京阪沿線眼科勉強会 その2 (1252)

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家の前の公園の桜が咲き始めました。例年より1週間ほど早いかも・・


緑内障治療の問題点とその解決策

金沢大 杉沢和久 教授

1,点眼液

基本中の基本の話。ただ、かなり面倒だが・・・。まずベースライン眼圧を測定する。この眼圧が、その後、長期間継続する緑内障診療の基準になるのだから、非常に重要。最低でも2回は測定し、その後点眼開始するとしても、PG剤なら片眼トライアルを必ず行う(これも2回以上測定・・)。確実に点眼が有効であることが確認されてから、両眼に点眼開始する。また点眼変更後、見かけ上眼圧下降するのはよくあることで、点眼実施率が上がっただけかもしれないし、眼圧変動に騙されている可能性もある。

2,selective laser trabeculoplastySLT

かつてのALTの経験から、どうせSLTもあまり効かないのだろう・・と思っていたけれど、意外と有効であるという話。実は、ヤグ買い替えのときに、SLT可能な器械にしたのだが、実はあまり使ってなかったのですが、有効なのなら、もう少し前向きに取り組んでみようと思います。作用機序のイメージとしては、線維柱帯の色素を持った細胞を選択的に破壊して、無色素細胞や線維柱帯構造は破壊しなくて、流出抵抗を下げるらしい。エアコンのフィルターを掃除する感じ?

 本当に有効なら、長期間にわたって点眼数を減少させることが本当に可能なら、また観血的手術を回避できるのであれば、患者さんにとってはメリットがある。隅角光凝固は9660点。つまり3割負担で3万弱の自己負担がある。今まで、それほどの価値が見いだせなかったのだが・・・

 杉山先生のやり方は、360度照射で、バブルがでるかでないか・・ぐらいの強さで。Indexing SLTレンズが便利らしい。ステロイド緑内障に一番よく効いて、POAGNTGPEでも有効。ステロイドで、40以上になっている症例にも著効することあり。

OcularHwang-Latina 5.0 Indexing SLT w/Flange

 ALTなら、通常点眼治療を目一杯やって、そろそろ観血的手術が必要な場合に、手術を回避したいからALTを・・っってスタンスが多かったのですが、このSLTは、できれば点眼が3剤・4剤も入る前に、やった方が有効らしい。可能なら、点眼が開始される前か、1剤ぐらいしか入っていない状態がいい?

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6495367/ 

Selectivelaser trabeculoplasty versus eye drops for first-line treatment of ocularhypertension and glaucoma (LiGHT): a multicentre randomised controlled trial

Lancet.2019 Apr 13; 393(10180): 1505–1516.

この論文のインパクトは大きい。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31028768/

PrimarySelective Laser Trabeculoplasty for Open-Angle Glaucoma and OcularHypertension: Clinical Outcomes, Predictors of Success, and Safety from theLaser in Glaucoma and Ocular Hypertension Trial

Ophthalmology.2019 Sep;126(9):1238-1248.

初期緑内障にSLT1回やると、1年後79%、2年後71%3年後64%が点眼フリーだったと。SLT1回で、3年後の⊿IOPは初期緑内障で30%。これが日本人に当てはまるなら、凄い。PG点眼が有効な症例とSLT1回が同レベルだとすれば・・。点眼の副作用もないし・・。やるなら早めにやるべし

3,マイクロパルスレーザー(MPCPC

アメリカのIRIDEX社のCYCLO G6という器械を用いたマイクロパルス毛様体光凝固。昔よく似た器械があったが、それは連続波の毛様体破壊術のようなもので、全く異なり、ぶどう膜強膜流出路促進、房水産生抑制効果があり眼圧を下降させるらしい。Gプローブと異なり、ターゲットは、毛様体扁平部。

非常に簡単な手技で、短時間で終了する(5分ほど)。あらゆるタイプの緑内障に対応できる?眼圧は1週間後は、必ず下がるらしいが、その後上昇してくる。長期間の有効性は望みにくいが、大きな合併症なく、とりあえず下げて、手術までの時間稼ぎが可能。どうしても手術ができない事情がある患者さんにも使えるのかな・・

※簡単に誰でも行えて、一時的に眼圧が下がるので、観血的手術までの時間稼ぎや一過性眼圧上昇への対応でない使い方が増えそうな気がする。適応は慎重に・・

4,トラベクレクトミー:濾過胞感染を克服する

10前後の眼圧でないと進行する緑内障に対する唯一の手術方法として、トラベクレクトミーは今でも存在価値があり、王道だし、今まで非常に多くの緑内障専門家が、様々な方法でより安全な濾過手術を求めて、創意工夫を重ねてきたのだが、まだまだ濾過胞感染を克服できない・・・・と思っていたら。

個人的な印象としては、しっかりした濾過胞は消失しやすく、当然感染もしない。虚血性変化の強い濾過胞は低い眼圧を維持できるが、破れやすいし感染しやすい。理想は、丈は低く大きな広がりをもち、表面はそれほど虚血性ではない状態で、感染しにくい濾過胞。そのあたりのコントロールが難しいのがこの手術の最大の欠点なのですが、ついにそれを克服されたのだろうか・・・。

濾過胞感染を克服する方法 ⇒ 『テノン嚢で完全に裏打ちした濾過胞作成』。円蓋部基底の結膜切開を行い、テノン嚢を前転して濾過胞を裏打ちすることで、術後の濾過胞感染を大幅に減少させることに成功した・・・。その濾過胞感染の発生率はほぼ克服したと言えるレベルだと。

※全例で、テノン嚢把握できて、前転可能なのだろうか・・

5,後期緑内障眼への硝子体手術

あまり気にしないで手術しているという硝子体サージャンの話を聞いたこともあるが、緑内障の世界では、緑内障眼に黄斑部網膜を触る手術は禁忌的状況になっている。硝子体手術後(内境界膜剥離が原因?)、10度以内の鼻側視野が悪化しやすい。ある程度進行した緑内障(GCC菲薄化)の手術はハイリスク?

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32467638/


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by takeuchi-ganka | 2021-03-21 14:13 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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