第454回 大阪眼科集談会 その2(1250)
2023年 06月 24日

6 網膜動脈閉塞症に伴い視力不良であったParacentral acute middle maculopathyの一例
〇小山魁太、水野博史、大里崇之、石郷岡岳、児玉昂己、大須賀 翔、喜田照代(大阪医薬大)
網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞、糖尿病網膜症など網膜の循環障害疾患において見られることが多い?OCTでは内顆粒層レベルに高反射所見あり。虚血が原因らしい。病名というより、所見?
※網膜深層血管層の虚血で、OCTで内顆粒層のレベルで網膜の中間層を含む過反射性の帯状病変。
l https://djo.harvard.edu/index.php/djo/article/view/144
7 黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離の術前OCTと視力予後の相関
〇髙橋桃子、盛 秀嗣、山田晴彦、髙橋寛二(関西医大)
流石、寛ちゃんの娘さん。テーマがいいねえ・・・
黄斑剥離しているRRDで中心窩から剥離先進部までの距離によって3群に分けた。距離の短いほど、術前だけじゃなく、術後視力も良好で、中心窩の剥離の高さも低い。
※視細胞が変性しないうちに、解剖学的正しい位置に復位すれば、視力予後良好ということ・・
※ fovealsplitting RRDとは、単に黄斑が剥がれているRRD?黄斑の一部が剥がれているけど、一部はまだ剥がれていないRRDの事かな?だとすれば、すぐに手術できた場合の視力予後が、黄斑未剥離RRDに近いのは理解できるけど・・
- https://karger.com/oph/article/244/2/127/256009/Preoperative-Optical-Coherence-Tomography-Findings
- https://karger.com/view-large/figure/12738295/000510726_F01.JPG
8 近視性脈絡膜新生血管に対するラニビズマブバイオシミラー硝子体内注射の早期経過
〇冨田真未、山本 学、平山公美子、居 明香、三澤宣彦、河野剛也、本田茂(大阪公大)
近視性脈絡膜新生血管は治療しないと5年で89%、10年で96%が0.1未満に視力低下。
ラニビズマブのバイオシミラーによる治療。先発品はルセンティス。バイオシミラーは殆同じ品質・有効性・安全性だが、複雑な構造のバイオ医薬品は、ジェネリック医薬品とは異なり、全く同じものではないので、シミラーと呼ぶらしい。ただ短期の成績は、ルセンティスと同じレベル。薬価は70%。
9 サルコイドーシスぶどう膜炎により網膜虚血状態が誘発された1例
〇丸山和一、浅尾和伸、橋田徳康、西田幸二(大阪大)
80歳女性。患者さんの拒否により、ステロイド投与が後手に回ったからか、ぶどう膜炎が遷延して、通常網膜血管炎で血管閉塞は生じないが、無血管野が拡大し、左眼隅角NV、やがてNVG。PRPして眼圧下降。
10 サイトメガロウイルス感染に伴う慢性網膜壊死の一例
〇岡本真由、小川翔吾、安井絢子、井上浩二(永山病院)、本田茂(大阪公大)
急性網膜壊死ではなく慢性網膜壊死。81歳女性で、慢性関節リウマチ患者さん。右眼の鼻側網膜が白濁・出血・動脈白線化。バルガンシクロビル内服で改善・・
※バリキサ投与は?眼科で投与
以前関西医大からの報告臨床眼科 69巻8号⇒
『慢性網膜壊死の病像を示したサイトメガロウイルス網膜炎の2症例
要約 目的:2013年Schneiderらが提唱した慢性網膜壊死の病像に一致する2例を経験したので報告する。症例1:77歳男性,右眼霧視で初診。初診時,矯正視力は右0.5,左0.9,右眼は高眼圧,虹彩炎,網膜周辺部に白色顆粒状病変,全周に網膜動静脈の閉塞を認めた。前房水PCRでcytomegalovirus(以下,CMV)が検出され,抗CMV薬内服で改善した。症例2:70歳男性,両眼の視野欠損で初診。既往にCMV抗原血症があり,抗CMV薬内服をしていた。初診時矯正視力は両眼0.7。両眼に網膜動脈の白線化,周辺部に顆粒状病変がみられ,進行は緩徐であった。結論:CMV網膜炎では免疫状態にかかわらず網膜周辺部に顆粒状病変,汎網膜閉塞性血管炎が慢性的に進行する病態があり注意を要する。』

