第499回大阪眼科集談会 その4(1211)3歳児検診と小児の弱視治療

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20年前の夏休み(^^)


特別講演

 3歳児検診と小児の弱視治療 森隆史(福島県立医大)

大阪でも3歳児検診にスポットビジョンスクリーナーが導入されて、3歳児検診後の精密検査受診が増えてきたのと、少し前、これに備えて(?)スポットビジョンスクリーナーを購入していたので、興味深くて、眠る事なく聴講できました。

視機能は視覚刺激によって発達し、その感受性期は限られているので、視覚刺激に問題が発生しているのなら、感受性期間をすぎてしまう前には問題を発見して解決する必要がある。

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 弱視には、①形態覚遮断弱視、②斜視弱視、③不同視弱視、④屈折異常弱視などがあるが、それぞれ、感受性期が異なる。

もっとも早いのが、①形態覚遮断弱視で、1歳未満に感受性のピークがある。2歳では感受性期が終了している。つまり、何らかの眼疾患があり、形態覚が遮断されているなら、その時期までの遮断を排除しなければならない。③不同視弱視や④屈折異常弱視の感受性期のピークは13でその後徐々に低下するが、②斜視弱視は、ピークが少し早くて、感受性消失も少し早いようです。

 母子保健法や学校保健安全法に基づく健診があって、感受性期の間に発見し治療に持ち込むことが重要。例えば生後まもなく、重症眼疾患があれば①を回避するためにすぐに手術が必要です。先天白内障も高度な場合は、両眼性は生後1012週、片眼性では生後6週までに手術を受ける必要と言われています。斜視・固視不良は、保護者や一般健診で見つかる可能性があるだろうし、③④の屈折異常が絡むものについては、3歳児健診でチェックが入る筈。私の乏しい経験でも、就学時健診や小学校1年の学校健診で、ごくまれに③不同視弱視が見つかることがある。不同視弱視や屈折異常性弱視は、小1でも感受性がまだ残っているので、何とかなるのかな。

 ③④の弱視は、外見ではわからないので、3歳児健診で見つけることが重要。視力測定が可能になるのも、その頃からなので・・。視力検査は、36ヶ月95%可能で、視力も0.8ぐらいまで上昇してくるので、その頃行うのが望ましいようです。

 3歳児健診とは(市町村によって異なるようですが・・)

1) 家庭での1次検査:家で視力検査してもらい、様々なアンケートに答えてもらう。

2) 保健所での二次検査:1次検査の視力(0.5以下)やアンケートに問題があれば、保健所で眼科医が診ていました。私の場合は、手持ちスリットで前眼部を診て、慣れないスキアを振って、不同視がないかチェックしていました。眼底検査までは殆ど出来ませんでしたが・・

3) 保健所での二次検査で異常があれば、3歳児精密検査を眼科で行うことになります。

 この3歳児健診に屈折検査を持ち込もうとする試みは、以前からあったようですが、スポットビジョンスクリーナーの登場によって、状況は激変したようです。今年から大阪でも保健所での2次検査にスポットビジョンスクリーナーが導入されて、私のような眼科医はお払い箱となりました。

 優れものの器械で、ちょっと暗めの部屋で、1mほどの距離で、器械を見てもらえると、3秒以内に、検査終了となります。この短時間で、瞳孔径、PD、斜視角度、屈折異常度数(等価球面度数・球面・円柱・乱視度数)が表示され、異常があれば異常と警告表示されます。

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誰でも短時間に検査できて、弱視の検出能力に優れ、調節の影響も受けにくい優秀な器械です。そのため、従来使われていたレチノマックスよりも遠視よりに測定され、スキアの値に近いようです。ポイントは、若干暗めの部屋で検査を行うことで、明るい部屋だと乱視が過大評価されることもあるようです。手持ちなので、ある程度は仕方ないでしょうが、患者さんの顔の傾きや器械の傾きで、検査結果は変動します。

 スポットビジョンスクリーナーには、基準値が搭載されていて、それに基づいて異常判定が行われますが、少し基準が厳しすぎるのか、偽陽性が多く、日本斜視弱視学会・日本小児眼科学会推奨の基準値も提唱されています。器械の設定値は変更可能です。

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 また、条件が整っているのに、この器械で測定できない患者さんの83%に重篤な視覚障害をきたす眼疾患があるという報告もあり、測定困難な場合は、それだけで要精密検査のようです。


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by takeuchi-ganka | 2022-08-21 11:55 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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