2021年 08月 09日
皮膚科領域とクロスしそうな疾患 その1 (1282)

当たり前だが、角膜や結膜(球結膜・瞼結膜)、或いは眼瞼縁の所見の解釈は、眼科医なら問題なく行えるのだが、どうも皮膚病変に対する解釈はレベルが低くなる。患者さんにしてみれば、皮膚病変でも眼の近くなら眼科へやって来ることも多いので責任重大。皮膚科でも微妙な場所に病変があり、眼球に病変が及んでいる可能性が高い場合は、眼科受診を勧めることが多いい訳で、当然我々も少し難易度が高いと判断すれば皮膚科の専門医への相談を躊躇してはいけない。
眼の周囲の皮膚といっても、全ての皮膚科疾患が発生する可能性があり、話は簡単ではない。眼周囲で、眼科医を悩ませる皮膚科領域の疾患について勉強してみる。
1,麦粒腫
2,カポジ水痘様発疹症
3,伝染性膿痂疹
4,アレルギー性眼瞼炎
最初は麦粒腫。といっても、皮膚科領域とクロスしそうなのは、外麦粒腫だけかな。
1,麦粒腫
いわゆる『メバチコ・メイボ・ものもらい・・・』なのだが、様々な状態がある。患者さんが『めばちこ』と思っている範囲は、我々より更に広範囲にわたるのだが、専門的に判断してもバラエティーに富んでいる。
①内麦粒腫
最も頻度が高い。マイボーム腺の化膿性炎症で、初期から痛みが強くて、少し時間が経過すると膿点が出現して、膿が排出されて治っていくことが多い。この疾患の治療に悩まされることはあまりない。

頻度的にはそれほど多くないが、意外と手強いことも。睫毛に付属する皮脂腺や汗腺への細菌感染なので、内麦粒腫と異なり、皮膚側にできる。内麦粒腫ほど症状が初期から出ないので、少し時間が経ってから受診されることが多く、病巣が複数あって、内麦粒腫に比べて、治癒までに時間を要した事もある。

③化膿性霰粒腫
一見麦粒腫なのだが、炎症がひいても、中々しこりがとれない・・・。最初から麦粒腫でなく、化膿性霰粒腫と見抜いておかないと、患者さんとの信頼関係が少し揺らぐかも・・