
昔から、小児眼科、斜視・弱視、神経眼科・・などの領域の疾患が苦手だった。大学病院だと、専門のドクターがいたし、優秀なORTも揃っていたので、逃げ回ってもどうにかやっていけたのだが、開業すると逃げられない(もう20年以上経ったけど^^;)。最大の問題は、不同視弱視だろうか。斜視があれば、微細なものでなければ診断はそれほど困難じゃないし、器質的な疾患があれば、診断は容易なはず。ただ、屈折異常の検出には、スキアの達人ではない私の場合、患者さんがオートレフに顎を載せて、固視してくれることが必須条件となる。子供といっても、就学時に近くなれば、徐々に検査可能になるが、それ以下の年齢だと時間をかけても失敗することが多い。3歳時検診に行くときは、慣れないスキアを持って、必死になって屈折異常の有無を、特に左右差の遠視が存在しないか・・・、汗をかいてきたが、そんな長い間の悩みを解決してくれそうな器械が誕生していた。
知ってはいたのだが、経済的な余裕のない弱小クリニックの院長としては、買って意味がある器械なのか悩んでいたところ、講演で話を聞き、更にこの分野に造詣の深い友人Kが『十分価値あるよ・・・』と軽く行ってくれたので、仕方なく大枚払うことにした。ただ、かなり出遅れたので、買ってすぐ新製品がでると嫌だなあ・・

この器械(SVS)は、検者が被検者と1mぐらいの距離をおいて器械を保持し、被検者が点滅する光の方を見てくれたら、両眼同時測定で、検査は数秒で終了する。数秒では結果が出ないことも多いけど・・。実際、3歳時検診に持ち込んでみたが、これまで汗をカキカキ、下手なスキアを振っていたのが、僅か数秒で、両眼の屈折検査、眼位検査が終了した。その後調子に乗って、就学時健診にも持ち込んだが、こっちは、人数がそれなりに多いので、大変でした。
SVSは、弱視のリスクファクターの自動判定機能まで装備している。勿論この自動判定は鵜呑みにはできないものの、これで陰性だったら、90%以上は異常ないと判断していいそうなので、ちょっと安心。ただし検査陽性でも弱視と診断されるのは、60%弱であることに注意が必要。あくまでスクリーニングなので、このあと精密検査すればいいのです。

自動判定には若干問題があるようで、日本斜視弱視学会のホームページを見れば、日本で推奨される基準値が記載されていて、変更も可能らしい。少し使い込んでからまたブログにします。