第439回 大阪眼科集談会(web) その3 (1243) 特別講演

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梅は咲いたか・・


<特別講演> 

「緑内障手術‐最近の動向‐」植木 麻理先生(奈良県 永田眼科)

1,これまでの緑内障手術

緑内障においては、眼圧を下げることが唯一のエビデンスで、通常点眼治療から初めて、必要があれば手術となる。標準的な術式としては、濾過手術がトラベクレクトミーで、流出路手術としてトラベクロトミーが昔から行われてきた。トラベクレクトミーはうまく行けば10以下の低い眼圧を達成することができるが、合併症は非常に多い。トラベクロトミーは合併症は大したことないが、眼圧下降を15以下にするのは難しい。

2,最近の緑内障手術動向

濾過手術:トラベクレクトミー、Express、チューブシャント手術

流出路手術:隅角癒着解離術、トラベクロトミー(externo/interno)、ドレーン(iStent, iStent injectW

毛様体破壊術:レーザー、クライオ、マイクロパルス

瞳孔ブロック:周辺虹彩切除術、水晶体再建術

濾過手術

日本では、欧米と違い、レクトミーやロトミーで良好な成績をおさめていたこともあり、インプラント手術はなかなか定着しなかったが、プレートを有するチューブシャント手術(バルベルト・アーメド)が徐々に普及するようになってきた。TVTスタデイでは、レクトミーより良好な成績であることが証明され、日本において、POAGの初回手術として行われることは通常ないが、結膜が瘢痕化したケース、NVGにレクトミーにしてうまく行かなかったケース、硝子体手術後・・など、通常のレクトミーの成績が不良な症例に行われいて、かなり良好な成績であることが明らかになってきた。勿論、成功したレクトミーほど眼圧は下がらないものの、middle-high teenぐらいにコントロールすることはかなりの確率で可能。手術件数(メーカーの出荷ベース)も2014950から20193400と激増している。

MIGS

トラベクトーム・iStent・カフーク・μフック・sLOTiStent injectWなど様々な術式が登場

ただ切開幅が異なるものの、トラベクトーム・カフーク・μフックはほぼ同じような成績で、従来のロトミー同様術後眼圧は15ぐらい。sLOTは、これもexternoからinternoにシフトし、切開幅も360°近くになるので、他の術式より若干達成眼圧が低い。

※もともとロトミーがそうであったように、ステロイド緑内障・発達緑内障・高眼圧のPOAGの眼圧正常化には非常に有用な術式

次が、iStent、そして最近出たiStent injectW

iStent1個なら、眼圧下降も大したことなくて、21以下が64%(対照50)、⊿IOP20%以上が64%(対照47%)。ただ、日本人ではもう少し成績良好?また1本より2本、2本より3本挿入するほうが眼圧下がるらしい。(だったら、μフックで大きく切開すれば、より有効かつ安価では・・・)

※⊿IOP iStent 15.3%, TOM 24.0%, KDB 25.3%

3,100歳寿命をふまえた緑内障治療(手術)

提示症例は、87歳左眼PEで、10年以上視野安定していたが、脳梗塞となり、うまく点眼できなって眼圧不安定になり、数年で視野が大きく悪化したケース。次が、84歳男性で奥様が肺癌でなくなってから(点眼してもらえないので?)視野が悪化してしまった。最後が94歳で左眼PE90超えてから眼圧上昇して、β遮断剤使うと、呼吸困難で搬送されてしまったケース。

若干理想論のようだが、85歳を超えたら、できたら点眼フリーにしたい。点眼は使っても1剤(2成分)だけ。β遮断剤は使いたくない。そうなると、手術が介入できる機会があれば、早めに介入すべき。

※もともと高い眼圧を点眼でコントロールしているようなケースは、当然白内障手術の機会に線維柱帯切開しておくべきと思う。ただ、日本人に一番多そうな、ベースライン15以下のNTGだと、手術適応がないのでは。将来低い眼圧のNTG患者の隅角にiStentが刺さっているケースが激増しなければ・・・と思う。

※それにしても、植木先生、松村先生に似てきた・・・と思うのは私だけ?


by takeuchi-ganka | 2021-01-06 18:00 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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