2023年 02月 28日
第452回 大阪眼科集談会 その5 (1233)

8 ジゴキシン網膜症の1例
〇永江由季1)、國吉一樹1)、加藤順司2)、石橋眞里佳1)、七部 史1)、岡本直之3)、日下俊次1)(近畿大1)、加藤内科循環器科クリニック2)、堺市3))
89歳女性。新聞の字が見えない。暗いと見にくく、明るいと眩しい・・・。両眼OCTで黄斑部に僅かなSRD?内科で、たまたまジゴキシン減量されて、その後視力回復。OCT所見も改善。一時的高K+血症に類似したOCT、ERG所見のようです。細胞外カリウム上昇が原因?
https://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2190103
⇒『光受容体の内部にはNa/K ATPaseが含まれており、これは光受容体に沿って暗電流を維持するのに重要な役割を果たしていることが知られています。さらに、Na/K ATPase阻害剤であるジゴキシンが両生類から単離された光受容体の光応答の濃度依存的な減少を誘導したことが報告されています。したがって、ジゴキシン治療患者の可逆的視覚障害は、光受容体の内部セグメントにおけるNa / KATPaseの阻害に関連していると推測されています。』
※OCTがあるので、89歳の女性の愁訴に根拠があると判断できるが、OCTなかったら・・・^^;
9 両眼の真菌性眼内炎の重症化により増殖硝子体網膜症を生じた一例
〇友田彩子、盛 秀嗣、山田晴彦、髙橋寛二(関西医大)
通常、ゆっくり進行すると思われる内因性真菌性眼内炎が、両眼とも何故ここまで進行してしまったのか・・そこが問題。両眼視力低下あり受診時は、両眼SLのみ。虹彩後癒着のある虹彩炎と網膜全剥離。全身的な問題?眼科受診時まで眼内移行悪い抗真菌薬(カスポファンギン)が使われていたから?
内因性の真菌性眼内炎は、脈絡膜・網膜下・網膜・硝子体と病巣拡大するので、増殖膜を除去が大変なようで、強くひっぱると脈絡膜出血に。
10硝子体黄斑牽引症候群に起因する限局性網膜剥離を伴う黄斑円孔の手術成績
〇大島佑介、庄田裕美(高槻市)、池本淳子(八尾市)、溝口晋、小島美帆(高槻市)、小嶋健太郎(京都府立医大)
硝子体の牽引が関係しているMHRDで、時間が経過している場合、手術成績がよくない。網膜下液が粘稠なのが問題。内境界膜翻転・埋没・網膜移植などがあるが、円孔周囲網膜下に人工眼内液(生食のようなもの)を入れると成績良好・・・らしい。粘稠な網膜下液がサラサラになって、網膜も伸びやすくなって(?)治りやすい?
※そういえば、以前西村先生の講演で、治りにくい糖尿病網膜症の黄斑症に、網膜下にBSS入れて治す話があったけど、ようするに高価な薬剤でなく、『水』が有用な時代?
※BSS網膜下注入
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26220819/
『び漫性糖尿病性黄斑浮腫(DME)に対する通常の硝子体切除術と組み合わせた新しい外科的手技の治療効果について検討した。DME患者18名の20眼を対象とした。対象の眼の最良矯正視力(BCVA)は、最少視角対数値(logMAR)が0.301から1.221で、中心網膜厚(CRT)は275μm超であった。硝子体切除術後、網膜下腔に38G針を用いて50~100μlの平衡塩類溶液を注入して黄斑の網膜をわずかに剥離させた後、液空気置換を行った。その結果、術前に554.6±152.7μmであった平均CRTは手術の1週間後には295.6±92.5μm、6ヵ月後には185.8±67.4μmまで減少し、18眼のCRTは250μm未満となった。術前に0.706±0.348であった平均BCVAは、手術から6ヵ月後に0.431±0.392まで改善され、13眼では0.3logMAR超の改善が認められたが、6眼が不変、1眼で悪化が観察された。手術から2ヵ月後に、1眼において黄斑浮腫の再発が認められた。以上より、本中心窩剥離技術はび漫性糖尿病性黄斑浮腫の迅速な改善を促進し、視力の改善に有効であることが示された。』
改善に半年以上かかっていた事を思えば、画期的。
片眼だけPG剤使うと、DUESは余計目立ちそうですね。エイベリスだと若干マシになるかもしれません。眼圧は使ってみないとわからないかな・・