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甲状腺眼症の日常診療 疫学から治療まで(第6回ABS)  (1270)

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そろそろ見に行こうかな・・(星のブランコ)


甲状腺眼症の日常診療 疫学から治療まで  田上瑞記

Puzzlingsyndrome。眼球突出・眼瞼後退・斜視・兎眼・・・・など様々な症状あり。甲状腺機能異常・眼窩内部炎症

  • 眼窩脂肪織・外眼筋腫脹:眼球突出・眼球運動障害
  • 上眼瞼挙筋:眼瞼浮腫、瘢痕化したら開瞼困難
  • ミューラー筋:眼瞼後退

甲状腺眼症診療の手引き

http://www.j-endo.jp/uploads/files/edu/koujyousengansyo_digest.pdf

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この疾患の病態は、甲状腺ホルモンの過剰によって発症するのではなくて、甲状腺関連の自己抗体による全身性の自己免疫疾患。この自己抗体が、眼窩内の軟部組織に多数存在するインスリン様成長因子受容体(IGF-1R)に作用して、炎症を引き起こしている。最近(?)できたテプロツヌマブ(teprotumumab)という薬剤は、この受容体に甲状腺関連自己抗体が結合するのを阻害する薬剤らしい。今まで、ステロイドしか治療薬がなかったが、病態生理的には画期的な薬剤。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000096159.html 

『甲状腺眼症Thyroid Eye Disease:TED)について:甲状腺眼症は、深刻で、進行性かつ潜在的に視力低下の恐れがある希少な自己免疫疾患です¹。 その多くはバセドウ病に伴ってみられますが、後眼窩の細胞でインスリン様成長因子-1受容体(IGF-1Rを介したシグナル複合体を活性化する自己抗体によって引き起こされる個別の疾患です³,⁴ これらが一連の症状につながり、失明など長期にわたる不可逆な損傷を引き起こす可能性があります⁵,⁶。 甲状腺眼症の初期症状には、ドライアイ、異物感、充血、腫れ、過度の涙、眼瞼後退、眼球突出、目の奥の圧迫感や眼痛、複視などがあります。』

  • 発症のピークは40歳代半ば。40歳代と60歳代にピークあり。
  • 40歳代:眼球突出と眼瞼浮腫
  • 60歳代:外眼筋腫大、複視・眼位異常
  • 女性が男性の4倍多いが、圧迫性視神経症は60歳代男性に多い。
  • 左右差あるものの、両眼性の疾患。

甲状腺関連自己抗体の関与

  1. 抗サイログロブリン抗体(TgAb):甲状腺濾胞細胞内に貯蔵されている糖蛋白(サイログロブリン)に対する自己抗体。
  2. TPO抗体(TPOAb):甲状腺組織から抽出されたマイクロゾーム分画に対する自己抗体であり、後にペルオキシダーゼであることが判明しました。
  3. TSH受容体抗体(TRAbTBII):TSHレセプター抗体は、TSH受容体に対する自己抗体で、バセドウ病では90%以上が陽性となります。この抗体の結合により、TSH受容体が刺激され甲状腺ホルモンが増加します。

 TSHレセプター抗体(TRAbは甲状腺細胞膜上にあるTSHレセプターに対する自己抗体で、

  • 甲状腺を刺激する抗体(甲状腺刺激性レセプター抗体、TSAb
  • TSH作用を阻害する抗体(TSH作用阻害抗体、TSBAb):これが多いと甲状腺機能低下症に・・

※甲状腺機能亢進症はバセドウ病だけでなく、亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎などがあり、特に無痛性甲状腺炎とバセドウ病は臨床症状や甲状腺ホルモン検査だけでは鑑別しにくく、バセドウ病治療で使用される抗甲状腺薬は重大な副作用が報告されていることから、日本甲状腺学会では「甲状腺疾患診断ガイドライン2010」でバセドウ病の診断鑑別にTSHFT4FT3TRAb検査を行うとしています。

予備知識

  • 甲状腺ホルモンにはT3T42種類あり。
  • 甲状腺から分泌されるホルモンのほとんどはT4T3の多くは肝臓などの臓器でT4を材料に作られます。
  • 最終的にホルモンとして働いているのはT3

  • T4:甲状腺のホルモン合成能力
  • T3:甲状腺ホルモンの全身への作用の程度

眼球突出度:日本人は、15mm

Hertel眼球突出計 正常値 11-17mm(平均13mm)、左右差2mm以上が病的

診断

  • 血液検査:甲状腺自己抗体、特にTRAb(TSH受容体抗体)が重要で、甲状腺ホルモンは高いことも低いことも、正常なことも・・
  • 画像診断:眼窩、T2強調画像の脂肪抑制画像(STIR)が重要

失明のリスク(緊急治療介入必要)

  • 甲状腺性視神経症 dysthyroidoptic neuropathy
  • 角膜潰瘍・穿孔

https://www.reviewofoptometry.com/article/racing-the-rundle-against-thyroid-eye-disease

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TEDの眼症状は、活動的な炎症期から始まり、最大重症度に達するまで悪化した後、静止したプラトーで横ばいになる。この疾患経過は一般にルンドル曲線として知られる曲線を描くが、これは疾患全体の重症度を低下させるためには、活動期に早期に治療を開始することが重要であることを示している。

残念なことに、骨性の眼窩に限局して起こる組織の膨張や、炎症期に眼窩や眼瞼に起こる線維性変化のために、炎症が治まった後も眼窩や眼瞼の変化が持続することが多い。早期に治療を開始することで、このような過程から生じる長期的な損傷の可能性を減らすことができる。

活動期は通常、非喫煙者では平均1年、喫煙者では23年続く自己限定的な経過である。医師はTEDを自己限定的な疾患とみなしているが、この段階が終了した時点で回復したと考えている患者はわずか2%である。2 医師と患者の間のこの断絶は、より明確な結果をもたらすより良い治療法の必要性を示している。』

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これは最新の治療指針(案)から抜粋。複雑なフローチャートは専門家に任せるとして、

治療は、まず①ステロイド:炎症が局所なら局所へのステロイド(STTASCTA?)。炎症が広がりを見せているなら、全身投与(ステロイドパルス)。②放射線治療併用

※新薬(teprotumumab)の登場によって変わるかも・・・。副作用軽微なら、早めに治療介入可能かも。

標準的治療

  • ステロイドパルス2クール + 放射線2Gy10
  • 斜視が強ければ斜視手術
  • 眼球突出・視神経圧迫強ければ、減圧手術

※軽症の甲状腺眼症、軽度眼瞼腫脹型への対応

⇒結膜円蓋部にトリアムシノロン注射


by takeuchi-ganka | 2023-11-05 09:54 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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