関西医大眼科同窓会 秋の勉強会 その1 (1299)

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ジョウビタキのメス(多分)


今年も同窓会は、WEBで。セキュリティーがしっかりした(?)Microsoft Teamsを使用するのだが、高齢会員にはなかなかハードルが高いようで・・・。変な声が聞こえたり、鉢巻したおっさんが現れたり・・ハプニングも避けられない。面白いけど、ちょっとドキドキします^^;


ミニシンポジウム

1,当院で経験した急性網膜壊死(ARN) 藤原亮

この疾患、桐沢先生が主任教授を務める東北大眼科で、浦山先生が最初に報告したウイルス性網膜炎なので、昔は浦山・桐沢型ぶどう膜炎などと呼ばれたようですが(多分)、今はアーンなんて呼ばれています。今ほど、治療方針が確立していなかった頃は、虹彩炎(眼圧上昇を伴う)、網膜血管炎、特徴的な網膜壊死、やがて網膜剥離・視神経萎縮で、失明確率が高い恐ろしい疾患でした。我々としては、豚脂様KPを伴う虹彩炎があって、眼圧が上昇していたら、アーンを念頭において、眼底検査を。怪しげな浸出斑が見えたら、すぐに専門医へ送ること・・です。ただ、この疾患、比較的緩やかに進行することもあれば、あっという間に進行してしまうこともあるので、本当に要注意です。今どきの確定診断は、前房水採取して、PCRしてヘルペスウイルスを検出すること。

https://search.yahoo.co.jp/image/search?ei=UTF-8&fr=mcafeess1&p=Acute%20retinal%20necrosis

症例1 25歳女性 左眼視神経浮腫・虹彩炎⇒数日で特徴的滲出斑

治療:アシクロビル点滴、ステロイド点滴、アスピリン、バクタ・・・PCRVZV検出されたら、アメナビル内服・・。網膜正常部と滲出斑の境界部位に光凝固。滲出斑が枯れてきたら、(放置すると網膜剥離になるので)、PEA+IOL+ビト+SO

※バクタって何故必要なのかなあ・・。予防的投与?

症例2 82歳男性 右眼虹彩炎⇒数日で(?)網膜血管炎・特徴的滲出斑

治療:アシクロビル点滴、ステロイド点滴、アスピリン、バクタ、アメナビル・・。網膜正常部と滲出斑の境界部位に光凝固。2週間ほどして、滲出斑が枯れてきたので、(放置すると網膜剥離になるので)、PEA+IOL+ビト+SO

症例3 73歳男性 右眼虹彩炎⇒数週間しても、網膜滲出斑は不明瞭。結局34週間して、滲出斑。治療:アシクロビル点滴と点眼だけ。VZVが検出された後は、アシクロビル点滴、ステロイド点滴、アスピリン、バクタ、アメナビル・・。手術しなくても改善。

VZVだったが、進行緩やかで、予後良好。

症例4 65歳女性 左眼虹彩炎(豚脂KP)、眼圧上昇。硝子体混濁。FAで広範囲血管閉塞?滲出斑出現してきて、治療へ。アシクロビル点滴、ステロイド点滴HSV-1検出。・・・ただ、最終的に右眼手動弁、左眼光覚なし。FA撮った時は、右眼異常なさそうだったのに・・・

※眼底所見の把握が困難で、治療開始に手間取った?

関西医大でのARN1213眼。HSVよりVZV2倍以上多い。全国の報告も、VZVが圧倒的に多い(福岡だけ例外)。年齢も重症度も進行速度もバラバラ・・。急速に進行する場合、すぐに本格的な治療に入り、手術も行なえて、失明は回避できるものの、良好な視力の維持はなかなか難しい。診断・治療に手間取ると、予後不良になることも。

「宮崎スタディ」 帯状疱疹大規模疫学調査

https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2433-iasr/related-articles/related-articles-462/8235-462r07.html

Hope-Simpsonは、高齢者の発症率が高いこと, および, 水痘または帯状疱疹を有する個体からの水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)への外因性曝露が, VZV特異的細胞性免疫を高めること(ブースター効果)により, 帯状疱疹のリスクを減少させるとの仮説を立てた。』 ⇒ 調査結果『水痘の流行が帯状疱疹の発症を減少させている』

「宮崎スタディ(1997-2006)」

10代に小さな峰があり, 30代に凹みをもち, 50代より急激に増え, 60代・70代に大きな峰のある2峰性があることを報告している。30代が低い理由としては, 子育て世代であることから水痘患児との接触機会が多く, ブースター効果が得られて, 発症が抑制されるためと推測した。また, その中で, 水痘流行と帯状疱疹の発症は, 鏡像関係になっており, 水痘の少ない夏に帯状疱疹が多く, 水痘の多い冬には帯状疱疹が少ないことを明らかにした。

「宮崎スタディ(1997-2017)」

2014年から開始された水痘ワクチンの影響を調査

⇒水痘予防接種プログラムは, 地域社会のVZVを減少させ, VZVに対する免疫力を高める可能性を減少させるため, 水痘ワクチン接種の導入は集団における帯状疱疹発生を増加させる可能性があるとの仮説が立てられている。水痘ワクチン定期接種以後、『水痘の流行は激減した。その結果, 水痘は年間を通して減少し, 季節性は消失した。この水痘減少の影響で, 帯状疱疹も夏に多く冬に少なくなるという季節性があまりみられなくなった。このことは, ワクチン接種の影響が年間を通じての帯状疱疹の増加に関連しているものと推察される。』

つまり、『水痘減少によるブースター効果の抑制に伴う, 帯状疱疹の増加と, 高齢化の進行による帯状疱疹の増加』が予想される。高齢者の帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンで対応すべき。

帯状疱疹ワクチン

①ビケン(弱毒生ワクチン)80001回接種

②シングリックス(サブユニットワクチン)22000円☓2回接種

※最近、ARNが増えているのも、水痘ワクチン接種による影響?


by takeuchi-ganka | 2021-11-16 18:24 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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