近視進行抑制眼鏡 (1258)
2022年 07月 26日

ハゼラン?
近視進行抑制に関して興味を持ってから、まとまった話を聞くたびに、ブログに記録してきたが、主だったものだけでも、9本ほどあった。もっとあるかもしれないけど・・
1. https://takeganka.exblog.jp/1233215/ 近視治療について
2. https://takeganka.exblog.jp/11335226/ 眼科に関するQ&A その1(近視) (367)
3. https://takeganka.exblog.jp/14973512/ 第3回眼科臨床クイックレビュー その3 (500)
4. https://takeganka.exblog.jp/15145423/ 第379回大阪眼科集談会 その3 (505)
5. https://takeganka.exblog.jp/29969271/ 第36回大阪市眼科研究会 その3 (1085)
6. https://takeganka.exblog.jp/30367234/ 眼科スタッフ教育講座 近視進行のメカニズムと近視進行抑制治療 その1 (1114)
7. https://takeganka.exblog.jp/30371713/ 眼科スタッフ教育講座 近視進行のメカニズムと近視進行抑制治療 その2 (1115)
8. https://takeganka.exblog.jp/32124022/ NHKスペシャル 超近視時代 (1246)
9. https://takeganka.exblog.jp/31326952/ 第437回 大阪眼科集談会 その5 (1228) 「低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制」
最近の『あたらしい眼科』で、いつも気にしている長谷部先生の文章を読んでいたら、近視進行抑制眼鏡がワンランク進化していたので、ちょっとまとめてみます(殆ど自分の為ですが・・)。
薬物治療・コンタクトレンズ装用・眼鏡装用など、様々な方法で近視進行を抑制する試みが行われてきて、どの方法もイマイチだなあ・・・と感じていました。20数年前に開業した頃は、怪しげな近視回復・・・なんとかの話をよく聞きましたが、流石に最近は聞かなくなりました。(ちょっと検索するとまだ存在していました。びっくり・・・)
近視進行抑制というなら、小学校低学年ぐらいから始めないと意味ないでしょうし、その年令の子供の眼鏡装用はそれなりにハードルがあります。しかも通常の累進屈折力レンズに近い眼鏡なら、上手く装用を続けるのは更に高いハードルがあり、その割に効果がイマイチなら、ちょっと勧めにくい。MiSightというコンタクトレンズは日本発売されてないようだし、オルソケラトロジーレンズは、値段もリスクも高そうで好きになれない。話題の薬物治療(低濃度アトロピン)は、本当に日本人に有効なのだろうか・・・。そんな全ての治療に懐疑的な私でも、このHOYAの新しい眼鏡は、今までとひと味違う・・・・・気がする。
(高校生の頃、開幕前のスポーツ新聞の定番記事は、一味違う今年の田渕でしたが・・^^;)
1. 累進屈折力眼鏡:progressive addision lenses (PAL)
近視抑制 28%(1年)、20%(2年) 眼軸長抑制18%(1年)、14%(2年)
※MyoKids(カールツアイス)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33673218/
近業時の網膜後方へのデフォーカス(調節ラグ)が近視進行(眼軸長延長)のトリガーなので、近視進行予防の為に、+1.5~2.0D加入した累進屈折力眼鏡を装用させるのだが、子供のメガネをみたらわかるが、歪んだりズレたりしていることは日常茶飯事で、なかなか理想的な装用環境を維持することが困難な上に、かなり頑張って装用させても効果がイマイチだった・・・。
やがて、近視進行抑制は、低濃度アトロピンが主役になり、多くのクリニックで、実際行われているようだが、どうも日本において、非常に有効であるという話は耳にしない。ちょっと興味が薄れていたのだが・・・
2. DIMSレンズ眼鏡:defocus incorporatedmultiple segments (DIMS)レンズ眼鏡
① 近視抑制 52%(2年) 眼軸長抑制62%(2年) ※MiyoSmart(HOYA社)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31142465/
https://kyodonewsprwire.jp/release/202205060845
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35464151/
この眼鏡レンズは、中央にクリアゾーン、その周囲に直径1mm屈折力+3.5Dの微小レンズ400個をハニカム状に配置。この時、既にdefocus incorporated soft contact (DISC) レンズ(MiSight, CooperVision社)が発売されていて、遠用部と+2.0の近用部が同心円状に配置。このコンタクトレンズを眼鏡に応用したものらしい。正面視しているときに、正面から入った光だけでなく、眼を動かしても、あるいは周辺から入った光も、全て、二重焦点を持つことになる(一つは近視性デフォーカス)。結果、眼底全体の網膜に対して、近視進行(眼軸長延長)のトリガーを作ることがない・・・らしい。
② 近視抑制 67%(1年) 眼軸長抑制64%(1年) ※Stellest lens(Essilor社)
複雑な構造となってきて、非球面微小レンズを同心円状に配置。基本原理は同じようなものだが、HOYAより若干優れている?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33811039/
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MiyoSmart(HOYA社)⇒
https://assets.markallengroup.com/article-images/245968/Miyosmart%20lens.jpg
Stellest lens(Essilor社)⇒
https://evershineoptical.com.sg/wp-content/uploads/How-Stellest-works-2048x1095.jpg
①と②の比較https://progressive-glasses.com/essilor-stellest-vs-hoya-miyosmart-what-is-the-difference/
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このDIMSレンズ眼鏡の近視抑制効果はかなり画期的ではないだろうか。まだ日本発売されていないようだが、効くかどうか怪しげな低濃度アトロピンによりも期待したい。
3. バイオレットライト透過型レンズ眼鏡
近視抑制 7%(2年) 眼軸長抑制4%(2年)
※サブグループ解析で眼軸長抑制21%。あまり期待できないかな・・
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34830743/
4. 低光線拡散レンズ眼鏡
ON双極細胞の興奮が眼軸延長のトリガー。それを抑制する眼鏡?
これも、あまり期待できなさそう・・・
これからは、DIMSレンズ眼鏡の時代?低濃度アトロピン併用したら完璧??