関西医大眼科同窓会 秋の勉強会 その2 (1230)

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いつもの(?)カワセミ



2,ナノポアシークエンサーを用いた感染性眼内炎の起炎菌検索 近江正俊

眼内炎が、感染性なのか非感染性なのか。感染性なら、その原因はウイルスなのか細菌なのか?細菌性だとしても、硝子体液の塗抹・培養では原因菌の特定は困難なことが多い。そこでナノポアシークエンサーを用いた遺伝子解析を用いた起炎菌同定を。

感染症における起炎菌の同定法には、

①塗抹:検体をスライドガラスに塗沫して染色して観察するのだが、特殊染色まで行っても、ピンポイントで起炎菌同定は難しい?

②培養:時間がかかるし、培養困難な場合も多い。

③遺伝子解析 1)PCR 2)16SリボソームRNA遺伝子配列を利用した細菌同定法

※ここ2年ほどで随分有名になったPCRは、ターゲットを絞って、特定のウイルス(例えばコロナ、ヘルペス)のDNAを検出しようとするものだが、今回の発表は⇒『細菌がもつ 16S rRNA遺伝子は、タンパクの翻訳に関わる重要な遺伝子であるため、細菌の種類を超えて比較的保存されている領域。また細菌の種類ごとに安定であることから、16S rRNA遺伝子を解析し、データベースと照らし合わせることで、種類を同定することができる』 ことを利用した検査のようです。

https://www.repertoire.co.jp/research/technology/16srrnainfo/ 

何度聞いても、詳細なメカニズムは理解できませんが、これまでのシークエンサーは、高価な大型の器械を用いて、長時間かけて、短い断片を解析していたのが、ナノポアシークエンサーは、安価な小型の器械で、短時間に長い領域を解析できるようです。

https://tenure5.vbl.okayama-u.ac.jp/HM_blog/?p=3670 

https://nanoporetech.com/products/minion 

検体を採取したら、パソコンにつないだUSBメモリーのような器械に検体を入れると、16SリボソームRNAを増幅して、可変領域をデータベースと照合して、4時間ほどで起炎菌を同定。これが本当なら(本当だから発表しているのでしょうが)、画期的すぎます(呆気なさすぎるとも・・)。

症例1:24歳男性。鉄片が眼内に穿孔して、眼内炎に。培養結果はMSSE。シークエンス結果も同様。MSSE89%

症例2:55歳女性。白内障術後の眼内炎。培養結果は陰性だが、シークエンス結果は前房水・硝子体ともに、nutritionally variant streptococciNVS)(栄養要求性レンサ球菌)の一種である Granulicatella adiacens(口腔内の常在菌?)。特殊な細菌で培養難しくて、ナノポアシークエンサーが有用なケース。

※ぶどう膜炎の起炎菌検出のため、眼感染症網羅的PCR検査導入の試みが、東京医科歯科大学・理化学研究所・大分大学の主導で行われています。私の母校(大分)も頑張っているようで、ちょっと嬉しい・・

https://www.med.oita-u.ac.jp/ganka/pcr/kensabu_edition.pdf 
https://www.med.oita-u.ac.jp/ganka/pcr/ic.pdf 

眼感染症微生物検出試薬キット「感染性ぶどう膜炎キット(Direct Strip PCR )」は、多項目同時に増幅するマルチプレックス・リアルタイム PCR 法と、DNA 精製不要で直接 PCR 増幅を行う Ampdirect®法を組み合わせ、わずか 20μL の眼内液から主要微生物最大 9 項目(HSV1,HSV2, VZV, EBV, CMV, HHV6, HTLV1, 梅毒, トキソプラズマ)を網羅検出します。前房水・硝子体を直接試薬に添加でき、簡便・迅速(用手操作1 分、PCR 時間最短 35 )です。

すると今後は、まず、眼感染症網羅的PCR検査(Strip PCR)を行って細菌(+)なら、ナノポアシークエンサーを行う?

※面白そう。今までモヤモヤしていたぶどう膜炎の診断が、スッキリしそう。若かったら、ハマるやろなあ・・


by takeuchi-ganka | 2021-11-19 18:53 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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