2024年 09月 19日
眼感染症実践シリーズ ~症例に学ぶ~ その2(1317)

1回目の江口先生の講演は、欧米と異なり、日本の抗菌剤の使用状況がキノロン一辺倒になっていることへの警鐘だった。もう何年も前、枚方のY先生の抗菌剤処方が極力キノロンを排除しているのを見て、なるべくキノロンを使わない方針にしていたが、前回の講演はその方針を更に強化させるに十分な内容だった。
2回目の講演は、福島県立医大の前原先生の話は、マクロライド系抗生物質点眼(アジマイシン)の使い方
マクロライド系抗生物質は、副作用が少なく、幅広い抗菌スペクトル。静菌作用、半減期長い(投与回数少なくていい)。長らく使われていたエリスロマイシンが発売中止となり、現在は、5年前発売されたアジスロマイシンが、唯一のマクロライド系点眼。Pアクネスにも有効で、抗炎症作用も期待できる?
※ただ、ネバーっとしていて、染みる・曇る・・指し心地最低の点眼だが、点眼期間は1-2週間と短く、事前に指し心地の悪さをしっかり伝えておけばなんとかなりそう。
- 症例1:放線菌が原因の涙小管炎に延々とキノロンが使われたケース。涙小管炎を見逃して、難治性結膜炎にされてしまうというあるある・・
- 症例2:7歳男。マイボーム腺関連角結膜炎(MRKC)のフリクテン型。フルメトロンとエピナスチンを中止して、アジマイシンを2週間。その後は何もしなくても、どんどん改善していった。
- ※MRKCは元々マイボーム腺炎から始まっているので、後部眼瞼炎(後部眼瞼縁炎)。
- ※表層性血管侵入、結節性細胞侵入、眼瞼縁充血が診断ポイント。
- 症例3:17歳男。MRKCフリクテン型。両眼真菌性角膜炎と診断され点眼てんこ盛り(ステロイド・キノロン・ベストロン、抗真菌薬、ゾビラックスも・・・・、ちょっとひどすぎる)。全て中止して、アジマイシンのみに。アジマイシンがいいのか、てんこ盛り点眼を中止したのがいいのか不明だけど、どんどん改善。
- 症例4:16歳男。MRKCフリクテン型。アジマイシン2週間、その後ガチフロとフルメトロン。徐々に改善。
- ※薬物の移行性が良好なので、点眼回数少なくてもいい。
- 症例5:61歳男。ドライアイとして加療されていたMRKC非フリクテン型。後部だけじゃなく、前部の眼瞼縁炎もあるように見える。アジマイシン2週間。その後改善。
印象に残ったのは、症例2のMRKCフリクテン型。2週間アジマイシン点眼するだけで、その後何もしなくても、どんどん良くなっている。チャンピオンデータなのかもしれないが、驚き・・
話はそれて、感染性角膜炎の場合どうするか?擦過して鏡検、培養、所見・鏡検結果から類推して治療開始し、培養結果によって修正なのだろうが、開業医としては、一刻も早く専門医に送りたいし、中途半端に治療するより、手つかずの状態を専門医に見せたほうがいいような、ただ、結局一気に悪化すると困るので悩ましいが、困ったらレボフロキサシン×6+ベストロン×6の頻回点眼
