指定・身障判定にも差が出てきて、障害年金にも差が出てくる。無拠出障害年金は、初診時年齢がポイントとなる。しばしば記載を求められる介護保険の意見書だが、サービス利用時の留意事項や特記事項にも具体的記載が必要となる。また、若いひとは就労の可能性、経済的問題も重要。ライトハウスの専門家にも参加を依頼している。65歳以上は、介護保険認定・公的サポートが必要となる。ソーシャルワーカー・ケアマネジャーなどとも連絡必要となる。
視覚補助具の紹介:拡大読書器(意見書不要)、携帯型拡大読書器、タイポスコープ、白杖(折りたたみも)など・・
※求心性視野狭窄は歩行が難しく、近づくより、少し離れた方が、認識しやすい。眼球運動トレーニングが有効。中心暗点は読み書きが困難で、逆に近づくことで、見やすくなる。
ピアカウンセリング:視覚障害当事者が面談者としてカウンセリングすることで、説得力がある。有用だったケースの紹介。①両親からの自立、②心の整理、③パソコンの訓練など・・・・
福祉施設の紹介
日本ライトハウス・情報文化センター・大阪府視覚障害福祉協会・大阪府立大阪北視覚支援学校・京都ライトハウス・神戸あいセンターVision Parkなど
スマートサイトの紹介:大阪あいねっと
ロービジョン面談は高齢者が多い。視力は色々で、身障2級が一番多い。原因疾患は、①緑内障、②網膜色素変性症、③糖尿病網膜症で、以前より糖尿病網膜症が減った。
症例1:事務職継続希望の56歳男性。緑内障で両眼とも中心近くに暗点。矯正視力も0.2程度。縦書きの読書困難。横書きなら良好・・。偏心視で有効視野を利用。視覚補助具の選定
症例2:事務職希望の53歳女性。中等度視野障害、視力良好。身障該当(-)。まず、視野の理解:近見チャートを利用して、距離による見え方の変化を理解。
暗所視支援眼鏡:MW10 Hikari(HOYA) ※標準レンズと広角レンズ(+)
良好な暗所視だが、高額(45万円)。公的補助のハードルは結構高い・・。クラウドファンディングで、全国12の盲学校にMW10が設置された。明るくて、まあまあ見やすくて、広角レンズ使うと広範囲が見えていいが、装用感悪く・歩きにくく・距離感もイマイチで、価額はまだ高い・・^^; 適応は、夜盲があり、視力が残っていて((0.3)以上)、中心視野5°以上あり、周辺視野広すぎないこと。
なかなか理想通りのロービジョン対応は難しいですが、私にも、何ができるのかを再確認するきっかけになりました。
1)まずは病状をしっかり把握(求心性視野狭窄、中心暗点、半盲など・・・)
2)そして、患者さんが困っている状況を理解して、どのようなサポートが可能なのかを考える。
※視覚補助具を上手く使えば、日常生活や仕事面においても、可能性が広がることを提示できるかもしれない。
※障害者スポーツの可能性の提示も・・
3)身体障害者手帳の交付・障害年金の申請など