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加齢黄斑変性の治療(第4回大阪眼疾患セミナーから) (1237)

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最近みつけた一番の可愛子ちゃん(ジョウビタキ)

演者は関西医大の大中先生で、タイトルは、AMDの治療~過去・現在・未来~。2つ目の演題も、加齢黄斑変性治療のおさらいをしてくれる内容だったので、頭の整理にちょうど良かった。過去現在未来というので、いつの時代からの話なのかと思ったら、2009年から(ついこの間)のようで、ちょっと予想と違いましたが・・。私にとっては過去はFAで見つけた新生血管の直接網膜光凝固であり、現在が抗VEGF注射で、未来は注射さえ不要な世界でしたが。演者にとっては・・

過去 20092012年:ラニビズマブ(ルセンティス)

 ※PDTがメインの治療だったのが、2009年以降はルセンティスがメインに。

現在 20132021年:アフリベルセプト(アイリーア)

 ※2013年以降は、アイリーアがメインに・・ 症例を選んでブロルシズマブ(ベオビュ)も。

未来 2022年~:ラニビズマブBSや ファリシマブ

過去:

ラニビズマブの毎月投与(固定投与)の成績は良好で、視力改善・維持が期待できるのだが、流石に何年にもわたって毎月投与というのは負担が大きすぎる。必要な時に投与するPRNpro re nataは理想的に行うことができれば、投与回数を節約できて、視力維持できるのだろうが、現実はundertreatmentとなり、視力低下してしまう。そこで、TAE (Treat and Extent) が考えられた。導入後、滲出性所見の有無で投与期間を延長・短縮して計画的投与を行う。症例に適した通院間隔を決めることができる。関西医大も当初は、ラニビズマブ(ルセンティス)のPRNだったが・・・

現在

 アフリベルセプト(アイリーア)登場以後、関西医大ではmodified TAEを行うことで、overtreatmentundertreatmentもない治療に?導入後再燃するまで経過観察して、再燃後TAEへ。TAE期間の設定は、初回滲出性変化消失から再燃までの期間を考慮して決定。これにより通常のTAEと同等の効果を、投与回数を節約しつつ達成。ただ問題点も多くて、更に投与間隔を広げる、できれば治療を終了する為にも、新しい薬剤(ファリシマブ)に期待が。

ブロルシズマブ(ベオビュ)の治療効果は高いのだが、眼内炎症が多いのがネックらしい。高齢、心筋梗塞・脳卒中の既往、高血圧・DMにも使いにくいとすれば、あまり適応は広がらないかも。

 現時点での関西医大の基本方針は、アフリベルセプトのmodified TAE。超高齢・全身状態に問題があればラニビズマブ。僚眼視力よくて患眼視力不良な場合にブロルシズマブを考慮?

未来

 ラニビズマブBSというジェネリックのような薬剤が発売され、治療効果同等なので、ルセンティスからこれに変更。少し経済的負担軽減。将来アフリベルセプトBSが出たら、アイリーアもこれに変更予定。

※何故ジェネリックと言わずに、バイオシミラー(BS)などと呼ぶのか。

国立がん研究センター中央病院のHPから

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/pharmacy/040/generic/000/biosimilar/index.html#:~:text=A2%20%E3%80%8C%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E5%BE%8C%E7%B6%9A%E5%93%81%20%EF%BC%88%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA,%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E3%81%AE%E5%BE%8C%E7%99%BA%E8%96%AC%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

『後発医薬品 (ジェネリック医薬品)」は分子サイズが小さく、化学合成によって先行品と完全に同一である製品を製造することが可能です。一方、バイオ医薬品は、分子サイズが大きく、構造が複雑なため、製造業者が異なることによる製造工程の違いの影響をうけやすく、先行品と完全な同一品を製造することは困難です。そのため、「バイオ後続品(バイオシミラー)」は、先行バイオ医薬品との同等性 / 同質性を証明するために、新薬に準ずる様々な試験(品質試験、薬理試験、毒性試験、臨床試験など)が必要とされます。様々な試験の結果、先行バイオ医薬品と品質、効き目や安全性が「同等」であることが検証された医薬品が「バイオ後続品 (バイオシミラー)」です。』

最後にファリシマブ

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210611170000_1114.html
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210125153001_1066.html 

HPから

 『ファリシマブは眼科領域における初のバイスペシフィック抗体であり、多くの網膜疾患の原因である、アンジオポエチン-2Ang-2血管内皮増殖因子-AVEGF-Aが関与する2つの異なる経路を標的としています。Ang-2VEGF-Aは血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こす原因のひとつになっています。ファリシマブは、これら2つの経路を別々に遮断することで血管を安定化させ、網膜疾患を有する方の視力をより良く、より長く保てる可能性を考慮して設計されています。』らしい・・・。つまり今までの薬剤とは大きく異なる作用機序をもつので、ちょっと期待していいのかな?将来、全症例これに変更予定・・・らしい。

https://www.roche.com/dam/jcr:1a6c3f66-3d4f-4d07-8eb6-28e81c7e1cc2/en/angiogenesis-2021.pdf


by takeuchi-ganka | 2022-01-23 14:11 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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