第447回 大阪眼科集談会 その4(1247)
2022年 04月 10日

<特別講演> 座長: 山本 学 先生(大阪市立大学)
「加齢黄斑変性アップデート」 井上 麻衣子 先生(横浜市立大学)
この話、若干食傷気味なのだが・・何度も復習することはいい事なので。
加齢黄斑変性における新生血管は、昔網膜下新生血管(SRN)と言っていたような気もするのだが、その後長らく脈絡膜新生血管(CNV)と呼んでいた、今は黄斑新生血管(MNV:macular neovascularizaton)と呼ぶらしい。
滲出型加齢黄斑変性の分類
- 典型加齢黄斑変性
- Classic CNV (Type2 MNV)(RPEの上)
- Occult with no classic CNV (Type1MNV)(RPEの下)
- PCV (Type1 MNVの亜型) (RPEの下)
- RAP (Type3 MNV)(網膜内)
疾患の活動性の指標(これがあれば治療する?)
- 出血
- 網膜下液(SRF) :Fluid
- 網膜内浮腫(IRF) :Fluid
- PEDの増加 :Fluid
- フィブリン
※このFluidが問題。RPEの下は予後がいいので、治療に反応しなければ経過観察。IRFは視力低下に直結するので、積極治療する。SRFも勿論治療だが、残存して治療に反応しにくくなれば、そのまま経過観察もあり。フィブリンあれば絶対治療。
※紹介のタイミング: 治療適応ありなら、なるべく早めがいい。MNVが大きくなる前に。
https://www.ribomic.com/pipeline/rbm007.php
ルセンティス投与によるAMD患者の視力に対する臨床試験の結果
⇒前半2年間は月1回の硝子体投与(試験名INITIALSTUDY):視力改善
⇒後半2年間は数ヶ月間隔の硝子体投与(試験名HORIZON):ベースラインに戻る。
⇒その後4年以降の視力について経過観察した結果(試験名SEVEN-UP):更に悪化?
原因と対策
1)Undertreatment
⇒①PDT併用②新薬に期待
2)長期合併症(瘢痕化・線維化?)
※PCV・PNVは、 原因として『Pachychoroid>VEGF』なのでPDTを積極的に使うし(併用)、抗VEGF治療が無効な場合や注射回数を減らしたいRAPでも。
※演者は、眼圧上昇をかなり気にされてる。緑内障既往や注射回数が多くなると要注意。提示されていた症例の視神経は蒼白で、慢性的な眼圧上昇によるものなのかなあ・・・。硝子体注射が50回以上にもなれば、注射の度に一時的眼圧上昇が度重なってないのかも気になる。毎回注射後iCareでもして、眼圧上昇確実なら、毎回パラセン併用すべき?視野が悪化してからでは遅いような。
新薬について:
ブロルシズマブ:質量が少なくて、高い溶解性がありラニビズマブに比べて20倍以上投与が可能。従来の治療が効果不十分な場合や治療間隔を伸ばしたい場合に、アイリーアからスイッチして使用していると。現時点では、有効と判断。また、あまり眼内炎症で痛い目にあってないようで積極使用しているらしい。
※網膜血管炎、網膜血管閉塞のリスクがあることに注意。
使い分け
タイプ1MNV(RPE下)には、アフリベルセプトかブロルシズマブ
タイプ2、タイプ3MNVには、ラニビズマブ(ラニビズマブBS)