網膜剥離治療2
2006年 10月 01日
バックリング手術を20年前の宇山先生のように行える術者は、今や絶滅危惧種なみの貴重さ?なのかもしれません。ということで、何でもかんでも硝子体手術になりそうですが、一応基準を紹介します。
硝子体手術
眼球に小さな孔を3つあけて、そこから、小さな照明とカッター(または、鑷子、フック・・・)などを眼内に挿入して行なう手術です。つまり、眼球の中からアプローチする方法。これは、手術器械・器具の目覚しい進歩とともに、徐々に洗練された手術となり、術後のQOLを考慮できるほど(治すのが精一杯のレベルからステップアップ)、治療成績が向上してきており、この疾患の基本術式になりつつあります。なお、この術式は、基本的には、水晶体をとってしまいます。つまり、白内障手術を併用します。

1)最初から、硝子体手術を選択すべき病態
1、増殖硝子体網膜症(PVR):こじれた網膜剥離
2、牽引性網膜剥離:眼内増殖組織が原因で発生した網膜剥離
3、原因裂孔が眼球の後極部にある場合。l
4、巨大裂孔網膜剥離
・・・
2)硝子体手術かバックリング手術か迷うケース
1、鋸状縁断裂網膜剥離
2、多発裂孔の網膜剥離
・・・・
などがありますが、これらは、従来行われていた完成された術式(バックリング手術)が不可能な領域と、苦手とする領域です。但し、不可能な領域、例えば、進行したPVRは、硝子体手術するしかありませんが、苦手な領域(違う言い方をすると、硝子体手術の方が結果がいいと予想される場合)は、硝子体手術の技量の向上とバックリング手術の技量の後退によって、今後益々硝子体手術の適応は拡大していくかもしれません・・・
硝子体手術の進歩に貢献したもの
1、硝子体切除装置
2、手術用顕微鏡
3、眼内レーザー
4、眼内タンポナーデ物質の開発
(シリコーンオイル、SF6ガス、パーフルオロカーボンなど)
5、眼内マイクロサージャリー器具
(剪刀・鉗子・スパーテル・カニューレ・フック・・)
更に、最近では、
①ケナコルトという懸濁液を利用した硝子体切除
(より容易に・確実に硝子体を切除)
②インドシアニングリーンという染色液を利用した網膜の内境界膜の剥離
(より容易に・確実に内境界膜を切除)
③25ゲージシステムの硝子体手術
(術後がキレイ、日帰り可能だが・・・)
チョット目を離すと、びっくりするほど進歩して、適応も大きく展開している分野なので、今後も要注目です。
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