第60回日本臨床眼科学会6

10月7日

次に、メインルームの
シンポジウム14:緑内障諸検査はどこまで必要か

オーガナイザーは、白土先生と山本先生で、特に白土先生の意図は、最近様々な検査機器が開発されているが、いったいどこまで必要なのか?というところを提示して欲しかったのでしょうが、各演者は、あれもできる、これもできるって感じで、かなりオーガナイザーとは意図と異なる発表でした。

1、眼圧(大阪厚生年金の狩野先生)
2、隅角(琉球の酒井先生)
3、視神経乳頭・網膜神経線維(新潟の白柏先生)
4、視野(近大の奥山先生)

1、先ず眼圧です。
POAGの診断には無力でも、他の緑内障には必要だし、治療には最も重要な要素なので、やはり、重要な検査に違いありません。そこで、真の眼圧は実際には測れないので、これに一番近い眼圧を表示しているのは、どの器械か?

1)GAT:通常のアプラネーション
2)NCT:通常のノンコン
3)ORA:Reichert Ocular Response Analyzer(ORA)
4)DCT:Pascal Dynamic Contour Tonometer(DCT)
 この4つの比較でした。
角膜剛性に影響されない、真の眼圧に近いのはどれか。
結局、DCT・GAT・ORA・・・NCTの順でした。
DCTは、かなりいい成績なのですが、非接触なので、医師が直接計らないといけない。GATの代わりにはなるかもしれないが・・・。マニアックに眼圧にこだわる人向き? 
ORAは、眼圧計測と同時に角膜の物理特性 『Corneal Hysteresis(CH)』 を測定して、それで、補正した値を表示します。角膜の厚みで、画一的に補正するよりもレベルが上?これは、現在考えられる最高のノンコンのようです。

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通常のNCTというのは、かなり角膜剛性に影響を受けるので、GATと違うと感じた場合、その眼の角膜剛性が通常とかなり異なることを意味しているのだと思います。
つまり、検査員をじっくり仕込んで、ORAを導入すれば、アプラから解放されるかもしれません。早く開放されたい・・・。それまでは、GATで頑張りましょう。

2、次に隅角です。
  隅角鏡の代用品候補(いずれも、10万前後の隅角鏡の代用なのに、値段は100倍前後です・・)
  ①ペンタカム、SPAC
ペンタカムは、肝心の前房の最周辺部である隅角の形態が見れないので、代用できない。SPACは、周辺部の前房深度を測定できますが、隅角形態は見れない。
  ②UBM:素晴らしい機械ですが、断面しか見れない。異常隅角所見はわからないので、代用不可。
  ③3D-UBM、OCT:3Dは、おもちゃのようだし、OCTも、断面だけで、しかも虹彩面上より前だけ。全く中途半端?
このように、眼球の形態を測定して数値化することは、得意なようですが、それでも10万の隅角鏡の代用は、100倍値段かけても無理なようです。皆さん、隅角鏡の腕を磨きましょう。私は、通常のミニオゴオ(2面)、ローデンストックの拡大隅角鏡(主力)、サッスマン圧迫隅角、この3つを使い分けております。

3、次が一番流行の分野。乳頭とその周囲の網膜神経線維層の検査です。
  ①HRTは、乳頭の形態の3次元的計測。データベースとの照合し、緑内障の判定をしてくれます。
  ②GDXは、乳頭周囲の神経線維厚みの計測をしてくれます。
  ③OCTは、乳頭周囲に限らず、網膜の断面を表示してれますので、当然緑内障診断に応用可能です。
 これは、前置レンズかコンタクトレンズを用いて、スリットで眼底検査を行う検査の代わりでしょうか?これも10万前後のレンズの代用品は、100倍ぐらいします。。
 眼底の様々な変化を再現性をもって数値化してくれる機械はありがたいですが、HRTにしても、乳頭の評価は、後極部コンタクトに負けます。GDXも同様。OCTなら勝てるかも・・・ただ、中高年に多いNTGは、白内障があったり、散瞳不良だったり、固視が悪かったり・・・それでも勝てるかどうかは微妙かもしれません。

4、最後が視野です。
  もう完全に市民権を得た、自動静的量的視野計ですが、早期発見の為の機種やプログラムがあります。昔から、視野検査にあくなき探求を続ける近大ならではの発表です。
完全に世界標準となったハンフリー視野計には、SWAPというプログラムがあります。通常の視野計より少し早く視野異常を検出できるのだそうですが、発売以来、一部の施設を除いて、全く普及していないのは何故?きっと、患者さんにとって、とってもしんどいわりに、結果にバラつきが多いからだと理解していますが・・。
 フリッカー視野は、オクトパスのプログラムでしょうか。詳細は知りません。
 FDTは、早期緑内障スクリーニング目的で、開発された機械で、それなりの効果があるようです。緑内障を疑った患者さんではなく、検診のように全員に受けてもらって、異常が検出されたら、次のステップへということでしょうが、これで、静的量的視野を算定すると、医療費高騰を助長するでしょうね。ただ、持ってないから言うのではないですが、当院では、緑内障は、先ず視神経をみて疑う。これが基本です。疑いが発生したら、視野検査と詳細な眼底検査が必要ですが、この時の視野は、もう通常のハンフリーの閾値検査なので、FDTの出番なしです。


ディスカッションの最後に、白土先生は、多くの眼科医は、通常の道具・機械さえ、使いこなせていない。新型兵器導入するのもいいでしょうが、正確なアプラネーション眼圧測定を行い、隅角鏡に熟達し、詳細に眼底検査を行い、視野の分析をしっかりやることが先決だと・・・述べられました。大賛成です。患者さんも、高級大型機器につられて、病院を選ばないようにしましょうね。
by takeuchi-ganka | 2006-10-13 14:23 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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