糖尿病網膜症の薬物治療 その2

 新年早々の冷たい雨が患者さんの受診行動に抑制をかけた為?、暇な院長は、診療時間中に、続きを書きました。

4、PKC阻害薬
高血糖 ⇒ DAG合成低下(?) ⇒ PKC活性上昇 ⇒ Na+/K+ATPase活性の低下 ⇒ フォスフォリパーゼA2活性亢進 ⇒ NO産生低下 ⇒ ・・・・・・・・・ ⇒ 増殖糖尿病網膜症
かなり複雑なので、理解しにくいですが、風が吹けば桶や儲かる以上に高血糖では、PKC活性上昇に関連した、糖尿病網膜症の悪化が起こっているらしく、ここを止めることで、この流れを遮断できる可能性があり、アメリカではLY333531(ruboxistaurin)という薬が治験中です。糖尿病網膜症というよりも、糖尿病に関わる細小血管障害に効果が期待できるようで、糖尿病末梢神経障害、ついで糖尿病網膜症や黄斑症についても可能性はあるらしい・・。ちょっと期待してもいいかも?
ただ、現状を調べてみると、アメリカのEli Lilly社は、糖尿病性網膜症の治療薬として承認申請したruboxistaurin (商品名Arxxant)に対してアメリカFDAから承認見込みが通知されたと発表したのですが、実は、追加データも求められていて、夢の新薬?は、詰めの段階で、足踏みしているようです。(株を握っている人もうろうろしていたりして・・) 松坂くんの言葉じゃないですが、夢の新薬ということは、現実にならないという気がしますが、もし、本当に効果が認められ、承認されたら、この分野の薬物治療は、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤やカリジノゲナーゼ製剤から一気にステップアップ!?かな。
こういった夢の新薬は、巨大メーカーが巨額を投資して研究開発し、投資額を上回る利益を回収できるかどうかを、FDAが出す要望とつき合わせながら、製品化への道を辿るのでしょうか。もし、本当に有益であっても、利益が回収できない場合は、製品化されない?或いは、大して有益でなくても、利益が回収されるなら製品化される?のでしょうね。そんなことが無いように祈りたいですが、武士の心をもたない商売人達に願っても無理かなあ。

5、VEGF阻害薬
 ということで、次も、しばしば取り上げてきた夢の新薬?VEGF阻害薬です。既に、諸悪の根源としておなじみのVEGFの阻害薬は、臨床応用されていて、夢ではなく、現実として、有効性が証明されています。今までも、事あるごとに取り上げてきましたので、VEGFをキーワードに検索してもらえば、記事が拾えます。現時点では、糖尿病網膜症だけじゃなく、加齢黄斑変性、血管新生黄斑症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障などで、その有効性が確認されています。全身投与は危険なので、硝子体投与という、少々使いにくい投与方法ではありますが。
先行開発されたAvastin(アバスチン、bevacizumab)、その後、網膜を通過できるように小さなMacugen (マクゲン、pegaptanib)が開発されましたが、実は、網膜に対してもAvastin で十分有効であることが次々と証明されつつあり、値段も後者の10分の1程度と聞いています。高価なMacugenは、本当に必要なのでしょうかね。

6、その他
このほかにも、アンジポエチン阻害、ニューロピン1阻害、アンギオテンシン変換酵素阻害などが候補として上がっています。新薬に夢を託すのもいいでしょうが、糖尿病患者の皆さん。食事療法が何よりも大切であることは間違いありません。節制した生活を送りなたら、人生の楽しみを見つける工夫こそが、大切ではないでしょうか。
Commented by 黄斑部変性症 at 2008-01-13 14:33 x
始めまして。VEGF阻害薬について伺いたく、宜しくお願い致します。小生の家内(44歳)は数年前に網膜剥離~黄斑変性による血管新生で右眼の視力を失っているのですが、最近左眼にも異常を感じ始めています(青い光が常時見える)。検査の結果、剥離までは至っていない状況ですが、両眼とも失明する事はなんとしても避けたいと思っています。VEGF阻害薬にはアバスチン、マクゲン、ルセンティス等いくつかある様ですが、日本での認可まではまだ相当な期間が必要と思量致しますが、国内で臨床の被験者となれる機関など、是非ともお教え頂きたいと思いますが可能でしょうか?今後家内の眼の状況が悪化した場合に備えたく、何卒宜しくお願い致します。
Commented by takeuchi-ganka at 2008-01-14 00:05
VEGF阻害薬が、黄斑部変性に使用されると言っても、いわゆる加齢黄斑変性に対して、本質は新生血管に対する治療です。44歳というのは、若いですね。本当に加齢黄斑変性でしょうか? 若い年齢で、網膜剥離、糖尿病網膜症、あるいは網膜静脈閉塞症など、いろんな病気があり、その結果黄斑部が変性に至った・・・ということと、いわゆる加齢黄斑変性というのは、まったく異なります。当然治療方法も異なります。問題は、そこにありそうですが・・
VEGF治療は、かなり一般的になりつつあり、関西なら、阪大でも関西医大でも適応があれば治療を受けられる筈です。
Commented by 黄斑部変性症 at 2008-01-14 16:39 x
早速のご連絡、誠にありがとうございます。確かに「加齢」とは言われておりません。黄斑変性に効く、という事で飛びついてしまいましたが、仰る通り病気は一括りにできないですね。未認可という事で病院などで表立って「VEGFの薬」というのは憚られると思っていましたが、一般的になりつつある、との事なので、担当の先生に聞かてみます。どうもありがとうございました。
by takeuchi-ganka | 2007-01-06 11:38 | 糖尿病網膜症 | Comments(3)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31