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第35回日本緑内障学会 シンポジウムから  緑内障治療:本邦・海外で開発中の薬物について(1324)

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14年前の永観堂 長い間行ってないなあ・・


シンポジウム4

これからの緑内障薬物治療の行方

SY4-1 緑内障治療:本邦・海外で開発中の薬物について

坂田礼(東京大)

※緑内障に限らず、薬物治療においては、『安全かつ有効』であることが最優先されるのでしょうが、薬物を提供する企業に利益がないと、そもそも発売されないと思う。万が一、緑内障を一発で治す魔法のような薬物が発明されたら、世の中の、それ以外のすべての緑内障点眼は無用となり、手術さえ不要になる。その他の企業はその魔法の薬物により、壊滅的影響をうけるに違いない。最近、定期的に薬物を投与し続けるシステムの治療が増え続けている現状を見ているとなんとなく、企業は根本的な治療を避けているような気さえしてくる・・

薬物治療で大切なことは、①効果(眼圧が良く下がる)、②安全性(副作用がない)、③利便性(継続しやすい)の3つ。ただ理想的な治療の実現は簡単ではない。現在の緑内障点眼の問題点は・・

  • 局所・全身的副作用の問題
  • 何種類もの点眼が必要
  • 点眼という行為そのものが難しい
  • 点眼を忘れる

③④の問題は、そもそも点眼できていない可能性を含んでいる。将来これらは克服されて、理想に近い緑内障治療が現れるのでしょうか。

1)ドラッグデリバリーシステム

  • 前房内留置(ラタノ・ビマト・トラボ)。3ヶ月、長いもので12ヶ月有効
  • 隅角留置型iDose(トラボ)は、iStentのようなものを隅角に置いておいて、薬物が無くなった頃に、交換。薬物治療というものの、侵襲はiStentと同レベル。これを半年に1回するのかなあ・・
  • シリコンリング(ビマト):昔オキュサート(ピロカルピン)という眼表面に留置するDDSの先駆けのようなものがあったが(不快感強くて立ち消え)、見た目それ近いリングだが、快適らしい・・。快適かつ眼圧下降が十分なら期待できるかも。
  • 涙点プラグ(の中に薬剤:トラボ・ラタノ)。涙嚢炎のリスク(+)。それに何回もやり替えていると、抜け落ちやすくなりそう・・
  • リポソームの結膜下注射(ラタノ)
  • コンタクトレンズ(ビマト)

※個人的には、アラガンのBimatoprost Ocular ringが期待できそうな気がする。

2)新しい薬剤

①ラタノプロスト+ネタルスジル配合点眼液:ネタルスジルは新しいROCK阻害剤で、線維柱帯流出増加が期待されていて、ラタノプロストはぶどうまく強膜流出増加作用があり、相加効果が期待される。もうすぐ発売なのかな・・

※ネタルスジルは、チモロールに非劣性で、リパスジルより眼圧よく下がるらしい・・

https://www.santen.com/content/dam/santen/global/pdf/ja/news/20211207.pdf 

3成分配合剤

・ドルゾラミド+ブリモニジン+チモロール

・ビマトプロスト+ブリモニジン+チモロール

③セペタプロスト:FP/EP3 dual agonist

配合剤ではなく、2つの受容体に作用する薬剤。⊿IOPはラタノ単独と同程度だが、持続時間が長いらしい。もうすぐ発売なのかな・・

https://www.santen.com/ja/news/2024/2024_1/20240926 

NO付着点眼

ラタノ+NO、ビマト+NOROCK阻害剤+NOなど

NOは、線維柱帯流出促進効果あり。ラタノ+NOは、ラタノ単独より眼圧下降効果大きい。

https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=76087 

⑤神経保護薬

  • 毛様体神経栄養因子(CNTF)⇒インプラント
  • 組換えヒト神経成長因子(rhNGF)⇒点眼
  • ニコチンアミド⇒経口摂取
  • C1qモノクローナル抗体⇒硝子体注射


Commented by タコ at 2024-11-13 20:01
64歳です。今の主治医が坂○先生です。T大病院3ヶ月に1回通院しています。今から32年前にトラベルレクトミーを重鎮のS土先生に執刀してもらい、MD値は−2、−3 VFIは94〜95を維持しています。目薬はトラバタンズ・エイゾプトを点眼してます。2012年に濾過袋感染症に罹患し、大変でしたが、視力低下もなく運が良かったと感謝しています。
現在眼圧は15〜16ですが、自分としては12mmhgに落としたい気持ちです。手術する前が23mmhgでした。やはり高いより、低くしたほうがいいので、主治医と要相談ですかね。
Commented by takeuchi-ganka at 2024-11-17 09:18
> タコさん
申し訳ないですが、主治医の判断に任せるとしか言えません^^;
Commented by タコ at 2025-01-05 17:24
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。緑内障、厄介な病気ですね。30年くらい前は目薬の種類も少なく、視野欠損があれば即手術の傾向だった気がします。
5FUが北澤先生が利用したMMCに変わり、今も眼圧は大事ですが、眼圧至上主義から、神経保護、血流、血圧が見直されてきた気がします。
眼圧が低くても、高くても視野欠損が進まない緑内障の方もいらっしゃるし、他の病気などせず、健やかに精神的にもストレスのない生活が眼には良いのは分かりますが、難しい眼病ですね。
Commented by takeuchi-ganka at 2025-01-05 21:45
あけましておめでとうございます。
緑内障診療が進化していると言っても、まだまだゴールは遥か先にありそうですね。
無力な市井のちっぽけな老眼科医としては、残り少ない眼科医人生、眼の前の患者さんに全力を注ぐだけです。
Commented by タコ at 2025-01-20 18:09
お疲れ様です。
私もきちんと目薬を点して、濾過袋感染症に気をつけて
情報をアップデートしながら、視野が欠損に注意して
行きたいと思います。
竹内先生も頑張ってください。応援してます。
いつもありがとうございます。
by takeuchi-ganka | 2024-11-12 11:47 | Comments(5)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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