2022年 04月 20日
周辺部角膜潰瘍 (1248)

両眼のRAに伴う周辺部角膜潰瘍が気になったので、ちょっと勉強を。潰瘍が発生したら(活動性病変)、リンデロン点眼を増やして消炎をはかる。でも既に何回か繰り返している為、かなり菲薄化していることが多い。この先も何回か活動性病変が発生すれば、穿孔が危惧される状態。専門家はどのような治療を行っているのだろう。ちょっと古いが慶応から出ている日眼の論文を元に知識を整理してみる。

重症周辺部角膜潰瘍の予後不良因子
鈴木 亜鶴(慶応義塾大学医学部眼科学教室), 松本 幸裕, 内野 裕一, 川北 哲也, 榛村 重人, 坪田一男
日本眼科学会雑誌(0029-0203)115巻2号Page116-121(2011.02)
この対象症例は、Mooren12眼、RAに伴うもの2眼、Terrien4眼。(やはりRAよりMoorenが多い)。治療はステロイドは全例に継続中で、シクロスポリン点眼も13眼に行っている。またステロイド全身投与が12眼、シクロスポリン全身投与は10眼に行われている。外科的治療も角膜移植24回、羊膜移植15回、結膜移植8回、結膜切除4回・・・(気になったのは、シクロスポリン点眼。どのタイミングで行っているのだろう。論文中、点眼したことがるのが13眼、ステロイドは全例継続中とあるので、シクロスポリン点眼は、経過中に点眼したことがあるということかも。緩解期に再発予防にという使い方ではなさそう。
Moorenは、『角膜輪部に沿って生じる非感染性の角膜潰瘍で,強い眼痛と充血を伴い,異物,外傷,感染などを契機に発症する』らしい。『角膜抗原に対して生じた自己抗体が関与する自己免疫反応』。RAに伴うものの場合は、『抗原抗体複合体が沈着し,補体が活性化されるⅢ型アレルギー反応によるもの』らしい。同じような病変だが、発症メカニズムが異なると推論されている。Moorenの場合は、『Mooren潰瘍は,液性および細胞性免疫の異常が示唆されているが,ヘルパーT細胞におけるIL-2の産生を抑制することにより,シクロスポリンAが有効』だとか・・・。RAに伴うものは、特に記載がないが、RAそのもののコントロールが大切なのかも。
RAに伴うものの一般的な治療としては、ステロイド点眼、感染予防に抗菌剤、ドライアイ併発にドライアイ治療。重症例では、免疫抑制剤や生物学的製剤の全身投与・・・特別なものはなにもない。
すると、RAに伴うものの場合は、RAの全身状況について、内科主治医と連絡をとりつつ、ステロイドの点眼で経過観察ってところかな。