第450回 大阪眼科集談会 その2(1215)
2022年 10月 09日
4 眼トキソプラズマ症にVZV虹彩炎が合併した一例
〇岩本悠里、丸山和一、鈴江正樹、白木暢彦、浅尾和伸、橋田徳康、西田幸二(大阪大)
68歳男性。両眼ぶどう膜炎、豚脂様KP、後極部に滲出斑、周辺部に血管炎、左眼CME・・両眼トキソプラズマ網膜症疑い、クリンダマイシン投与。ただ、前房水採取して、PCRすると、VZVだけが検出された。眼部帯状疱疹(-)だったが、バラシクロビル、ゾビラックス眼軟膏も開始して、軽快。
※何とも不思議な発表。ぶどう膜炎だが、前眼部はVZVで後眼部がトキソプラズマ?
眼底所見(白色滲出斑)と、血清抗トキソプラズマIgM抗体価上昇から眼トキソプラズマと診断したものの、前眼部炎症が治まらないので、PCRするとVZVが検出(トキソプラズマは検出されず)。ちょっと経過が普通じゃないと感じた時に、前房水を採取してPCRするハードルが低ければ、このような診断も可能なのか・・。
5 感染性クリスタリン角膜症の2例
〇中山弘基、釼祐一郎、佐々木香る、千原智之、城 信雄、髙橋寛ニ(関西医大)
70歳男性、POAGで、レクトミーして、濾過胞再建術2回し、リンデロン×4点眼中、角膜に星芒状混濁出現・・。リンデロン漸減して、ベストロン・ガチフロ点眼したが、角膜浸潤・潰瘍、前房蓄膿も。点眼毎時にして、軽快へ。Abiotrophia defectivaが検出。
70歳男性。POAGで右眼にレクトミーや濾過胞再建を計5-6回行い、緑内障点眼+リンデロン×4していて、角膜に星芒状混濁出現。
※今回は、2例とも複数回手術されていて、リンデロン点眼継続中に、角膜に生じた星芒状混濁。
眼科グラフィック vol2 no 4 2013の眼科診断トレーニング『カンジダによるクリスタリン角膜症』によると、『ステロイドなどの免疫抑制剤が投与されている状況では、微生物は活動を停止して、あたかも沈着物のような所見を呈する』・・とある。特に弱毒菌(低い毒性・遅い増殖・特殊な栄養が必要)だとなりやすい。リンデロンを中止するとマスクされていた炎症が見られるようになるが、抗菌剤を頻回点眼して治療。
6 フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術の一例
○元村恵理、森本壮、吉永 優、相馬剛至、西田幸二(大阪大)
7 Aspergillus fumigatus角膜炎から分離された真菌株の相同性検証
〇堂本綾1)、江口 洋1)、堀田芙美香1)、新居鉄平2)、矢口貴志2)、下村嘉一3)、日下俊次1)(近畿大1)、千葉大真菌医学研究センター2)、府中病院3))
47歳男性。角膜混濁、近医受診して、角膜炎。数種類の抗菌剤で改善せず、フルメトロン点眼して悪化したので、紹介受診。所謂2ウィークSCL装用していた。角膜浮腫、上皮欠損。擦過物から真菌検出。MIC/MECを調べて、一番有効な薬物を確認。抗真菌薬やクロルヘキシジンなどで治療し、穿孔したのち鎮静化したものの角膜混濁強く、全層角膜移植。コンタクトレンズケースも培養して検出された真菌の系統解析は、病巣から検出された真菌と同じものだった。真菌が疑われる時、ステロイド点眼は禁忌。